“覆”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おお25.3%
くつがえ24.8%
くつが12.0%
おほ8.5%
かえ5.2%
くつがへ3.5%
かぶ2.5%
かへ1.9%
こぼ1.9%
おおい1.5%
1.4%
1.2%
おほひ1.0%
ふた0.8%
うつ0.6%
0.6%
0.6%
くつ0.6%
カヴァ0.4%
かや0.4%
シェード0.4%
おおわ0.4%
かく0.4%
かぶさ0.4%
つつ0.4%
ひつくりかへ0.4%
シエード0.4%
かへりごと0.2%
おゝ0.2%
こぼし0.2%
おい0.2%
おっ0.2%
かば0.2%
くりか0.2%
ひっくりか0.2%
0.2%
0.2%
をほ0.2%
オオ0.2%
カバー0.2%
クツガ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
うじがわくように、いつのまにやら、誰が言い出したともなく、もくもくいて出て、全世界をおおい、世界を気まずいものにしました。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しるこの鍋をくつがえされて、かお小鬢こびんおびただしく火傷やけどをしながら苦しみ悶えている光景を見た時に、米友の堪忍袋かんにんぶくろが一時に張り切れました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とりわけこの岬のあたりは、暗礁の多いのと、潮流の急なのとで、海は湧立わきたちかえり、狂瀾怒濤きょうらんどとうがいまにも燈台をくつがえすかと思われた。
おさなき灯台守 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
是等が黄色な灯で照されて居るのを私は云ひ知れない不安と恐怖の目で見て居るのであつた。終ひには兩手で顏をおほうてしまつた。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と言う処へ、しとやかに、階子段はしごだんを下りる音。トタンに井戸端で、ざあと鳴ったは、柳の枝に風ならず、長閑のどか釣瓶つるべかえしたのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たきくつがへすやうで小留をやみもなくうちながらみんな蓑笠みのかさしのいだくらゐ茅葺かやぶきつくろひをすることは扨置さておいて、おもてもあけられず、うちからうち隣同士となりどうし
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妹さんだって油画あぶらえかきだわ。みんな阿母さん系統なわけなのよ。それにしても私にかぶさって来るあの人たちの雰囲気ふんいきはいいとはいえないわ。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
論語はい本だ。い本だからと言つて、それで人生がひつくりかへるものなら、この世は幾度かう引くり覆つてゐる筈だ。
でも何もそんなむずかしい御山おやまではありません。ただ此処ここ霊山れいざんとか申す事、酒をこぼしたり、竹の皮を打棄うっちゃったりするところではないのでございます。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
式場用の物のおおい、敷き物、しとねなどの端を付けさせるものなどに、故院の御代みよの初めに朝鮮人がささげたあやとか、緋金錦ひごんきとかいう織物で
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
言うのはやすいが、天地をえすような大時化の中でやることだから、斧を持って転げまわるばかりで思うようなこともできない。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
また或地あるちのアイヌはコロボツクルの女子じよしがアイヌに近寄る時には片袖かたそでにて口をひたりと云ひ傳ふ。女子が或種類の衣服を着せしとのことは深く考ふる要無し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
その雪途ゆきみちもやゝ半にいたりし時猛風まうふうにはかにおこり、黒雲こくうんそら布満しきみち闇夜あんやのごとく、いづくともなく火の玉飛来りくわんの上におほひかゝりし。
木場の甚さんにも話して、一小屋引き請けることになっているのだから、この分だと、いよいよ祭がきてふたをあけるのがたのしみだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まず大きな牡猴がいかめしく緩歩し老若の大群随い行くに、児猴は母の背にまたがり、あるいは後肢を伸ばしてうつむき臥し、前手で母の背毛を握って負われ居る。
とザッと水をける時、何処の部屋から仕掛けたベルだか、帳場で気短に消魂けたたましくチリリリリリンと鳴る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
四〇七 若し人あり貪と瞋と慢とを離るゝこと芥子が針端より(落つるが如くなるときは)、彼を我は婆羅門と謂ふ。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし仮にも一度さう思ひ込んだ以上は、何かそれをくつがへすだけの確乎かくことした反証を握り得ないまでは心の平静を見ることは出来さうもなかつた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
すると、カヴァの中央に、やや小さい円形の力が落ちることになるから、当然その圧し出された水が、上向き括弧かっこ())の形になるじゃないか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
