“蔓”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つる66.8%
はびこ18.0%
はび3.5%
づる2.0%
かずら1.5%
かづら1.5%
ひろが1.3%
つた1.3%
1.0%
0.8%
ヒロガ0.8%
ツル0.5%
まと0.3%
まん0.3%
カゲ0.3%
カヅラ0.3%
ツラ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
能登の舳倉島へぐらじま海女あまがフキといっているのは薩摩薯さつまいもつるのことで、これを塩漬にしまたはフキ汁にして食べるそうである(島二巻)。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし、その後、きょうまでの五日間にこのエスプリのたちまちわたくしの胎内にはびこり育ったことはわれながらおどろくべきほどだった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「義理の姉のお島が手伝ったといっても先ず皆吉一人の仕事だ。黒雲五人男が江戸一パイにはびこると見せた手際は恐ろしいよ」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
頭には毛がなく、頭蓋骨ずがいこつが見えており、その上には血管が見えていた。手にはぶどうづるのようにしなやかで鉄のように重いむちを持っていた。
野良犬ならば、すぐ跳び越えられるように、崩れている所もある。かずらからんでいるむくの樹の上で、キチキチと、栗鼠りすが啼いた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それといふのでその四五十人を何とかいふかづらで何とかいふ木にくゝしつけてしまつた。そしてよく聞いて見ると大阪ではなくずつと舊く鎌倉の落人であることが解つた。
此の死は、あまりにひろがりすぎる生物を減らして、生物の間の調和をよくし、そして又、すべての生物を、絶えず若くしてゆく。
町もつじも落ち葉が散り敷いて、古い煉瓦れんがの壁には血の色をしたつたがからみ、あたたかい日光は宮城の番兵のかぶとに光っておりました。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あの車の形した草が生えているような土手の雪間には、きっと「青はこべ」もいのたくっている。「青はこべ」は百姓が鶏のひなにくれるものだと学校の小使が言った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
道は白々と廣く、夜目には、芝草のつて居るのすら見える。當麻路タギマヂである。一降りして又、大クダりにかゝらうとする處が、中だるみに、やゝヒラタくなつてゐた。梢の尖つたカヘの木の森。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
其が次第にヒロガつて、過ぎた日の樣々な姿を、短い聯想の紐に貫いて行く。さうして明るい意思が、彼の人の死枯シニガれたからだに、再立ち直つて來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
天井の中央から下げられた、その吊洋燈つりランプは、切子きりこ硝子で、シャンデリヤの様な豪華な姿を、人々の前に見せていた。そしてそれはツル草を模した金属製の黒光りした鎖で、あげさげする様になっていた。
(新字新仮名) / 楠田匡介(著)
庭に下りると、すずかけの木の木立ちのうしろは、アムペロプシスのまといかかった欄干で、湖水の波は、ひたひたとその裾を洗っておる。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
しかれども信の心にこんする、深きものあり、浅きものあり。深きものは動し難く、浅きものはゆらやすし。いま動し難きものにつきてこれを蕩揺とうようせば、幹折れ、枝くだきて、その根いよいよまんせん。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
筑波嶺ツクバネのこのもかのもに、カゲはあれど、君がみかげに、ますかげはなし
はちまきの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
即「はねカヅラ今する妹」といふ様な形になつてゐる。此はねかづらは花かづらの事であらう、と言ふ説がある。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
その意味は訣らないが、縄は綯ふ物の意味である。は物或は綯ふツラといふ風な形から音を落して、なはとだけ言うて表はして来たことが考へられる。