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隱
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かく
ふりがな文庫
“
隱
(
かく
)” の例文
新字:
隠
「そんぢや、わし
蜀黍
(
もろこし
)
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
く
處
(
とこ
)
見出
(
めつけ
)
あんすから、
屹度
(
きつと
)
有
(
あ
)
んに
極
(
きま
)
つてんだから」といふ
聲
(
こゑ
)
を
後
(
あと
)
にして
畑
(
はたけ
)
の
小徑
(
こみち
)
をうねりつゝ
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
海戰
(
かいせん
)
は
午前
(
ごぜん
)
二
時
(
じ
)
三十
分
(
ぷん
)
に
始
(
はじま
)
つて、
東雲
(
しのゝめ
)
の
頃
(
ころ
)
まで
終
(
をは
)
らなかつた。
此方
(
こなた
)
は
忠勇
(
ちうゆう
)
義烈
(
ぎれつ
)
の
日本軍艦
(
につぽんぐんかん
)
なり、
敵
(
てき
)
は
世界
(
せかい
)
に
隱
(
かく
)
れなき
印度洋
(
インドやう
)
の
大海賊
(
だいかいぞく
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
殆
(
ほとん
)
ど
危
(
あやふ
)
かつたその時、私達は自ら
救
(
すく
)
ふために、十
分
(
ぶん
)
にその
力
(
ちから
)
に
疑
(
うたが
)
ひを
殘
(
のこ
)
しながらも、愛とその結婚に
隱
(
かく
)
れ
家
(
が
)
を求めようとしました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「ところで、物事を
隱
(
かく
)
さずに、正直に言つてくれ。お前はお久良と親しくして居たさうだな。近所の衆は皆知つて居るぜ、隱すな」
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
南
(
みなみ
)
へ
廻
(
まは
)
すと、
玄關
(
げんくわん
)
からの
入口
(
いりぐち
)
を
半分
(
はんぶん
)
塞
(
ふさ
)
いで
仕舞
(
しま
)
ふし、
東
(
ひがし
)
へ
出
(
だ
)
すと
暗
(
くら
)
くなる、と
云
(
い
)
つて、
殘
(
のこ
)
る
一方
(
いつぽう
)
へ
立
(
た
)
てれば
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
を
隱
(
かく
)
すので、
宗助
(
そうすけ
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
見て
密
(
ひそか
)
に
元
(
もと
)
の座へ立ち歸り彼は正しく此所の
主
(
あるじ
)
さては娘の父ならん然れば山賊の
隱
(
かく
)
れ
家
(
が
)
にも非ずと
安堵
(
あんど
)
して在る所へ彼娘の勝手より
膳
(
ぜん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
爀
(
かツ
)
と
眞黄色
(
まつきいろ
)
な
目
(
め
)
を
光
(
ひか
)
らしたが、ギヤツと
啼
(
な
)
いて、ひたりと
欄干
(
らんかん
)
を
下
(
した
)
へ
刎返
(
はねかへ
)
る、と
橋
(
はし
)
を
傳
(
つた
)
つて
礫
(
つぶて
)
の
走
(
はし
)
つた
宿
(
やど
)
の
中
(
なか
)
へ
隱
(
かく
)
れたのである。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いくら
拷問
(
がうもん
)
にかけられても、
知
(
し
)
らない
事
(
こと
)
は
申
(
まを
)
されますまい。その
上
(
うへ
)
わたしもかうなれば、
卑怯
(
ひけふ
)
な
隱
(
かく
)
し
立
(
だ
)
てはしないつもりです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、
其
(
そ
)
れも
此
(
こ
)
れも
直
(
ぢき
)
に
彼
(
かれ
)
を
疲勞
(
つか
)
らして
了
(
しま
)
ふ。
彼
(
かれ
)
は
乃
(
そこで
)
ふと
思
(
おも
)
ひ
着
(
つ
)
いた、
自分
(
じぶん
)
の
位置
(
ゐち
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
計
(
はか
)
るには、
女主人
(
をんなあるじ
)
の
穴藏
(
あなぐら
)
に
隱
(
かく
)
れてゐるのが
上策
(
じやうさく
)
と。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
天照らす大御神いよよ
奇
(
あや
)
しと思ほして、やや戸より出でて臨みます時に、その
隱
(
かく
)
り立てる手力男の神、その御手を取りて引き出だしまつりき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
此處
(
こゝ
)
から
逐
(
お
)
はるゝは
世界
(
せかい
)
から
逐
(
お
)
