“惘然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼうぜん45.9%
もうぜん32.8%
ばうぜん8.2%
ぼんやり8.2%
まうぜん3.3%
うっかり1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ジャン・ヴァルジャンは我を忘れて、彼女を惘然ぼうぜんと自分の胸に抱きしめた。彼はほとんど彼女をまた取り戻したような心地になった。
離れるものは没義道もぎどうに離れて行く。未練も会釈えしゃくもなく離れて行く。玄関から座敷に引き返した小夜子は惘然もうぜんとして、えんに近く坐った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれにはには節制だらしのないさわぎのこゑみゝ支配しはいするよりもとほかつはるかやみ何物なにものをかさがさうとしつゝあるやうにたゞ惘然ばうぜんとしてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
母が答へるいとまのない中に父は足早に家の方へ行つてしまひ私は朝貌あさがほつるを手に持つたなりで惘然ぼんやりとあとを見送つて居り升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
そして一日々々の激昂の苦しさはたゞ惘然まうぜんと銷沈のくるしさに移つて行つた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
作「つい惘然うっかりいうだが、もう云わねえ様にしやしょう、実に思え掛けねえ、貴方あんた何処どこにいるだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)