“ぼんやり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
茫然49.2%
呆然17.1%
茫乎9.6%
朦朧4.3%
漠然3.2%
惘然2.7%
朦乎2.7%
放心2.1%
盆槍1.6%
懵乎1.1%
(他:12)6.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
流石さすがの悪党も怖気立こわげたち、ものをも言わず暫くは茫然ぼんやりと立って居りましたが、お賤は気が附きませんから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
丈「オヤ喜代松、気が利かねえじゃアねえか、サッサと手伝って殴ればいのに、茫然ぼんやりして居やアがって間抜だなア」
青眼先生も最早手の附けようもなく、紅矢の死骸を見詰めたまま、呆然ぼんやりと突立っていました。そうして独り言のように——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
お定は暫時しばし水を汲むでもなく、水鏡に寫つた我が顏をみつめながら、呆然ぼんやりと昨晩ゆうべの事を思出してゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
じつ視詰みつめて、茫乎ぼんやりすると、ならべた寐床ねどこの、家内かないまくら両傍りやうわき
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
代助は今読みつたばかりうすい洋書を机の上にけた儘、両ひぢいて茫乎ぼんやり考へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
○「なに本当に知っている訳じゃアごぜえやせん、朦朧ぼんやりと知ってるんで、へえ一寸ちょっと人に聞いたんで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
水脈みおいましめる赤いランターンは朦朧ぼんやりとあたりの靄に映って、また油のような水に落ちている。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
明鏡のようにくもりのないおつるの心眼には、泰軒の大きさが、漠然ぼんやりながらそのままに映ったのかも知れぬ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
釘抜藤吉は、漠然ぼんやりとだが、いつも、こんなようなことを考えていた。岡っ引藤吉の、岡っ引らしい、これが、唯一の持論だったと言っていい。
あせがびつしりとかみ生際はえぎはひたして疲憊ひはいした身體からだをおつぎは少時しばし惘然ぼんやりにはてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
母が答へるいとまのない中に父は足早に家の方へ行つてしまひ私は朝貌あさがほつるを手に持つたなりで惘然ぼんやりとあとを見送つて居り升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ
其麽そんな事は無い! と否み乍らも、何がなしに、若しや、若しや、といふ朦乎ぼんやりした期待が、その通り路を去らしめなかつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いま、この忌中札を凝視みつめて放心ぼんやり立っている頼母の網膜もうまくに、あの、元旦の殿中の騒ぎが浮び上って来た。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その間、すこし離れたところに駕籠を守って辰が放心ぼんやり待っていたというから、こいつの眼玉は大きいだけでよくよく役に立たなかったものとみえる。
冬木立ふゆこだちと荒たはたけ藁葺わらぶき屋根と細いながれ、そんなものが盆槍ぼんやりした彼の眼にった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女が服装を改ためて夫の顔をのぞきに来た時、健三は頬杖ほおづえを突いたまま盆槍ぼんやり汚ない庭を眺めていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
懵乎ぼんやりとして了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
まだ見た事のない夢を見てゐる様な心地で、東京もなければ村もない、自分といふものも何処へ行つたやら、在るものは前の腕車に源助の後姿許り、唯懵乎ぼんやりとして了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いも悪いもあるものか、僕が引受けたからかまはんよ。遊佐、君の事ぢやないか、何を懵然ぼんやりしてゐるのだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
えず金魚きんぎよことばかりかんがへてゐたので、たゞちに彼等かれらあつめ、各々おの/\そのせきかへしてやらなければならない、さもなければみんんでしまうだらう、とあいちやんはたゞ懵然ぼんやりさうおもつてたものですから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其處からは曲りくねつた海を越し山を越して、四國の屋島や五劒山が幽かに見えるのだが、今日は光が煙つて海の向うは糢糊ぼんやりしてゐた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
突然お勢は跳ね起きて、嬉しさがこみあげて、ただは坐ッていられぬように、そして柱に懸けた薄暗い姿見にむかい、糢糊ぼんやり写るおのが笑顔をのぞき込んで、あやすような真似をして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
酒場の前を曲って遊園地の横手へ出ると、擦り切れた箒子ほうきを傍に立かけて、呆乎ぼんやり鉄柵に凭りかかっていた見すぼらしい様子をした老人が、
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
柏はすっかり気抜けがしたように呆乎ぼんやりしていて、碌に私の言葉に返事もしなかった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
お定は暫時しばらく恍乎ぼんやりとして、自分の頬を天鵞絨の襟に擦つて見てゐたが、幽かな微笑を口元に漂はせた儘で、何時しか安らかな眠に入つて了つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
顔貌が何となく惘乎ぼんやりして、どこにか気の抜けた様な処が見えるのはその為であるらしい。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
まだ細い雨が降り続いていた。薄すらとした靄が午後の明るみに包まれて、その間を小さい雨脚が銀色に縫っている。大きく宿屋のしるしの入った傘をさして行く青年の後姿を、彼女は憫然ぼんやりとして見送った。
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
窓際の机の上にはまだ洋燈ランプ曚然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
窓側の机の上にはまだ洋燈が朦然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
暗い部屋が茫漠ぼんやり手元の灯に照らされた時、御米は鈍く光る箪笥たんすかんを認めた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
皇帝の方に振向いて、おほいなる名に茫然自失ぼんやりしてゐる。