はるゝも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、
世界
(
せかい
)
から
逐
(
お
)
はるゝは
殺
(
ころ
)
さるゝも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、すれば
追放
(
つゐはう
)
とは
死罪
(
しざい
)
の
隱
(
かく
)
し
名
(
な
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
注意してそつと自分の
隱
(
かく
)
れ
家
(
が
)
を出た私は、眞直に臺所につゞいてゐる
裏梯子
(
うらばしご
)
の方に出た。臺所中は火と騷ぎで一ぱいだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さすがに
隱
(
かく
)
しきれもせずに、
夫
(
をつと
)
がてれ
臭
(
くさ
)
い
顏附
(
かほつき
)
でその
壁掛
(
かべかけ
)
の
包
(
つつ
)
みを
解
(
ほど
)
くと、
案
(
あん
)
の
條
(
でう
)
妻
(
つま
)
は
非難
(
ひなん
)
の
眼
(
め
)
を
向
(
む
)
けながらさう
言
(
い
)
つた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
何
(
なん
)
だか
其處
(
そこ
)
が
可笑
(
をか
)
しくこぐらかりまして、
何
(
ど
)
うしても
上手
(
じやうず
)
に
思
(
おも
)
ひとく
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
ませんかつた、
今
(
いま
)
おもふて
見
(
み
)
ると
成
(
な
)
るほど
隱
(
かく
)
しだても
遊
(
あそ
)
ばしましたらう
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その
袖
(
そで
)
をおとりになると、
顏
(
かほ
)
を
隱
(
かく
)
しましたが、
初
(
はじ
)
めにちらと
御覽
(
ごらん
)
になつて、
聞
(
き
)
いたよりも
美人
(
びじん
)
と
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
されて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
而
(
しか
)
るに
伯夷
(
はくい
)
・
叔齊
(
しゆくせい
)
之
(
これ
)
を
恥
(
は
)
ぢ、
義
(
ぎ
)
、
周
(
しう
)
の
(三四)
粟
(
ぞく
)
を
食
(
くら
)
はず、
首陽山
(
しゆやうざん
)
に
隱
(
かく
)
れ、
薇
(
び
)
を
采
(
と
)
つて
之
(
これ
)
を
食
(
くら
)
ふ。
餓
(
う
)
ゑて
且
(
まさ
)
に
死
(
し
)
せんとするに
及
(
およ
)
んで
歌
(
うた
)
を
作
(
つく
)
る。
其
(
そ
)
の
辭
(
じ
)
に
曰
(
いは
)
く
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
行
(
ゆ
)
くことも
出來
(
でき
)
ぬところに
隱
(
かく
)
れてしまつて
後
(
のち
)
、その
人
(
ひと
)
のゐた
家
(
いへ
)
を
訪問
(
ほうもん
)
して
一人
(
ひとり
)
悲
(
かな
)
しんだ
名高
(
なだか
)
い
歌
(
うた
)
があります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それを
但馬守
(
たじまのかみ
)
に
見
(
み
)
られるのが
心苦
(
こゝろぐる
)
しさに
地方
(
ぢかた
)
の
與力
(
よりき
)
何某
(
なにがし
)
は、
猫
(
ねこ
)
に
紙袋
(
かんぶくろ
)
を
被
(
かぶ
)
せた
如
(
ごと
)
く
後退
(
あとずさ
)
りして、
脇差
(
わきざ
)
しの
目貫
(
めぬき
)
の
上
(
のぼ
)
り
龍
(
りう
)
下
(
くだ
)
り
龍
(
りう
)
の
野金
(
やきん
)
は、
扇子
(
せんす
)
を
翳
(
かざ
)
して
掩
(
おほ
)
ひ
隱
(
かく
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
坐敷
(
ざしき
)
に
坐
(
すわ
)
つたまゝ
爲
(
す
)
る
事
(
こと
)
もなく
茫然
(
ぼんやり
)
と
外
(
そと
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
たが、ちらと
僕
(
ぼく
)
の
眼
(
め
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
直
(
す
)
ぐ
又
(
また
)
隣家
(
もより
)
の
軒先
(
のきさき
)
で
隱
(
かく
)
れてしまつた
者
(
もの
)
がある。それがお
絹
(
きぬ
)
らしい。
僕
(
ぼく
)
は
直
(
す
)
ぐ
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
た。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それで三
人
(
にん
)
