“朧”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おぼろ67.3%
おぼ30.4%
ろう0.7%
オボ0.3%
おばろ0.3%
おぼろげ0.3%
らう0.3%
をぼろ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は今でもうつつながら不思議に思う。昼は見えない。逢魔おうまが時からはおぼろにもあらずしてわかる。が、夜の裏木戸は小児心こどもごころにも遠慮される。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くわかたげし農夫の影の、橋とともにおぼろにこれにつる、かの舟、音もなくこれをき乱しゆく、見る間に、舟は葦がくれ去るなり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
自然や草木に対してわり合ひに無関心の老婢ろうひのまきまでが美事な蔦に感心した。晴れてまだ晩春のろうたさが残つてゐる初夏の或る日のことである。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
明りのさゝなかつた墓穴の中が、時を経て、薄い氷の膜ほどけてきて、物のたゝずまひを、幾分オボろに、見わけることが出来るやうになつて来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
二十一日の夜、おばろ月夜に暗い二の丸のやぐらに、四郎出で立って、静かに下知を下した。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかまに、小波さざなみ寄するかすかな響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震どうぶるいをして、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をのげて大路おほぢに出づれば、一七九明けたるといひし夜はいまだくらく、一八〇月は中天なかぞらながら影らう々として、風ひややかに、さて正太郎が戸は明けはなして其の人は見えず。
かぜもふわ/\とえだくすぐつて、はら/\わらはせてはなにしやうとするらしい、つぼなかのやうではあるが、山国やまぐにをぼろ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)