“かく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カク
語句割合
31.0%
12.5%
10.2%
5.7%
5.6%
3.8%
3.8%
3.6%
2.8%
1.3%
(他:307)19.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
320x100
其時丑松は膳に向ひ乍ら、かくも斯うして生きながらへ来た今日迄こんにちまでを不思議に難有ありがたく考へた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すると、教室のその一かくから、「あっ、くさっ、あっ、くさっ」という声が、波紋はもんのようにひろがり、ざわめきだす。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかもそういった呂祐吉の顔は、いかにも思いがけぬ事を問われたらしく、どうも物を包みかくしているものとは見えなかった。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一体男といふものは、方々で色々とかくぐひをする癖に、女房かないや子供にだけはそんな真似はさせまいとしてゐる。
そんなら、何処どこで勝つかと言えば、技巧の中にかくされた人生観、哲学で、自分を見せて行くより、しようがないと思う。
「そう、悪かったネ、かくまって上げたりして。――そんなお人があるなら、又さん一人で、お先に立っても、止めはしないよ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なる事実と照合する時は、かかる心理遺伝が、かくの如き屍体飜弄の夢中遊行を誘起し得べき事、うたがいを容れざるべし。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
我等みたりもまたみなかくの如くなりき、我は山羊に彼等は牧者に似たり、しかして高き岩左右より我等をかこめり 八五―八七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
お琴が明神山の一条をかくしていたのも、迂濶にそれを口外すれば夫をおどろかすに相違ないと懸念けねんしたからであった。
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「おかくし遊ばしても不可いけません。そうして若お師匠様、あなたもうお児様こさまが出来ましたではございませんか。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山へ遊行するにもかくの如き有様であるから、登山になれた我々の感情によつて、祖先達の山の感情を忖度することはできない。
日本の山と文学 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
おもふにかくごときは、數十年來すうじふねんらいおこなへる灌水くわんすゐ功徳くどくなるし。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
――針を海綿にかくして、ぐっと握らしめたる後、柔らかき手に膏薬こうやくって創口きずぐちを快よく慰めよ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中にはまた、その夜、用いよといわれて、正直にかくして持っていた一揆いっきの旗を、こっそり焼きすてた者などあった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姿すがたかくれてれば、なにるまいとおもだろが、れはところへは
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎのしろ手拭てぬぐひ段々だん/\むぎかくれると與吉よきちねえようとぶ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
殊にまた右手の霞の海の果てに、横線をかくして積雲の層が見事に現れていることが、この光景を一層浄化しているかに見える。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
殿下の庭ようのところには朱欄曲〓しゅらんきょくきょくと地をかくして、欄中には奇石もあれば立派な園花えんかもあり
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ナニ。いや、不承知と申さるる筈はござるまい。と存じてこそかくの如く物を申したれ。真実まこと、たって御不承知か。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
或は利得の故に教会に結び、或は逆遇に苦しみて教理に帰依きえす、かくの如きは今日の教会にめづらしからぬ実状なり。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
區役所くやくしよがよひの腰辨當こしべんたうかましたきつけてくれるのとはかくちが
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
楽屋へ抱え込まれると同時に、死んだものと思って騒いでいた粂吉が、ひょっこり大部屋かくの娘れんをつれて出たので、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生命を塵芥ぢんかいよりも軽く捨てむと競ひあへりしも、今かくなり玉ひては皆対岸の人異舟いしうかくとなりて
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かくありふにの二三の事項じこうを以てせり、しかしてこたへぬ。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
「今年の寒さといつたらないよ。むかし堯の天子がおかくれになつた年の冬が――確かあの冬がこんなだつたと思ふが……」
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
以前の伊予介いよのすけは院がおかくれになった翌年常陸介ひたちのすけになって任地へ下ったので、昔の帚木ははきぎもつれて行った。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「ただ今のところ宮様はおかくれになった方同然でいらっしゃいます。おいでくださいましたことは申し上げておきました」
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「おかくれになってから、どうかして夢の中ででもおいしたいと私はいつも思っているのに少しも出ておいでにならないのですよ」
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こういうかくの多い字が一杯並んで、字づらが薄黒く見えるような頁が、何か変化へんげと神秘の国の扉のように、幼い心をそそった。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
