樹肌きはだ)” の例文
その上から黄色の葉が、ぱらぱらと午後の陽に輝きながら散りかかった。渋色の樹肌きはだには真っ赤な蔦紅葉つたもみじが絡んでいた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
気候もすでに如月きさらぎ中旬なかば、風はぬるく、樹肌きはだは汗ばみ、月は湯気に蒸されたようにおぼろな晩——有情の天地が人に与える感じも、二十日前の霜針を立てていた頃とは、だいぶ違ってまいりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)