かへ)” の例文
論語はい本だ。い本だからと言つて、それで人生がひつくりかへるものなら、この世は幾度かう引くり覆つてゐる筈だ。
横浜! 横浜! とあるひは急に、或はゆるく叫ぶ声の窓の外面そとも飛過とびすぐるとともに、響は雑然として起り、ほとばしづる、群集くんじゆ玩具箱おもちやばこかへしたる如く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
御米およね小六ころく面白おもしろがつて、ふわ/\したたまてゐた。仕舞しまひ小六ころくが、ふうつといたら達磨だるまぜんうへからたゝみうへちた。それでも、まだかへらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また生命いのちかまはずにツたしうなら、かぜかうが、ふねかへらうが、那樣事そんなこと頓着とんぢやくはずぢやが、見渡みわたしたところでは、誰方どなた怯氣々々びく/\ものでらるゝ樣子やうすぢやが、さて/\笑止千萬せうしせんばん
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「大船をぎの進みにいはに触りかへらばかへれ妹によりてば」(巻四・五五七)という例があるが、「磯ごとにあまの釣舟てにけり我船泊てむ磯の知らなく」(巻十七・三八九二)があるから
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
船はかへりて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
してまたふねかへれば生命いのちおとさうかとふ、心配しんぱいかな。いやつまらぬ心配しんぱいぢや。おまへさんはなにか(人相見にんさうみ)に、水難すゐなんさうがあるとでもはれたことがありますかい。まづ/\きなさい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
愛の上にも、芸術の上にも、二つのものが一つに生きてゐたのが、今はたつた一人で生きてかなければならなくなつたのだ。須磨子は自分の眼の前で世界が引つくりかへつたやうに思つたに相違ない。
やまくつがへしたやうに大畝おほうねりたとばかりで、——跣足はだし一文字いちもんじ引返ひきかへしたが、吐息といきもならず——てらもんはひると、其處そこまで隙間すきまもなく追縋おひすがつた、灰汁あくかへしたやうなうみは、自分じぶんせなかからはなれてつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
賭博打ばくちうちが二人船のなかで賭博ばくちをしてゐると、急に嵐が起つて船は引つ繰りかへされてしまつた。二人は浪のなかを泳ぎ廻つた末、やつとの事で黒い島のやうなものにすがりついた。それは鯨のせなであつた。
成程なるほどふね暴風雨あれへば、ふねかへるとでもことかの。」
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かへされて、あいだれの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)