震災は私たち東京人の生活に一時期をかくしたが、私としても自分の少年の日は震災と共に失われたという感が深い。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
かく可凄すさまじくもまた可恐おそろしき、大薩摩おほさつまたけなかばにくもつらぬ
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かくごと風雲ふううんは、加能丸かのうまる既往きわう航海史上かうかいしじやうめづらしからぬ現象げんしやうなれども
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これからは田圃たんぼ――五六丁を隔ててその田圃の中に一かく、島原傾城町けいせいまちの歓楽のは赤く燃えております。
堀の水が、忽然こつねんと、赤く見え出した。仰ぐと、川向うの空も赤い。一かくの町屋の上には、柏餅のような晩春の月があった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時雄はいかにしても苦しいので、突如いきなりその珊瑚樹の蔭に身をかくして、その根本の地上に身をよこたえた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
彼は少し離れた簷下のきしたに身をかくしてようやく落ち著きを得たが、この落ち著きの中にたちまちひそひそとささやく声が聞えた。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
我は巴里パリージのとある屠戸にくやの子なりき、昔の王達はやみなかくれて、灰色の衣を着る者獨り殘れるのみなりし頃 五二―五四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
宮がおかくれになったあとで大納言が忍んで通うようになっていたが、年月のたつうちには夫婦として公然に同棲どうせいすることにもなった。
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
我は友のゑみを帶びたる容貌おもざし背後うしろに、暗に富貴なる人々の卑吝ひりんあざける色をかくしたるかを疑ひぬ。
ともすけおどろきてかへ支度したくするを、おりきうでもとまらするといふ、いつしか下駄げたをもかくさせたれば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
具簡ぐかんはだまった。尊氏はすぐ夜来の兵たちに一ときの睡眠をゆるし、自身はなお、一かくの内で、軍議にはいった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやこんなに集まったのは始めてだろう。けれど職屋敷の一かくときたらたいへんな広さだ。建物の数でも外からではわからない」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おとらは途々みちみちお島に話しかけたが、かく作の事はこれきり一切口にしないという約束が取極とりきめられた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かくかれ醫科大學いくわだいがく卒業そつげふして司祭しさいしよくにはかなかつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これらの学者のいう説にはなんらかくたる根拠こんきょはなく、ただ外からた想像説でしかない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「されば崩御ほうぎょは過ぐる十六日の夜と、ただいま、かくたる報なので」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これきのこなればこそ、もまはさずに、じつとこらへてわたしにははなさずにかくしてた。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなはち同行どうかう雪岱せつたいさんを、いままでかくしておいた所以ゆゑんである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
先頭に立った一人が、うやうやしく三宝を目八分に捧げて、三宝の上には何物をか載せて、その上を黄色のふくさと覚しいのでかくしている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兎も角も此のまま置くとは何とやら其の人の冥福にも障る様な気がしたから余は手巾を取り出し、骸骨の顔をかくし、回向えこうの心で口の中に一篇の哀歌を唱えた。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
定番、大番、加番の集まつた所で、土井はしやう九つどきに城内を巡見するから、それまでにかく持口もちくちを固めるやうにと言ひ付けた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
高見権右衛門は三百石、千場作兵衛、野村庄兵衛はかく五十石の加増を受けた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さもなくば自己に帰って、客観的にはへりくだってすべてに顕わるる神を見、主観的には自己をかくにして内にも外にも好きな世界を創造すべく努めるか。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
椰子が其果そのみかく殻皮こくひなかをさめて、
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
砕けた浪の白〓しらあわは、銀の歯車を巻いて、見るまに馬の脚を噛み、車輪の半分なかばまでかくした。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そうなると、その大いりやま頂上いただきが、全く鼻翼こばなすそかくれてしまって、そこと鼻筋の形とが、異様に引き合い対照を求めて来る。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「それはまあしかたがない。こんな小さな家には、庵ぐらいがちょうどいいよ。かくとかそうとかでは大げさすぎる。はっはっ。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
塚のうちには幾重いくちょうかくがあって、そのとびらはみな回転して開閉自在に作られていた。
『サア言え! 聞いたらきいたと言え! かくすかお前は』と僕の顔をにらみつけましたから、僕も益々可怕こわくなり、
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かくすには及ばんぞ、きいたら聞いたと言うがえ。そんなら乃父おれには考案かんがえがあるから。サア慝くさずに言うが可え。何か聞いたろう?』
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)