“つつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツツ
語句割合
23.8%
11.0%
10.4%
10.1%
8.2%
7.4%
6.8%
5.8%
3.8%
1.4%
0.8%
0.8%
熱々0.5%
0.5%
0.5%
衝々0.5%
0.5%
0.5%
0.3%
0.3%
0.3%
円管0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
撞突0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
砲筒0.3%
0.3%
穿0.3%
突々0.3%
竹筒0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
豆酘0.3%
0.3%
銃口0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おとこは、いえかえり、今度こんどは、失敗しっぱいをしないつもりで、けた仏像ぶつぞうをふろしきにつつんで、むら金持かねもちのところへってかけました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとい猟師のような殺生稼ぎのあらくれ男ですら、山をおそれ、はばかる心は案外強いもので、つつしむ所はつつしむのが、しおらしい。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
私は、まっ黒の、大きなつつのようなものが、私の背中にもうすこしで突き当りそうになっているのを発見して、愕いたのである。
手四箇では盆の四日間にあんがまあが来る。もとは芭蕉の葉で面をつつんでゐたが、今は許されなくなつて薄布を以てする。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
が、花簪はなかんざしが傾いたり、だらりの帯が動いたり、舞扇まひあふぎが光つたりして、はなはだ綺麗きれいだつたから、かもロオスをつつつきながら、面白がて眺めてゐた。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこには、半ばむさぼつつかれた兵士達のしかばねが散り散りに横たわっていた。顔面はさんざんにそこなわれて見るかげもなくなっていた。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
ドカアンと弾音はたかくッぽへ走った。つつは美少年の手にくられているのだった。船客たちは、耳を抑えてつ伏した。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一日は室内の整理やら、入浴やら、何かとそわそわとして暮れてしまったし、明るい食堂の晩餐をもつつましく片隅に寄って済ました。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ましてつつましいその時代の女たちの困りようは察しられる。岸近い船はわたりをかけて、尾上河岸おのえがしあたりのいきな家にたのむが、河心かわなかのはそうはいかない。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
最後に、肩とかしらと一団になったと思うと——その隊長と思うのが、つつおもてを背けました時——いらつように、自棄やけのように、てんでんに、一斉いちどき白墨チョオクを投げました。雪が群って散るようです。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我が眼先まさきしろきにつつむ菊の香の硝子戸あけて乱れたるらし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
袖口そでくち八口やつくちもすそこぼれて、ちらちらと燃ゆる友染ゆうぜんの花のくれないにも、絶えず、一叢ひとむらの薄雲がかかって、つつましげに、その美を擁護するかのごとくである。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ともの優しい、客は年の頃二十八九、眉目秀麗びもくしゅうれい瀟洒しょうしゃ風采ふうさいねずの背広に、同一おなじ色の濃い外套がいとうをひしとまとうて、茶の中折なかおれを真深う、顔をつつましげに、脱がずにいた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十年の重みにどんよりよどんで光をつつ
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
水はしだいにあふれて、光物ひかりもの衝々つつと尾をく。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一枚の火の、丸形に櫓をつつんで飽き足らず、横に這うてひめがきの胸先にかかる。炎は尺を計って左へ左へと延びる。たまたま一陣の風吹いて、逆に舌先を払えば、左へ行くべきほこさきを転じて上に向う。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昨夜、我が家の前の道を、ラウペパ王が面をつつみ、騎乗して、何用のためか、あわただしく走り過ぎた。料理人が確かにそれを見たという。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
何時いつ何處どこで、どこから降つて來るかも知れないところの、見たことも聞いたこともない未來の良人を、貞淑につつましく待つてることだ。」
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
ほんの僅かばかりの、つつましい祈願をかける人人の神神は、同じやうにつつましく、小さなささやかなほこらで出來てる。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