、
相談
(
さうだん
)
する
樣
(
やう
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
一端
(
いつたん
)
松林
(
まつばやし
)
まで
退
(
しりぞ
)
き、
姿
(
すがた
)
が
彼等
(
かれら
)
の
視線
(
しせん
)
から
隱
(
かく
)
れるや
否
(
いな
)
や、それツとばかり
間道
(
かんだう
)
を
逃出
(
にげだ
)
して、
裏
(
うら
)
の
池
(
いけ
)
の
方
(
かた
)
から、
駒岡
(
こまをか
)
の
方
(
かた
)
へ
韋駄天走
(
ゐだてんばし
)
り。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
斯
(
か
)
う
桃林和尚
(
たうりんをしやう
)
が
答
(
こた
)
へましたので、
狐
(
きつね
)
は
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き/\
裏
(
うら
)
の
林
(
はやし
)
の
方
(
はう
)
へこそ/\
隱
(
かく
)
れて
行
(
ゆ
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
主婦
(
おかみ
)
が
強
(
た
)
つて頼んだのでもなく、矢張普通の女中で、額の狹い、小さい目と小さい鼻を
隱
(
かく
)
して了ふ程頬骨の突出た、土臼の樣な尻の、先づ珍しい許りの
醜女
(
ぶをんな
)
の
肥滿人
(
ふとつちよ
)
であつた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
然
(
さ
)
うかい、さうかい』と
云
(
い
)
つてグリフォンは、
自分
(
じぶん
)
の
番
(
ばん
)
が
來
(
き
)
たと
云
(
い
)
はぬばかりに、これも
亦
(
また
)
長太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
きました、それから二
疋
(
ひき
)
の
動物
(
どうぶつ
)
は
其
(
そ
)
の
顏
(
かほ
)
をその
前足
(
まへあし
)
で
掩
(
おほ
)
ひ
隱
(
かく
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
開卷第一
(
かいかんだいゝち
)
に、
孤獨幽棲
(
こどくゆうせい
)
の
一少年
(
いつしようねん
)
を
紹介
(
しようかい
)
し、その
冷笑
(
れいしよう
)
と
其
(
その
)
怯懦
(
きようだ
)
を
寫
(
うつ
)
し、
更
(
さら
)
に
進
(
すゝ
)
んで
其
(
その
)
昏迷
(
こんめい
)
を
描
(
ゑが
)
く。
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
ひたる
一大學生
(
いつだいがくせい
)
、
大道
(
だいどう
)
ひろしと
歩
(
あ
)
るきながら
知友
(
ちゆう
)
の
手前
(
てまへ
)
を
逃
(
に
)
げ
隱
(
かく
)
れする
段
(
だん
)
を
示
(
しめ
)
す。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そのくらゐですから
枝
(
えだ
)
や
葉
(
は
)
もおそろしく
繁
(
しげ
)
りひろがつてゐて
朝
(
あさ
)
は
杵島岳
(
きしまだけ
)
を
隱
(
かく
)
し、
夕方
(
ゆふがた
)
は
阿蘇山
(
あそさん
)
を
覆
(
おほ
)
つて、あたりは
晝
(
ひる
)
も、ほの
暗
(
ぐら
)
く、
九州
(
きゆうしゆう
)
の
半分程
(
はんぶんほど
)
は
日蔭
(
ひかげ
)
となり、
百姓
(
ひやくしよう
)
が
困
(
こま
)
り
拔
(
ぬ
)
いてゐたといひますが
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
火こそみえけれ、其
棹
(
さを
)
の
閻浮提金
(
えんぶだごん
)
ぞ
隱
(
かく
)
れたる。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
(
かな
)
しかりきな、さあれ、また
下
(
した
)
に
隱
(
かく
)
るる
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
隱
(
かく
)
るゝ
風情
(
ふぜい
)
哀
(
あは
)
れなり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
野路に
隱
(
かく
)
れて
蛇苺
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
さういふ
伴侶
(
なかま
)
の
殊
(
こと
)
に
女
(
をんな
)
は
人目
(
ひとめ
)
の
少
(
すくな
)
い
黄昏
(
たそがれ
)
の
小徑
(
こみち
)
につやゝかな
青物
(
あをもの
)
を
見
(
み
)
ると
遂
(
つひ
)
した
料簡
(
れうけん
)
からそれを
拗切
(
ちぎ
)
つて
前垂
(
まへだれ
)
に
隱
(
かく
)
して
來
(
く
)
ることがある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
隱
(
かく
)
さんと云るを
