がく)” の例文
旧字:
「そんな心算つもりじゃありません。ね、親分、女角力はちょいと話のキッカケをつけただけで、今日は親分のがくの方を借りに来たんですがね」
和唐内はやはり清和源氏さ。なんでも義経が蝦夷えぞから満洲へ渡った時に、蝦夷の男で大変がくのできる人がくっ付いて行ったてえ話しだね。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、ひとりの男は、じぶんの“がく”をほこるように、いま兵が辻に建てて行ったばかりの高札こうさつの文を、あたりの顔へこう読んで聞かせていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「みっしり百姓のごとを習って、いいどこさ嫁に行けば、それでいいんだ。がくで飯を食うべと思わねえで……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「あっしゃア渋江しぶえなんてえところがこのにっぽんにあることを、今朝はじめて知りやした。一つがくをしやした」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
劉秉忠はがく内外を兼ね、しき三才をぶ、釈氏しゃくしよりおこって元主を助け、九州を混一こんいつし、四海を併合す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この長屋ながやは、そのときから八十八ねんまえの明和めいわ八(一七七一)ねんに、前野良沢まえのりょうたく杉田玄白すぎたげんぱくたちが、オランダのかいぼうがく生物せいぶつのからだをきりひらいて研究けんきゅうする学問がくもん)のほん
その後看経かんきんのついでにある経に「仏法をがくせんと思はゞ三世の心を相続することなかれ」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
小母 さうどす! わてはがくがないよつて、理窟はわかりまへん。でも、いくら笑はゝつても、さうどす! わては、仏様や神様がほんまに、居やはるか、居やはらんもんか、わかりまへん。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
衛生とは人のいのちぶるがくなり、人の命ながければ、人口じんこうえてしょくらず、社会しゃかいのためにはあるべくもあらず。かつ衛生のぎょうさかんになれば、病人びょうにんあらずなるべきに、のこれをとなうるはあやまてり云々。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おりゃあ、がくがないけ、よそのこた知らん。しかし、この若松には、ちゃあんと、太陽があるんじゃ。吉田磯吉という大太陽おおたいようが、昼でも、夜でも、ギラギラと、かがやいとるんじゃ。馬鹿にするな
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
鳴滝のたぎちの音を聞きつつぞ西洋せいやうがく日々ひび目ざめけむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「おどろくのかい、兵学の大先生がよ。えらそうにがくを振りまわしていた加賀田の隠者がさ。ざまアみやがれ、杓子面しゃくしづらめ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お前のがくが、いよいよ大したものになるぜ、恋は思案の外と——来たか」
日向ひなたがく
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「すぐがくを振りまわしなさるが、学ばかりで割りきれる世間じゃあるまい。人間と人間との話でゆこう」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるにあなたは北京府の富家ふかに生れ、かさねがさねの天祐てんゆうこうむっている。天運おのずから衆に超えているものです。——第三には、私は浅学、あなたはがく古今に通じておられる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拙者儀は、吉良家の中小姓清水しみずがくと申す者、輿中よちゅうのまま往来御免くだされたい
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)