がく)” の例文
旧字:
手紙偽造の共謀者はその前から見えがくれに様子をうかがうて居た所が、本人の手塚は一人ひとりしきりにその手紙を見て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もしがくれの谷紅葉が折々に見えなかったら、暗夜を行くのと変りはない。ひとり、その不気味さも知らぬ気なのは、明暗常に一ツにすぎぬ覚一だけだった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孝「さようならば、これからすぐ見えがくれにお母様のお跡に付いて参りましょう、それはそうと」
かぜけばなみたむと伺候さもらひ都多つた細江ほそえうらがくり 〔巻六・九四五〕 山部赤人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
下男を供に連れでましたれば、孝助は見えがくれに跡をけて参りましたが、女の足のはかどらず、幸手、栗橋、古河、真間田まゝだすゞめみやあとになし、宇都宮へ着きましたは
なみうへゆる児島こじまくもがくりあな気衝いきづかしあひわかれなば 〔巻八・一四五四〕 笠金村
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
何処どこくかと、見えがくれに跡を附けてまいりますと、一人ひとりは川口町四十八番地の店蔵みせぐらで、六間間口ろっけんまぐちの立派なかまえ横町よこちょうの方にある内玄関ないげんかんの所を、ほと/\と叩くと、内からひらきを明け
まだつれの侍が一人居りまするから、段々見えがくれに付いて参ると、浜町はまちょうへ出まして、れから大橋を渡りますると、また一人の侍は挨拶をいたして別れ、御船蔵前おふなぐらまえへ掛って六間堀の方へ曲りますと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)