“筒袖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つつそで68.0%
つゝそで16.5%
つつッぽ5.8%
つつっぽ2.9%
つゝっぽ1.9%
こいぐち1.0%
こひぐち1.0%
つつっぽう1.0%
つゝツぽ1.0%
つゝッぽ1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
佐藤はその頃筒袖つつそでに、すねの出るはかま穿いてやって来た。余のごとく東京に生れたものの眼には、この姿がすこぶる異様に感ぜられた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は馬車の内で着て居る洋服の外套ぐわいたうを脱いで、それで腰から下を温めて見たり、復た筒袖つゝそでに手を通して肩の方を包んで見たりした。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
挙動しぐさ唐突だしぬけなその上に、またちらりと見た、緋鹿子ひがのこ筒袖つつッぽの細いへりが、無い方の腕の切口に、べとりと血がにじんだ時のさま目前めのまえに浮べて、ぎょっとした。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
打水うちみずをした庭の縁を二人三人の足音がして、白地の筒袖つつっぽ浴衣ゆかたを着た菊五郎が書生流に歩いて来ると、そのあとに楚々そそとした夏姿の二人。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一年の間赤い筒袖つゝっぽを着て苦役くえきをする事はもとより承知の上だが、何も二人で枕を並べて寝てえた訳じゃアなし、交際酒つきええざけを一盃飲んで居ただけで、何も証拠の無え事を間男よばわりをやアがッて
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
黒繻子くろじゅすの襟のかかったしまの小袖に、ちっとすき切れのあるばかり、空色の絹のおなじ襟のかかった筒袖こいぐちを、帯も見えないくらい引合せて、ほっそりと着ていました。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒繻子くろじゆすえりのかゝつたしま小袖こそでに、ちつとすきれのあるばかり、空色そらいろきぬのおなじえりのかゝつた筒袖こひぐちを、おびえないくらゐ引合ひきあはせて、ほつそりとました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、煙草入たばこいれを取り出した。茶色の、皮か紙か判然しないもので、股引ももひきに差し込んである上から筒袖つつっぽうかぶさっていた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だが、君、今夜の最大奇観ともいひつべきは、篠田長二の出て来たことだ、幹事の野郎も随分ずいぶん人が悪いよ、餅月と夏本の両ハイカラの真中まんなかへ、筒袖つゝツぽを安置したなどは」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
角「なに多助がまいったと、如何どういうなりでまいった、また筒袖つゝッぽを着てまいったか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)