“まと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マト
語句割合
57.8%
17.9%
16.3%
5.1%
標的1.1%
正面0.3%
0.2%
目標0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
完成0.1%
射候0.1%
0.1%
的標0.1%
眞砥0.1%
真礪0.1%
0.1%
魔都0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また、時には少年の着るような薄色のかさねのぞかした好みを見せれば、次の夕方には、もう一人の男もそれに似合うた衣をまとうていた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「このまえの約束した物ですよ」と得石はじれったそうにもつれた紐を解こうとした、「——貸金の証文をまとめて持って来たんです」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
人にねらわれた事のない私、ああやって、形に表われた様な事で小石のまとにされた事などのない私はどんなに気味悪く思っただろう。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
胡麻塩羅紗ごましほらしやの地厚なる二重外套にじゆうまわしまとへる魁肥かいひの老紳士は悠然ゆうぜんとして入来いりきたりしが、内の光景ありさまを見るとひとしく胸悪き色はつとそのおもてでぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それかあらぬか、同地どうち神明社内しんめいしゃないにはげん小桜神社こざくらじんじゃ通称つうしょう若宮様わかみやさま)という小社しょうしゃのこってり、今尚いまな里人りじん尊崇そんすう標的まとになってります。
照りつよく孟宗の上に立つ光十七夜の月にわれは正面まと向く
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
それも大夫が其の金をむこうまとって、さのみ大した事でも有りますまいから、それを此方こちら整然ちゃんとして、いえさ誠に失敬だが、それは大夫の方でようにも致されようから、そんな事は心配なしに
叔母の云った通り、吉川夫婦は自分達より一足早く約束の場所へ来たものと見えて、お延の目標まとにするその夫人は、入口の方を向いて叔父と立談たちばなしをしていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「垂仁紀」に天皇狭穂姫さほひめ皇后の膝を枕にね小蛇御頸にまとうと夢みたまいし段に似、長摩納が王を殺さんとして果さなんだところは、『吉野拾遺』、宇野熊王が楠正儀くすのきまさのりを討ち果せなんだ話に類す。
どんな無神経ものの眼にでも気がつかずにいない赤い三角形の蟇口はやすやすと細田氏の注視のまととなり、氏のきりの下駄はかつと鳴って、三角形蟇口の前に止りました。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いや何も知らない広告屋の爺さんは、細田氏の恐怖のまとである三角形の旗を身体中にヒラヒラとひらめかして凱旋将軍がいせんしょうぐんの如く向うへ押しすすんで行くではありませんか。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この玄関払の使命をまとうしたのがペンである。自分は嘘をつくのは嫌だ。神さまに済まない。然し主命しゅうめいもだし難しで不得已やむをえず嘘をついた。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
それに今度は、すこし自分で研究したいことも有る。今胸に浮んで居る思想かんがへ完成まとめて書かうといふには、是非とも自分で斯の山の上を歩いて、田園生活といふものを観察しなくちやならない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『本草綱目』に越地えつち深山に治鳥じちょうあり、大きさ鳩のごとく青色で樹を穿うがってを作る、大きさ五、六升の器のごとく口径数寸かざるに土堊どあを以てす、赤白相間あいまじわり状射候まとのごとし。
先生老荘ヲ好ミ兼テ禅理ニ通ズ。教授ノ暇香ヲキテ静坐シ寝食ほとんど忘ル。玄冬和空皆方外ノりょナリ。先生射ヲ善クシ、四矢反セズトイヘドモイマダカツテまとヲ出デズ。ケダシ術ヲ原芝助ニ受ク。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして村一統の指弾の的標まとになった。
苦力頭の表情 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
眞砥まと堅石かたいし
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
鹿礪石ろくといしのざらりとした肌理きめ真礪まと青砥あおとのなめらかな当り、刃物と石の互いに吸いつくようなしっとりした味が、なんだかもう思いだせなくなったようで、心ぼそくってしようがなかったんだ
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
庭に下りると、すずかけの木の木立ちのうしろは、アムペロプシスのまといかかった欄干で、湖水の波は、ひたひたとその裾を洗っておる。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)