“樹肌”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きはだ50.0%
こはだ50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その上から黄色の葉が、ぱらぱらと午後の陽に輝きながら散りかかった。渋色の樹肌きはだには真っ赤な蔦紅葉つたもみじが絡んでいた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
気候もすでに如月きさらぎ中旬なかば、風はぬるく、樹肌きはだは汗ばみ、月は湯気に蒸されたようにおぼろな晩——有情の天地が人に与える感じも、二十日前の霜針を立てていた頃とは、だいぶ違ってまいりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かへでの枝に松潜まつくゞりに似た小さな鳥が飛んで来て、そそくさと樹肌こはだつついてゐたが、それいたといつた風に、ひよいと此方こちらむきに向き直つて、珍らしさうにきよろづきながら唖のやうに黙りこくつてゐる。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ところが、この頃になつて急に樹に元気がなくなつたので、うした事かと、よく調べてみると、隣りの旅籠屋はたごやから出入ではひりする馬車のせゐで、車の肩が突き当る度に、樹肌こはだが擦りむけてゐたのだと判つた。