おたがい、心につつしみを持ち、その心をもって社会生活を整えて行く努力をしさえすれば、四海到るところに兄弟は見出せる。何も肉親の兄弟ばかりが兄弟ではあるまい。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「先生に承ったところによりますと、つつしむことにあります。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
母は自分の領分に踏み込まれたるように気をわるくするがつらく、光をつつみてことばすくなに気もつかぬていに控え目にしていれば、かえって意地わるのやれ鈍物のと思われ言わるるも情けなし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
光をつつめる女の、言葉多からず起居たちいにしとやかなれば、見たる所は目より鼻にぬけるほど華手はでには見えねど、不なれながらもよくこちの気を飲み込みて機転もきき、第一心がけの殊勝なるを
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
云い捨て懐中へ手を入れると一尺ほどの円管つつを出した。キリキリと螺施ねじを捲く音がした。と、円管先から一道の火光が、煌々然と閃めき出た。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かへでの枝に松潜まつくゞりに似た小さな鳥が飛んで来て、そそくさと樹肌こはだつついてゐたが、それいたといつた風に、ひよいと此方こちらむきに向き直つて、珍らしさうにきよろづきながら唖のやうに黙りこくつてゐる。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
自身も恐らくは無理と知りつつ無理をならべて一人で立腹して、また一人で立腹したとてまた一人で立腹して、罪もとがも無い文三に手をかして謝罪わびさしたので有ろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
(またなんで首を吊ることがあるもんか?)それどころか、つつがなく退京しちまったんですよ。僕はつい今しがたあの人を汽車に乘っけて、たせてきたところなんです。
其の考へが高じて終には洋杖ステツキで前の男の耳の後を撞突つつくが如き奇な事を演じ出す人も折節は世にある。それ等は皆氣の凝りを致した結果で、これも隨分困つたものである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
やっと、自動車で宿へ帰って——この、あなた、隣ので、いきなり、いが餅にくいつくと、あつつ、……舌をやけどしたほどですよ。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
古手拭ふるてぬぐいで、我が鼻を、頸窪ぼんのくぼゆわえたが、美しい女の冷い鼻をつるりとつまみ、じょきりと庖丁でねると、ああ、あつつ焼火箸やけひばしてのひらを貫かれたような、その疼痛いたさに、くらんだ目が、はあ
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
右の一層高くなっている麓に据えつけられた狙撃砲は、そのつつさきへ弾丸たまをつめこんで、村をめがけてぶっぱなした。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
讃州さんしゅう丸亀まるがめ京極きょうごく阿波あわ徳島とくしま蜂須賀はちすか、姫路の本多、伊予の松平など、海には兵船をつらね、国境には人数を繰出くりだし、この赤穂領を長城ちょうじょうの壁のように囲んで、やじり砲筒つつを御家中へ向けている
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮は唯胸のうち車輪くるまなどのめぐるやうに覚ゆるのみにて、誠にもいつはりにもことばいだすべきすべを知らざりき。彼は犯せる罪のつひつつあたはざるを悟れる如き恐怖おそれの為に心慄こころをののけるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
行くときは壁や障子を伝つて危気あぶなげに下駄を穿つつかけたが、帰つて来てそれを脱ぐと、モウ立つてるせいがなかつた。で、台所の板敷をやつと這つて来たが、室に入ると、布団の裾に倒れて了つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
門口には巡査か門番かの小屋こやがあって、あかりがついて居る。然し誰とがむる者も無いので、突々つつと入って、本堂のえんに上った。大分西に傾いた月の光は地をうて、本堂の縁はくらかげになって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
根もとの土を掘り下げて、そこへ小さいへやを造り、その上へ土をおっ冠ぶせ、呼吸抜いきぬきの竹筒つつ空気いきを取り、夜昼この室へ坐ったまま、時々りんを振り立てるのが、役目と云えば役目のようなもの
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼女は温かい毛皮の外套に身をつつんだ婦人に見られるのを嫌うて、それを着なかった。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
暗い霧がすぐに広間をつつむ。その霧は6440
即ち「隠れて現われざる者なく、つつみて知れず露われ出ざる者なし」とのことである(路加ルカ伝八章十七節)、今世は隠微の世である、明暗混沌の世である、之に反して来世は顕明の世である
かあちやん、とうさま、僕がつつたんだつていつても、本たうになさらないかも知れないネ。
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
その機関銃の銃口つつが、警官たちの胸元をねらった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金剛石ダイアモンドと光を争ひし目は惜気をしげも無くみはりて時計のセコンドを刻むを打目戍うちまもれり。火にかざせる彼の手を見よ、玉の如くなり。さらば友禅模様ある紫縮緬むらさきちりめん半襟はんえりつつまれたる彼の胸を想へ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)