細君は漸く體を動かし始めて、かやつた糊を拭き取つたり、飛び散つた文殼を纒めたりして、鼻を啜り上げながら其邊を片附け始める。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
家へ帰ると、Aの細君は寝室の水色のシェードをかけた灯の下で、宵に街から買って来た絹糸でネクタイ編みながら未だ起きていた。
陰※いんえいたる空におおわれたる万象ばんしょうはことごとくうれいを含みて、海辺の砂山にいちじるき一点のくれないは、早くも掲げられたる暴風警戒けいかい球標きゅうひょうなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夫から日本にも来てゐるが、矮狗ちん位な大きさで頭の毛が長く幾すぢとなく前額ひたひに垂れて目をかくしてゐる「スカイ、テリヤー」といふ奴、彼奴あいつはどうも汚臭ぢゞむさくて、人間なら貧乏書生染みて不可いかんな。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
これは自分は呼吸をしているという事や天が自分の上にかぶさっているという事と同じように自然である。それを恥じなくてはならないだろうか。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
みなこれ屈竟くっきょう大男おおおのこ、いずれも手拭てぬぐいにおもてつつみたるが五人ばかり、手に手にぎ澄ましたる出刃庖丁でばぼうちょうひさげて、白糸を追っ取り巻きぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼と握手をする時うした機会はずみか僕の足が老人と話して居た若い詩人の卓の下に引掛ひきかゝつてその上のさかづきが高い音を立ててひつくりかへつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何燭か知りませんが兎に角非常に明るい電灯が昼間のやうに紅色のシエードの下に輝いてゐました。さうして室はもう充分暖たまつて居りました。春が急に来たのではないかと怪むだ程でした。
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
問ひて曰はく、「今天つ日高の御子虚空つ日高、うはくに一九でまさむとす。誰は幾日に送りまつりて、かへりごとまをさむ」と問ひき。
ちょうど後世のお高祖頭巾こそずきんのように首の全部をおゝい隠して、肩の上まで垂れているので、顔はこゝからは分らないけれども、しょんぼりたゝずんで空の方を仰いでいるのは
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しからば小法師は「雍州府志」や「塩尻」の云う如く、こぼしすなわち塵埃をこぼし捨てるの義ではなくて、掃除すなわちキヨメが僧形をしていたからの名とも解せられる。
エタ源流考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
その喪車の周囲ぐるりに垂れた黒い幕が揺れるたびに、白綸子しろりんずおいをした小さな棺の上に飾った花環がちらちら見えた。そこいらに遊んでいた子供がけ寄って来て、珍らしそうに車をのぞき込んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
キャキャとする雛妓おしゃく甲走かんばしった声が聞えて、重く、ずっしりと、おっかぶさる風に、何を話すともなく多人数たにんずの物音のしていたのが、この時、洞穴ほらあなから風が抜けたようにどっ動揺どよめく。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水夫の切ない動作を酒興の戯れかと思ひ違へた校長は、頤を引いて賞めそやしたが、娘はしつかりと袖の下にかばつて容易に其処には現しさうもなかつた。
山彦の街 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
あいちやんは其處そこ彼等かれらまはるのをて、偶々たま/\自分じぶん以前まへしうに、數多あまた金魚鉢きんぎよばちくりかへしたときざまおもおこしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「父さん、お舟——父さん、お舟——」と強請ねだるようにする子供の声をこの下座敷でよく聞いたばかりでなく、どうかすると机はひっくりかえされて舟の代りになり
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ぽっちり三臠みきれ五臠いつきれよりは附けないのに、葱と一所ひとつけて、鍋からもりこぼれるような湯気を、天井へ立てたはうれしい。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
多福かめさんとタチヤナ姫と、ただの女と——そう! どう思い返してもこう呼ぶのがいい——が流行の波斯縁ペルシャぶちの揃いの服で、日けの深いキャフェの奥に席を取った。遊び女だ。
巴里のキャフェ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いま機械のをほひをとりますから はなれて見てゐてごらん
ショウガ髪初メテヒタイオオ
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし応用が利きます。自動車の席のカバーに五十銭銀貨を一枚紋つきのようにクッキリ染め抜いて置くんですって、如実に五十銭と見せる為めには刺繍の方が宜かろうと申しました。自動車を
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
 ——ソノ日、暴風枝ヲ鳴ラシ、地籟チライツチクレヲ運ビ、新皇ノ楯ハ、前ヲ払ツテ、自ラ倒レ、貞盛ガ楯モ、メンクツガヘシテ、飛ブ。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)