隠匿かく)” の例文
旧字:隱匿
自分はそっとこの革包かばん私宅たくの横に積である材木の間に、しかも巧に隠匿かくして、紙幣さつの一束を懐中して素知らぬ顔をしてうちに入った。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
もっとも生命いのちから二番目のダイナマイトはなかなか手離さないが、その隠匿かくしどころが亦、実に、驚ろくべく巧妙なものなんだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「財宝を隠匿かくしたが、その時突然勘兵衛めは、伊丹東十郎を穴の中へ突き落とし、『此奴こやつさえ殺してしまえば我らの秘密を知る者はない』と申しおった」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お訊きするのですけれども、その事に就ては何も仰有らず、手紙が来ることさえ、私に隠匿かくそうとなすっていらっしゃるのよ。何かわるい事でも起ったのではないでしょうか
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
いや、新開地の普請場に隠匿かくしてあったそうです。私が最初衣川を怪しいと睨んだのは、死骸を
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
天国の剣を強請ゆすり取り、それを最後に組を解散し、持ち余るほどの財を担い、来栖勘兵衛とわしと、そちと伊丹東十郎とで、この道了塚まで辿って来、いつもの隠匿所かくしばへ、財宝を隠匿かくしたが……
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
爆弾ハッパ隠匿かくどこなどもアラカタ残らず、探り出してしまったものです。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
塚を造り、神を祭ると称し、塚の下に穴倉を設け、財宝を隠匿かくした。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)