“ぼんやり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
茫然51.0%
呆然16.5%
茫乎9.5%
朦朧4.0%
漠然3.0%
朦乎2.5%
惘然2.5%
放心2.0%
盆槍1.5%
懵乎1.0%
懵然1.0%
糢糊1.0%
茫漠1.0%
呆乎0.5%
恍乎0.5%
惘乎0.5%
憫然0.5%
曚然0.5%
朦然0.5%
茫然自失0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
或日あるひのことでした、僕が平時いつものように庭へ出て松の根に腰をかけ茫然ぼんやりして居ると、何時いつの間にか父がそばに来て、
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
其晩も矢張同じやうに、同じやうな仮寝うたゝねから覚めて、暫時しばらく茫然ぼんやりとして居たが、やがて我に帰つた頃は、もう遅かつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
森右近丸が帰ってしまうと、やっぱり民弥は寂しかった。そこで一人で牀几しょうぎに腰かけ、窓から呆然ぼんやりと外を眺め、行末のことなどを考えた。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
又、小娘の時に見覺えて置いた女の、今は髮の結ひ方に氣をつける姉さんになつたのが、其處此處の門口に立つて、呆然ぼんやり往來を眺めて居る事もある。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
今の所謂文壇が、あゝ云ふ人格を必要と認めて、自然に産み出した程、今の文壇は悲しむべき状況のもとに呻吟してゐるんではなからうかと考へて茫乎ぼんやりした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あとにお春はしばしが程は、悪夢を見ている人のようにただ茫乎ぼんやりとしたまま坐っていたが、やがて前へと身を投げて、よよと哀しくき崩れました。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
○「なに本当に知っている訳じゃアごぜえやせん、朦朧ぼんやりと知ってるんで、へえ一寸ちょっと人に聞いたんで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼はM君を八幡下まで送って別れた。夏ながら春の様なおぼろ月、谷向うの村は朦朧ぼんやりとうち煙り、田圃たんぼかわずの声も夢を誘う様なおぼろ夜である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
時としてはのつつましさうに物言ふ声を、時としては彼の口唇くちびるにあらはれる若々しい微笑ほゝゑみを——あゝ、あゝ、記憶ほど漠然ぼんやりしたものは無い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
此處こゝ漠然ぼんやりとしてつて、しま素性すじやうわからず氣味惡きみわる一夜いちやあかすよりはましだとかんがへたので
後檣縱帆架ガーフひるがへはたは、まだ朦乎ぼんやりとして、何國いづこ軍艦ぐんかんともわからぬが、いまや、團々だん/\たる黒煙こくゑんきつゝ、なみ蹴立けたてゝ輕氣球けいきゝゆう飛揚ひやうせる方角ほうがく進航しんかうしてるのであつた。
歌に伴れて障子の影法師が踊る。妙な手附をして、腰を振り、足を動かす。或は大きく朦乎ぼんやりと映り、或は小く分明はつきりと映る。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
途方に暮れて惘然ぼんやりして居れば尚増える借金だ。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
仁右衛門の馬は前脚を二足とも折ってしまっていた。仁右衛門は惘然ぼんやりしたまま、不思議相ふしぎそうな顔をして押寄せた人波を見守って立ってるほかはなかった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
苗売りの声が舟松町を湊町の方へ近付いてくるのを、勘次は聞くともなしに放心ぼんやり聞いていた。
いま、この忌中札を凝視みつめて放心ぼんやり立っている頼母の網膜もうまくに、あの、元旦の殿中の騒ぎが浮び上って来た。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼女が服装を改ためて夫の顔をのぞきに来た時、健三は頬杖ほおづえを突いたまま盆槍ぼんやり汚ない庭を眺めていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
へん、意気地もないくせに威張ったことをお云いでないよ。槍突きぐらいが怖くって、夜のかせぎが出来ると思うのかえ。おまえが盆槍ぼんやりで、向うが槍突きなら相子あいこじゃないか。槍突きが出て来たら丁度いいから、富さんと二人でそいつを取っ捉まえて御褒美でもお貰いな、かかあを相手に蔭弁慶をきめているばかりがのうじゃないよ。
半七捕物帳:18 槍突き (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
懵乎ぼんやりとして了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
まだ見た事のない夢を見てゐる様な心地で、東京もなければ村もない、自分といふものも何処へ行つたやら、在るものは前の腕車に源助の後姿許り、唯懵乎ぼんやりとして了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
えず金魚きんぎよことばかりかんがへてゐたので、たゞちに彼等かれらあつめ、各々おの/\そのせきかへしてやらなければならない、さもなければみんんでしまうだらう、とあいちやんはたゞ懵然ぼんやりさうおもつてたものですから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いも悪いもあるものか、僕が引受けたからかまはんよ。遊佐、君の事ぢやないか、何を懵然ぼんやりしてゐるのだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
突然お勢は跳ね起きて、嬉しさがこみあげて、ただは坐ッていられぬように、そして柱に懸けた薄暗い姿見にむかい、糢糊ぼんやり写るおのが笑顔をのぞき込んで、あやすような真似をして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其處からは曲りくねつた海を越し山を越して、四國の屋島や五劒山が幽かに見えるのだが、今日は光が煙つて海の向うは糢糊ぼんやりしてゐた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
暗い部屋が茫漠ぼんやり手元の灯に照らされた時、御米は鈍く光る箪笥たんすかんを認めた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くら部屋へや茫漠ぼんやり手元てもとらされたとき御米およねにぶひか箪笥たんすくわんみとめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「オイ、どうした。何を呆乎ぼんやりしている」私は小声でいった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
柏はすっかり気抜けがしたように呆乎ぼんやりしていて、碌に私の言葉に返事もしなかった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
酒場の前を曲って遊園地の横手へ出ると、擦り切れた箒子ほうきを傍に立かけて、呆乎ぼんやり鉄柵に凭りかかっていた見すぼらしい様子をした老人が、
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
お定は暫時しばらく恍乎ぼんやりとして、自分の頬を天鵞絨の襟に擦つて見てゐたが、幽かな微笑を口元に漂はせた儘で、何時しか安らかな眠に入つて了つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
顔貌が何となく惘乎ぼんやりして、どこにか気の抜けた様な処が見えるのはその為であるらしい。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
まだ細い雨が降り続いていた。薄すらとした靄が午後の明るみに包まれて、その間を小さい雨脚が銀色に縫っている。大きく宿屋のしるしの入った傘をさして行く青年の後姿を、彼女は憫然ぼんやりとして見送った。
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
窓際の机の上にはまだ洋燈ランプ曚然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
窓側の机の上にはまだ洋燈が朦然ぼんやりともつてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
皇帝の方に振向いて、おほいなる名に茫然自失ぼんやりしてゐる。