はび)” の例文
「義理の姉のお島が手伝ったといっても先ず皆吉一人の仕事だ。黒雲五人男が江戸一パイにはびこると見せた手際は恐ろしいよ」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
間もなく聖者は自身の存在感を失って、天地にただ真白く、肉のようにしねしねした質の立方体だけが無窮にはびこっていた。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
雲はそのままはびこりもせず、かえっていつの間にか痕もなく溶け去って、又おだやかな夕暮が迎えられた。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
初めは同じ場所に限られたがだんだんはびこって十二階下や六区に進出、家号を書いた腰高障子に紋散らしの御神灯、店にはちゃちな卓子と二、三の椅子、壁際の棚に申し訳ばかりの洋酒の壜
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
その雲が非常な速度ではびこつて来るのでございます。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
飽くことを知らない暴慢と残虐とがはびこる。
奴隷根性論 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
「義理の姉のお島が手傳つたといつても先づ皆吉一人の仕事だ。黒雲五人男が江戸一パイにはびこると見せた手際は恐ろしいよ」
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
この祕密宗教が日本國中にはびこり、元祿年間の大彈壓には、江戸だけでその信徒の數四萬と註せられ、陸中の水澤では
「そんなことを言ったって、御用聞がなかった日にゃ、世の中は悪い奴がのさ張って始末が悪くなりゃしませんか。医者がなきゃ病気がはびこるように——」
「そんなことを言つたつて、御用聞がなかつた日にや、世の中は惡い奴がのさ張つて始末が惡くはなりやしませんか。醫者がなきや病氣がはびこるやうに——」
巳之松は詮議せんぎ中牢死し、根岸から山谷へかけてはびこつた切支丹も、それつ切り消息を絶つてしまひました。
「此節急にはびこつて來た、町奴まちやつこ男達をとこだての仕業ぢやありませんか」
「此節急にはびこって来た、町奴まちやっこ男達おとこだての仕業じゃありませんか」
「ヘッ、お家繁昌で。化物がはびこりますよ」