かく)” の例文
宮がおかくれになったあとで大納言が忍んで通うようになっていたが、年月のたつうちには夫婦として公然に同棲どうせいすることにもなった。
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
内乱の起る場合 は法王がかくれたとか、あるいはなお幼くしてまつりごとみずからすることが出来んという時に当り、ある大臣がをほしいままにするとか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
我は巴里パリージのとある屠戸にくやの子なりき、昔の王達はやみなかくれて、灰色の衣を着る者獨り殘れるのみなりし頃 五二—五四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
資性穎慧えいけい温和、孝心深くましまして、父君の病みたまえる間、三歳にわたりて昼夜膝下しっかを離れたまわず、かくれさせたもうに及びては、思慕の情、悲哀の涙、絶ゆる間もなくて
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この時分に式部卿しきぶきょうの宮と言われておいでになった親王もおかくれになったので、薫は父方の叔父おじの喪に薄鈍うすにび色の喪服を着けているのも
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これはネパール国王の王妃おうひがおかくれになった時分に、その功徳くどくおさむるためにこの四里の大林の間には一滴も水がないから、一里毎に溜池ためいけを設けて
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
式部卿しきぶきょうの宮がおかくれになって何ほどの時がたっているのでもないが、もう宮のうちには荒れた色が漂っていて、しんみりとした空気があった。
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
法王の遺産処分 次に法王の財産は、法王が一人おかくれになるとその遺産の半分——半分というは表向きで実は半ば以上——は法王出身地の血族の者が大抵貰うことにきまって居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
今年の春おかくれになった式部卿しきぶきょうの宮の姫君を、継母ままははの夫人が愛しないで、自身の兄の右馬頭うまのかみで平凡な男が恋をしているのに
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宮がもしおかくれになれば玉鬘たまかずらは孫としての服喪の義務があるのを、知らぬ顔で置かせては罪の深いことにもなろうから、宮の御病気を別問題として裳着を行ない
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿の宮がおかくれになって間もなく、今度の右大臣が通い始めたのを、軽佻けいちょうなことのように人は非難したものだけれど、愛情が長く変わらず夫婦にまでなったのは
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「大宮はお年がお年だから、いつどうおなりになるかしれない。おかくれになったあとのことを思うと、こうして少年時代かららしておいて、あなたの厄介やっかいになるのが最もよいと思う」
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
前皇太弟とは御同胞といっても取り分けおむつまじかった、斎宮の将来のことも院へお頼みになって東宮はおかくれになったので、その時代には第二の父になってやろうという仰せがたびたびあって
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
困った公達きんだちだね。何でも思いのままになるものと見ていて、官位の問題などは念頭に置いていないようだね。こちらの大臣がおかくれにならなければ、ここの若い人たちもあの人ら並みに、恋愛の遊戯を
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「宮様はこの夜中ごろにおかくれになりました」
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)