“がく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ガク
語句割合
38.0%
17.6%
9.4%
7.8%
6.9%
4.1%
3.7%
2.4%
2.4%
1.6%
1.2%
0.8%
扁額0.8%
0.8%
0.4%
0.4%
崿0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薄暗い部屋へ入って、さっそくがくはだかにして、壁へ立てけて、じっとその前へすわり込んでいると、洋灯ランプを持って細君さいくんがやって来た。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
面白い会話「臨時の祭の調楽に、夜更けて、いみじうあられふる夜」の風流、「入りかたの日影さやかにさしたるに、がくの声まさり、物の面白き」
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)
これが集つてがくといふものを造つてゐるのだ。残りの赤い部分は花冠と云ふものだ。此の名は初耳だらうがよく覚えておくがいゝ。
「武男、武男」と耳近にたれやら呼びし心地ここちして、がくと目を開きし千々岩、窓よりのぞけば、列車はまさに上尾あげお停車場ステーションにあり。駅夫が、「上尾上尾」と呼びて過ぎたるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
和唐内はやはり清和源氏さ。なんでも義経が蝦夷えぞから満洲へ渡った時に、蝦夷の男で大変がくのできる人がくっ付いて行ったてえ話しだね。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
茫然として行衞も知らぬ通路かよひぢを我ながら踏み迷へる思して、果はまひ終りがく收まりしにも心付かず、軈て席を退まかり出でて何處ともなく出で行きしが
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「そんな心算つもりぢやありません。ね、親分、女角力はちよいと話のキツカケをつけただけで、今日は親分のがくの方を借りに來たんですがね」
もしがくれの谷紅葉が折々に見えなかったら、暗夜を行くのと変りはない。ひとり、その不気味さも知らぬ気なのは、明暗常に一ツにすぎぬ覚一だけだった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はまた暫く其処そこで立ち尽した。その墓場には野薔薇が繁つてゐた。折から一段と脊の高い瘠せた茎の頂から、一つの白い花ががくのまゝ音もせずに落ちた。小さな平和の死よ。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
それ歐洲をうしうは、げいよりも。 はたがくよりもいとたけき。
がくれ、鷺脚さぎあしにこそ辿たどりしか。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
時に元文五年で、師が三十二歳、弟子ていしが十三歳であつた。弥六は後京都にあつて南宮なんぐう氏と称し、名はがく、字は喬卿けうけい、号は大湫たいしうとなつた。延享中に淡淵は年四十になんなんとして芋生から名古屋に遷つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お三輪は椅子を離れて、木彫きぼり扁額がくの掛けてある下へも行って見た。新七に言わせると、その額も広瀬さんがこの池の茶屋のために自分で書き自分で彫ったものであった。
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
祝の児の名はがくあざな離塵りじんというのであったが、その鶚は寇家に請うて、三娘の遺骸をもらい受け、それと祝の遺骸を同時にして埋めたのであった。
水莽草 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある日往くともなしに足にまかせて断橋へ往ったところで、左側に竹林があってその内から高い門が見えていた。近くへ往って見るとその門には喬木世家きょうぼくせいかというがくをかけてあった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
にわかニ寒シ。白沢駅ニ抵ル。大蛇川ヲ渡ル。湍流たんりゅう奔駛ほんしスルコト長蛇ノがくヲ走ルガ如シ。直ニ渡ルベカラズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
幾千年いくちとせぐわんたり崿がくたり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
言語はもとより多端なり。さんと云ひ、がくと云ひ、ほうと云ひ、らんと云ふ。義の同うして字の異なるを用ふれば、即ち意を隠微のかんぐうするを得べし。大食おほぐらひを大松だいまつと云ひ差出者さしでもの左兵衛次さへゑじと云ふ。
一 こりばすらに小金こがねのたる木に、水のせがくるぐしになみたち
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのうちに或る家の小児もまた同じ驚風にかかって苦しみ始めたが、その父の知人にがく某というのがあった。