筒袖つつっぽ)” の例文
打水うちみずをした庭の縁を二人三人の足音がして、白地の筒袖つつっぽ浴衣ゆかたを着た菊五郎が書生流に歩いて来ると、そのあとに楚々そそとした夏姿の二人。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
男は雇われたものと見え、鳥打帽に青い筒袖つつっぽという小作人らしい風体ふうていで、女の機嫌きげんを取り取りもみの俵を造っていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
田舎いなかの娘であらう。縞柄しまがらも分らない筒袖つつっぽ古浴衣ふるゆかたに、煮染にしめたやうな手拭てぬぐい頬被ほおかぶりして、水の中に立つたのは。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)