“ぼんやり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
茫然51.9%
呆然15.9%
茫乎9.3%
朦朧3.7%
漠然2.8%
朦乎2.3%
放心2.3%
惘然2.3%
盆槍1.9%
懵然0.9%
懵乎0.9%
糢糊0.9%
茫漠0.9%
呆乎0.5%
恍乎0.5%
恍惚0.5%
惘乎0.5%
憫然0.5%
曚然0.5%
朦然0.5%
茫然自失0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
茫然ぼんやりしてると、木精こだまさらふぜ、昼間ひるまだつて用捨ようしやはねえよ。)とあざけるがごとてたが、やがいはかげはいつてたかところくさかくれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……私は母指を口の中に入れて、それをチュウチュウと吸いながら、眼を細めて呆然ぼんやりとしていたの、けれども私は寂しかったのよ。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
代助は今読み切ったばかりの薄い洋書を机の上に開けたまま、両肱りょうひじを突いて茫乎ぼんやり考えた。代助の頭は最後の幕で一杯になっている。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男か女かしかとは判らぬ、ただ蒼白い顔が朦朧ぼんやりと浮き出したかと思う間もなく、四辺あたりは再びもとの闇に隠れてしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
釘抜藤吉は、漠然ぼんやりとだが、いつも、こんなようなことを考えていた。岡っ引藤吉の、岡っ引らしい、これが、唯一の持論だったと言っていい。
れいのビールだる船長せんちやう此時このときわたくし頭上づじやうあた船橋せんけううへつて、しきりにあやしふね方向ほうかう見詰みつめてつたが、先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ、途方とほうことつてつたものゝ
放心ぼんやりしているところを、不意にこのマルコルムことマクドオナルドを襲って、突嗟に、何らかの形で不用意な告白の言葉を吐かせよう——こう考えて、突如驚かしたのだが
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
仁右衛門は惘然ぼんやりしたまま、不思議相ふしぎそうな顔をして押寄せた人波を見守って立ってるほかはなかった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
何を盆槍ぼんやりしているのだろう。見ると、床の間の上下の戸棚といわず、手文庫の中といわず、書棚といわず、手あたり次第引っ掻きまわされてあったが、これは速水のやったものに違いなかった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いも悪いもあるものか、僕が引受けたからかまはんよ。遊佐、君の事ぢやないか、何を懵然ぼんやりしてゐるのだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
懵乎ぼんやりとして了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
扉は壞れて中には枯松葉が散つてゐるだけで、神體はなかつた。其處からは曲りくねつた海を越し山を越して、四國の屋島や五劒山が幽かに見えるのだが、今日は光が煙つて海の向うは糢糊ぼんやりしてゐた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
御米はまた立ち上って、洋灯を手にしたまま、あいふすまを開けて茶の間へ出た。暗い部屋が茫漠ぼんやり手元の灯に照らされた時、御米は鈍く光る箪笥たんすかんを認めた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
酒場の前を曲って遊園地の横手へ出ると、擦り切れた箒子ほうきを傍に立かけて、呆乎ぼんやり鉄柵に凭りかかっていた見すぼらしい様子をした老人が
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
柏はすっかり気抜けがしたように呆乎ぼんやりしていて、碌に私の言葉に返事もしなかった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
お定は暫時しばらく恍乎ぼんやりとして、自分の頬を天鵞絨の襟に擦つて見てゐたが、幽かな微笑を口元に漂はせた儘で、何時しか安らかな眠に入つて了つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その末は青う見える高原で、そのはては恍惚ぼんやりと知れなくなつて居ます。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
顔貌が何となく惘乎ぼんやりして、どこにか気の抜けた様な処が見えるのはその為であるらしい。早く父に分れて母の手一つに育つた。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
大きく宿屋のしるしの入った傘をさして行く青年の後姿を、彼女は憫然ぼんやりとして見送った。
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
抉られる樣に腹が痛む。子供等はまだ起きてない。家の中は森としてゐる。窓際の机の上にはまだ洋燈ランプ曚然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ゑぐられる様に腹が痛む。小供等はまだ起きてない。家の中は森としてゐる。窓側の机の上にはまだ洋燈が朦然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
皇帝の方に振向いて、おほいなる名に茫然自失ぼんやりしてゐる。