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ぼんやり
ふりがな文庫
“
朦朧
(
ぼんやり
)” の例文
世話になった昔の人に、心細く附き添う
小
(
ち
)
さき影を、
逢
(
あ
)
わぬ五年を
霞
(
かすみ
)
と隔てて、再び
逢
(
お
)
うたばかりの
朦朧
(
ぼんやり
)
した間柄と云い切ってしまった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男か女か
確
(
しか
)
とは判らぬ、
唯
(
ただ
)
蒼白い顔が
朦朧
(
ぼんやり
)
と浮き出したかと思う間もなく、
四辺
(
あたり
)
は再び
旧
(
もと
)
の闇に隠れて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうしてその眼の光りで
水底
(
みずそこ
)
の鏡の
表面
(
おもて
)
を照しますと、鏡の
表面
(
おもて
)
は見る見る緑色に曇って来まして、間もなくその中から
美紅
(
みべに
)
姫の姿が
朦朧
(
ぼんやり
)
と現われましたが
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
夏ながら春の様なおぼろ月、谷向うの村は
朦朧
(
ぼんやり
)
とうち煙り、
田圃
(
たんぼ
)
の
蛙
(
かわず
)
の声も夢を誘う様なおぼろ夜である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
○「なに本当に知っている訳じゃアごぜえやせん、
朦朧
(
ぼんやり
)
と知ってるんで、へえ
一寸
(
ちょっと
)
人に聞いたんで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
水脈
(
みお
)
を
警
(
いまし
)
める赤いランターンは
朦朧
(
ぼんやり
)
とあたりの靄に映って、また油のような水に落ちている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
宵惑
(
よいまどい
)
の私は例の通り宵の口から寝て了って、いつ
両親
(
りょうしん
)
は
寝
(
しん
)
に就いた事やら、一向知らなかったが、ふと目を覚すと、
有明
(
ありあけ
)
が枕元を
朦朧
(
ぼんやり
)
と照して、
四辺
(
あたり
)
は
微暗
(
ほのぐら
)
く
寂然
(
しん
)
としている中で
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
噸數
(
とんすう
)
一千
噸
(
とん
)
位
(
くらゐ
)
、
二本
(
にほん
)
烟筒
(
えんとつ
)
に
二本
(
にほん
)
檣
(
マスト
)
、
其
(
その
)
下甲板
(
げかんぱん
)
には
大砲
(
たいほう
)
小銃等
(
せうじうとう
)
を
積
(
つ
)
めるにやあらん。
審
(
いぶ
)
かしき
迄
(
まで
)
船脚
(
ふなあし
)
の
深
(
ふか
)
く
沈
(
しづ
)
んで
見
(
み
)
えた
其
(
その
)
船
(
ふね
)
が、
今
(
いま
)
や
闇黒
(
あんこく
)
なる
波浪
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
に
朦朧
(
ぼんやり
)
と
認
(
みと
)
められたのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
僧「形は絵に
描
(
か
)
いたようなものだ、
朦朧
(
ぼんやり
)
として
判然
(
はっきり
)
其の形は見えず、只ぼうと障子や
襖
(
からかみ
)
へ映ったり、上の方だけ見えて下の方は
烟
(
けむ
)
のようで、どうも不気味なものじゃて」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
談話
(
はなし
)
は尽きて小林監督は黙って五分心の
洋燈
(
ランプ
)
を見つめていたが人気の少い
寂寥
(
ひっそり
)
とした室の夜気に、油を揚げるかすかな音が秋のあわれをこめて、冷めたい壁には
朦朧
(
ぼんやり
)
と墨絵の影が映っている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
朦
漢検1級
部首:⽉
17画
朧
漢検1級
部首:⽉
20画
“朦朧”で始まる語句
朦朧体
朦朧俥夫
朦朧状態
朦朧車夫