)” の例文
あの車の形した草が生えているような土手の雪間には、きっと「青はこべ」もいのたくっている。「青はこべ」は百姓が鶏のひなにくれるものだと学校の小使が言った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
道は白々と広く、夜目には、芝草のって居るのすら見える。当麻路たぎまじである。一降ひとくだりして又、大降おおくだりにかかろうとする処が、中だるみに、ややひらたくなっていた。梢のとがったかえの木の森。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
稻幹いながらに ひもとほろふ 薢葛ところづら。 (歌謠番號三五)
道は白々と広く、夜目には、芝草のつて居るのすら見える。当麻路たぎまぢである。一降りして又、大くだりにかゝらうとする所が、中だるみにやゝひらたくなつてゐた。稍繁つたかへの木の森がある。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)