“おぼろげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
朧気88.0%
朧氣7.0%
朦朧1.0%
朦気1.0%
1.0%
朧朦気1.0%
朧朦氣1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はこの月に本能の尊重を知り、宇宙の真の運命と云うものはどう云うものであるかと云う事が朧気おぼろげながら分ったことを有がたく思う。
暫しがあひだあづかり呉よと言けるに爰の主個あるじも此話しは朧氣おぼろげながら聞ゐたればかく即座そくざ落着らくちやくせしを喜びすこし異議いぎはあらずして三にんを奧の座敷へ通しぬ扨忠兵衞は和吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朦朧おぼろげながらあの小諸の向町に居た頃のことを思出した。移住する前に死んだ母親のことなぞを思出した。『我は穢多なり』——あゝ、どんなに是一句が丑松の若い心を掻乱かきみだしたらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
楽しい追憶おもひでの情は、唐人笛の音を聞くと同時に、丑松の胸の中に湧上わきあがつて来た。朦朧おぼろげながら丑松は幼いお妻のおもかげを忘れずに居る。はじめて自分の眼に映つた少女をとめの愛らしさを忘れずに居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大罪人である事が今ははっきり自分に判って来た。罰せられるであろうと云う事も朦気おぼろげ乍ら判って来た。夫れは諦めなければならないものであった。
偽刑事 (新字新仮名) / 川田功(著)
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかまに、小波さざなみ寄するかすかな響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震どうぶるいをして、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その有耶無耶うやむやになった脳裡のうりに、なお朧朦気おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのようなこのへや人々ひとびとこそ、何年なんねんうことはく、かかる憂目うきめわされつつありしかと
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其有耶無耶そのうやむやになつた腦裏なうりに、なほ朧朦氣おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのやうなへや人々ひと/″\こそ、何年なんねんことく、かゝ憂目うきめはされつゝりしかと
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)