“纏:まと” の例文
“纏:まと”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂42
夏目漱石37
吉川英治26
中里介山26
泉鏡花25
“纏:まと”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.9%
歴史 > 伝記 > 個人伝記7.0%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆2.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
いつガンベに小賢こざかしいという感じを与えて、油をしぼられないとも限らない不安がつきまとって離れなかったから。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
と云渡して、まとめて三十両の金を出すと、新吉は幸い金がほしいから、兄と縁を切って仕舞って、行通ゆきかよいなし。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
余は再び唯々として、木瓜の中に退しりぞいて、帽子をかぶり、絵の道具をまとめて、那美さんといっしょにあるき出す。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あなたの頭の上には、一すじの邪気が立っている。あなたの体には、怪しい物がまとうている、用心しなくては命があぶない」
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……戸外おもてをどッどと吹く風の中へ、この声を打撒ぶちまけたら、あのピイピイ笛ぐらいにまとまろうというもんです。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女は、長羅を身辺に引き寄せる手段として、かぶとの上から人目を奪うくれない染衣しめごろもまとっていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
されどこれも我がむかし蒔きて、久しく忘れ居たりし種の、今緑なる蔓草つるくさとなりて、わが命の木にまとへるなるべし。
かの淑女に從はんため我若うして世をのがれ、身に彼の衣をまとひ、またわが誓ひをその派の道に結びたり 一〇三―一〇五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「あなたの頭の上には、一すじの邪気が立っている、あなたの体には、怪しい物がまとうている。用心しなくては命があぶない」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
貞子の豪奢ごうしゃな生活にも浮世の黒い影は付きまとうて人知れず泣く涙は栄華の袖にかわく間もないという噂である。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
階下したへ降りて、着物を出させ、それを身にまとうと逃げるように戸外そとへ駈け出した。そして瀬田の橋まで来て見た。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無事に話がまとまつて、あの男が私の片腕になつて呉れるやうなら、さうやきもきするでもなかつたと、今では思つてゐるのさ。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
暮の二十日過ぎに、お国は新吉と相談して、方々借り集めたり、着物を質に入れなどして、少しまとまった金を送ってやった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「それが奇妙きみょうで、学校の門を出るとすぐに題が心に浮んで、わずかの道の中ですっかり姿すがたまとまりました。」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さては、あのがんりきの百とやらの小盗人こぬすっとめにねらわれて、つきまとわれる煩わしさからのがれようためか。
売掛けもどうかと思って、その月の半端はんぱの分をまとめて書付にして出すと、その翌日は綺麗きれいに払ってくれました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
勝平に付きまとっていた芸妓げいぎ達も、先刻さっき踊りが始まる拍子木が鳴ると、皆その方へけ出してしまった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
学校からまとめて注文ちゅうもんするというのでぼく苹果りんごを二本と葡萄ぶどうを一本たのんでおいた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ローマネスク、ゴシツク時代じだいになると、餘程よほど進歩しんぽして一のまとまつたものが出來できた。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
叙事の匂いのつきまとった長詩形から見れば、短詩形の作物は、生命に迫る事には、一層の得手を持っているわけである。
歌の円寂する時 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
一生の間にかじつた野菜を、一まとめに汽車に積み込むとしたら、貨車を三マイルばかしつながねばならぬ事になる。
一方は木綿服に小倉織の短袴たんこを着すれば、他方は綸子りんず被布ひふまとい、儼然げんぜんとして虎皮に坐す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いくさじゃぞ。こんどのは、大きい戦らしい。この辺の者も、今のうち、家財をまとめて逃げぬと、逃げはぐれようぞ」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
派手も明るさも、平家の人々がまとった浮薄ふはくとはちがう。繊弱せんじゃくではない。いたずらにぜいでもない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝からの軍議だった。――軍議といえば、彼は具足を下に着、緋衣ひいをうえにまとって、陣中にあるとおりな装いをしていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「穴だよ。――あらがねほうり込んで、まとめて下へげる穴だ。鉱といっしょに抛り込まれて見ねえ……」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翌朝、岸本は離座敷はなれの廊下から庭へ降りて、独りで考えをまとめるために無花果いちじくの下へ行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
(多くの場合においてはこう一言にまとめられないにもかかわらず)次に乙なる人が出て来てA′と云う作物を公けにする。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
タパをまとった者、パッチ・ワークを纏った者、粉をふった白檀びゃくだんを頭につけた者、紫の花弁を頭一杯に飾った者…………
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
いづ其中そのうち読む事にしやうと云ふ考で、一所にまとめた儘、立つて、本棚のうへかさねて置いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
全身の豊満な肉体を露出するよりは、薄物うすものまとうた姿にかえって情調をそそられるといったような心理もないではない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かち色なる方巾はうきん偏肩へんけんより垂れたるが、きれまとはざるかたの胸とひぢとは悉く現はれたり。