聞
(
きゝ
)
共に涙に
暮
(
くれ
)
居
(
ゐ
)
たりしが
軈
(
やが
)
てお文は
父母
(
ふたおや
)
の前に
來
(
き
)
たり兩手を
突
(
つき
)
只
(
たゞ
)
今お
兩方樣
(
ふたかたさま
)
のお
咄
(
はな
)
しを承まはり候に父樣は
何方
(
いづかた
)
へかお身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其處
(
そこ
)
の
町屋
(
まちや
)
を、
馬
(
うま
)
の
沓形
(
くつがた
)
に
一廻
(
ひとまは
)
りして、
振返
(
ふりかへ
)
つた
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ると、
額
(
ひたひ
)
に
隱
(
かく
)
れて
目
(
め
)
の
窪
(
くぼ
)
んだ、
頤
(
あご
)
のこけたのが、かれこれ四十ぐらゐな
年
(
とし
)
であつた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鋼索
(
こうさく
)
、
化學用
(
くわがくよう
)
の
諸
(
しよ
)
劇藥
(
げきやく
)
、
其他
(
そのほか
)
世人
(
せじん
)
の
到底
(
たうてい
)
豫想
(
よさう
)
し
難
(
がた
)
き
幾多
(
いくた
)
の
材料
(
ざいりよう
)
を
蒐集中
(
しうしふちう
)
なりしが、
何時
(
いつ
)
とも
吾人
(
われら
)
の
氣付
(
きづ
)
かぬ
間
(
ま
)
に
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
隱
(
かく
)
しぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
すれば、
當國
(
このくに
)
の
風習通
(
ならはしどほ
)
りに、
顏
(
かほ
)
は
故
(
わざ
)
と
隱
(
かく
)
さいで、
最
(
いっち
)
良
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せ、
柩車
(
ひつぎぐるま
)
に
載
(
の
)
せて、カピューレット
家
(
け
)
代々
(
だい/\
)
の
古
(
ふる
)
い
廟舍
(
たまや
)
へ
送
(
おく
)
られさッしゃらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ふとさう
呟
(
つぶや
)
きながら、私は
瞳
(
ひとみ
)
を返して遠くなつた修道院の方を振り返つた。が、その時ポプラの林を背景にした建物の姿はもう岬の
蔭
(
かげ
)
に
隱
(
かく
)
れてゐた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
坂井
(
さかゐ
)
の
家
(
いへ
)
の
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
つて、
向
(
むかふ
)
に
知
(
し
)
れずに、
他
(
ひと
)
を
窺
(
うかが
)
ふ
樣
(
やう
)
な
便利
(
べんり
)
な
場所
(
ばしよ
)
はあるまいかと
考
(
かんが
)
へた。
不幸
(
ふかう
)
にして、
身
(
み
)
を
隱
(
かく
)
すべきところを
思
(
おも
)
ひ
付
(
つ
)
き
得
(
え
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
老子
(
らうし
)
、
(一一)
道徳
(
だうとく
)
を
修
(
をさ
)
む、
其學
(
そのがく
)
は
自
(
みづか
)
ら
隱
(
かく
)
して
名
(
な
)
無
(
な
)
きを
以
(
もつ
)
て
務
(
つとめ
)
と
爲
(
な
)
せり。
周
(
しう
)
に
居
(
を
)
ること
之
(
これ
)
を
久
(
ひさ
)
しうして、
周
(
しう
)
の
衰
(
おとろ
)
ふるを
見
(
み
)
、
廼
(
すなは
)
ち
遂
(
つひ
)
に
去
(
さ
)
つて、
(一二)
關
(
くわん
)
に
至
(
いた
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
我
(
わ
)
れは
恥
(
はづ
)
かしさに
面
(
おもて
)
あかみて
此膝
(
これ
)
なる
文
(
ふみ
)
を
取
(
とり
)
かくすべきか、
恥
(
は
)
づるは
心
(
こゝろ
)
の
疚
(
やま
)
しければなり、
何
(
なに
)
かは
隱
(
かく
)
さん。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
が
今
(
いま
)
までの
悔
(
くゐ
)
は、ともすれば
言
(
い
)
ひ
譯
(
わけ
)
の
楯
(
たて
)
に
隱
(
かく
)
れて、
正面
(
まとも
)
な
非難
(
ひなん
)
を
拒
(
ふせ
)
いでゐたのを
知
(
し
)
つた。
彼女
(
かのぢよ
)
は
今
(
いま
)
自分
(
じぶん
)
の
假面
(
かめん
)
を
引剥
(
ひきは
)
ぎ、その
醜
(
みにく
)
さに
驚
(
おどろ
)
かなければならなかつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ところが、この
歌
(
うた
)
を
讀
(
よ
)
んだゞけで、
