“朧”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おぼろ67.9%
おぼ30.0%
ろう0.7%
おばろ0.4%
おぼろげ0.4%
をぼろ0.4%
オボ0.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三月四日のの事であった。宵に小降りのした雨上り、月は潜んでおぼろ、と云うが、黒雲がにじんで暗い、一石橋いちこくばしの欄干際。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
連日風立ち、寒かりしに、この夜はにはかゆるみて、おぼろの月の色もあたたかに、曇るともなく打霞うちかすめる町筋は静に眠れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
放埓ほうらつな気の荒い父親が、これまでに田舎で働いて来たことや、一家のまごつき始めた径路などが、おぼろげながら頭脳あたまに考えられた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
くわかたげし農夫の影の、橋とともにおぼろにこれにつる、かの舟、音もなくこれをき乱しゆく、見る間に、舟は葦がくれ去るなり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
明りのささなかった墓穴の中が、時を経て、薄い氷の膜ほど透けてきて、物のたたずまいを、幾分おぼろに、見わけることが出来るようになって来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
空には上弦の初夏の月が、おぼろに霞んだ光をこぼし、川面を渡る深夜の風は並木の桜の若葉にそよいで清々すがすがしい香いを吹き散らす。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
晴れてまだ晩春のろうたさが残つてゐる初夏の或る日のことである。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
ろうたる暑き魔睡ますゐ……重く、いみじく、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二十一日の夜、おばろ月夜に暗い二の丸のやぐらに、四郎出で立って、静かに下知を下した。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかま
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かぜもふわ/\とえだくすぐつて、はら/\わらはせてはなにしやうとするらしい、つぼなかのやうではあるが、山国やまぐにをぼろ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明りのさゝなかつた墓穴の中が、時を経て、薄い氷の膜ほどけてきて、物のたゝずまひを、幾分オボろに、見わけることが出来るやうになつて来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
暗いみアカシの光りの代りに、其頃は、もう東白みの明りが、部屋の内の物の形を、オボろげにアラハしはじめて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)