)” の例文
また或地あるちのアイヌはコロボツクルの女子じよしがアイヌに近寄る時には片袖かたそでにて口をひたりと云ひ傳ふ。女子が或種類の衣服を着せしとのことは深く考ふる要無し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あの聲は旦那であると思ふ間もなく、反齒そつぱの突き出た唇を尖がらして、小皺の多い旦那の顏は、頭の上からかぶさるやうにして、お光の眞上に現はれた。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
外から一律に万人へかぶせる無理な倫理に愛想をつかして、個人が内から思い思いに実際生活の要求に迫られて随時随処に建てる自然の倫理を推重すいちょうする私は
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
「それ。」といって警官の一行は泉原を残したまゝ、五階へ上ると、A夫人は顔を両手にうて、恐ろしさにワナ/\と打震えていた。寝室にはA老人が冷たくなって既に縡切こときれていた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
いどは勝手口からたゞ六歩むあし、ぼろ/\に腐つた麦藁屋根むぎわらやね通路かよひぢいどふてる。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
即ち鍋上にあな穿うがてる布片きれひ、内にれて之を沼中にとうじたるなり、「どろくき」としやうする魚十余尾をたり、形どぜうに非ず「くき」にも非ず、一種の奇魚きぎよなり、衆争うて之をあぶしよくすれど
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
第三の土偶どぐうは面の上下共凹みたるせんにて界されたれど、全体ぜんたいの形状境界の位置共ゐちとも他の土偶とひとしくして、示す所は同じく頭巾のへりにて面の上下をひたる形と思はる。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
股引 土偶に據りてコロボツクルの服裝ふくそうを考ふるに、身体の上半は筒袖つつそでの上着を以て覆ひ、下半は股引を以てふ。着服の順序より云へば先づ股引に付いてぶるを適當てきたうとす。此物に二種の別有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)