別
(
べつ
)
の
氣持
(
きも
)
ちが
浮
(
うか
)
びませんか。それはなんだか、この
歌
(
うた
)
のうちに、
違
(
ちが
)
つた
氣持
(
きも
)
ちが
隱
(
かく
)
されてゐる、といふ
氣分
(
きぶん
)
の
起
(
おこ
)
ることであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
役向の事で怨を買つたらしいことをも
直觀
(
ちよくくわん
)
してしまつた平次は、それから三日經たないうちに、獨特の探索で奉公人の全部の身許を洗ひ上げ、
秘
(
ひ
)
し
隱
(
かく
)
しに隱して居るが
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくて天皇がお
隱
(
かく
)
れになつてから、オケの命が、帝位にお
即
(
つ
)
きになりました。御年三十八歳、八年間天下をお治めなさいました。御陵は片岡の
石坏
(
いわつき
)
の岡の上にあります。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
は
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
で
隱
(
かく
)
して、
空
(
そら
)
を
通
(
とほ
)
る
小鳥
(
ことり
)
の
眼
(
め
)
につかないやうにしてあります。その
小屋
(
こや
)
の
周圍
(
まはり
)
に、
細
(
ほそ
)
い
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
糸
(
いと
)
で
編
(
あ
)
んだ
鳥網
(
とりあみ
)
の
大
(
おほ
)
きなのが二つも三つも
張
(
は
)
つてあるのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
枕
(
まくら
)
の
下
(
した
)
や、
寐臺
(
ねだい
)
の
何處
(
どこ
)
かに、
何
(
なに
)
かをそツと
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
く、
其
(
そ
)
れは
盜
(
ぬす
)
まれるとか、
奪
(
うば
)
はれるとか、
云
(
い
)
ふ
氣遣
(
きづかひ
)
の
爲
(
た
)
めではなく
人
(
ひと
)
に
見
(
み
)
られるのが
恥
(
はづ
)
かしいのでさうして
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
く
物
(
もの
)
がある。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
盜人
(
ぬすびと
)
は
妻
(
つま
)
が
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つた
後
(
のち
)
、
太刀
(
たち
)
や
弓矢
(
ゆみや
)
を
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げると、一
箇所
(
かしよ
)
だけおれの
繩
(
なは
)
を
切
(
き
)
つた。「
今度
(
こんど
)
はおれの
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
だ。」——おれは
盜人
(
ぬすびと
)
が
藪
(
やぶ
)
の
外
(
そと
)
へ、
姿
(
すがた
)
を
隱
(
かく
)
してしまう
時
(
とき
)
に、かう
呟
(
つぶや
)
いたのを
覺
(
おぼ
)
えてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
居間
(
ゐま
)
に
隱
(
かく
)
して置いた石が
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか客間の
床
(
とこ
)
に
据
(
すゑ
)
てあつた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
斯
(
か
)
うなると、
打石斧
(
だせきふ
)
を
隱
(
かく
)
して
行
(
ゆ
)
くわけにも
行
(
ゆ
)
かず。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
なよびかの
姫
(
ひめ
)
は
隱
(
かく
)
れて、
唯
(
ただ
)
ひとり
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
他人
(
ひと
)
に
隱
(
かく
)
した
此
(
こ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
聞
(
きゝ
)
暫
(
しば
)
し思案して申ける樣和尚は何と
思
(
おも
)
はるゝや
拙者
(
せつしや
)
大言
(
たいげん
)
を
吐
(
はく
)
に似たれども伊賀亮
程
(
ほど
)
の大才ある者久しく山中に
隱
(
かく
)
れて
在
(
ある
)
は
黄金
(
こがね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
隱
部首:⾩
17画
“隱”を含む語句
雪隱
隱匿
隱居
神隱
水隱
木隱
隱密
隱見
若隱居
隱所
取隱
隱袋
樂隱居
隱家
隱岐
隱元
目隱
御隱殿
御隱居
女隱居
...