五六十歩りて、巨人の頬髯のやうに攀援はんえん類のまとひついた鬱蒼たる大榕樹の下迄来た時、始めて私は物音を聞いた。
夾竹桃の家の女 (新字旧仮名) / 中島敦(著)
なるほどひと晩のことだから一つにまとめて現した方が都合は可いかも知れないが、一時間は六十分で、一分は六十秒だよ。
その時、行手の薄の蔭から、それらしい姿が見えて来た。木の葉の着物を身にまとい、あかざの杖を手について、静かに歩む老人姿。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は何かまとまった職業に従事すると、三日目から顱頂骨ろちょうこつの辺がずきりずきりと痛み出すので一週間と続かなかった。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
霧は次第に深く、かてて雨、止むを得ず合羽かっぱまとい、岩陰で暫時雨を避け、小降りの折を見て、また登り始める。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
此処が槍の直下だろうとて、荷物をてて行こうとすると、もう一つ小峰があるとの事、で早々まとめてまた動き出す。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
見よ! 前方遥かに遠く、甲板上から遠望した、あの雪をまとう大高山がそびえ立ち中腹には白雲が悠々と流れている。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
これ以上の詳しいことは私共が倫敦ロンドンへ帰りました後にまとめ上げる論文によって御承知を願うことといたします。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
わななく二つのたなごころが白刃を潜って執抛しつこく附きまとうには、半沢良平もことごとく持て余しました。
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「それじゃ大急ぎで飛んで行って、掛り合いの者を一人残らず集めておいてくれ。どこかへまとめて、一人も外へ出しちゃならねえ」
晩年にはよく父は「自分が哲学を、自分の進むべき路として選んでおったなら、きっとまとまった仕事をしていたろう」と言っていた。
私の父と母 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかしその他は全く不得要領で、ほとんど風と話をするごとくにまとまらない雑音がぼうぼうと鼓膜に響くのみであった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大江山捜査課長は、警視庁の一室でただひとり、「省線電車射撃事件」について、想念をまとめようと努力していた。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
細腰がまとふもの数ふれば帯をはじめとして、下紐に至るまで凡そ七条とは驚くべく、これでも解けるから妙なものなり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、着物は剥ぎ取られましても、この心にはまだまだ我慢邪慢のうみのついた衣が幾重いくえにもまといついておりまする。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼は妻の病室のドアーを開けた。妻の顔は、花瓣にまとわりついた空気のように、哀れな朗かさをたたえて静まっていた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
二重ふたへの光をかさまとひしかの聖者は、そのふしにあはせてめぐりつゝ、かく歌ふと見えたりき 四―六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかし中にはまとまった結果を得なかったり、また得てもそれを発表しないで死んでしまった者も沢山あるかもしれない。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それと同時に再び〓畜ちくしょうまとわれたなら、湖南の浄慈寺にわしを尋ねて来いと云った法海禅師のことばが浮んで来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
身には襤褸らんるまとうとも心ににしきの美を飾りつつ、しばらく自活の道を立て、やがて霹靂へきれき一声いっせい
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
想えばここを去りし時のさびしく悲しかりしに引き換えて、今は多くの人々に附きまとわれ、賑々にぎにぎしくも帰れることよ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
あるいは結局いつまで論議してもまとまりの付かないような高次元の迷路をぐるぐる廻るようなことになるかもしれない。
学問の自由 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この五六日、祝儀しゅうぎを多くやったり写真を撮ってやったりしてつきまとうていた女が応じたので、天風はひどくうれしかった。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
――否、すでに昨夜ゆうべから、この狐が、自分のうしろにまとっていたに違いないという気持さえ咄嗟とっさに起った。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
カムシュバギという一種のつるある植物をもって頭にまとい、御岳の中にあるカムシュ屋に入って、祝女のつかさは神と話をする。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
種吉の手に五十円の金がはいり、これは借金ばらいでみるみる消えたが、あとにも先にもまとまって受けとったのはそれきりだった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
疑わしいときは、個人としての先輩やら朋友やら、信用のある外国人の著わした書物やらに聴いて、自分の考えをまとめれば沢山である。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一人の世界を方寸にまとめたる団子だんしと、他の清濁を混じたる団子と、層々相連あいつらなって千人に千個の実世界を活現する。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるときは白きひげゆるき衣をまといて、長きつえの先に小さきひさごくくしつけながら行く巡礼姿も見える。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女は津田が病院へ入る時、彼に入用いりようの手荷物をまとめるため、二三日前にさんちまえすでにそこをさがしたのである。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
愛子はまた校長先生の意志にも言い及んで、叔父さんさえ承諾すればこの縁談はまとまるものと思うと書いてよこした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この取捨のない意味なども、実はバルザック論のところどころにあるのを私が、まとめて布衍ふえんして行くくらいなものであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その人影は帆村荘六の醒めきらぬ眼にハッキリした印象をのこさなかったが、和服をまとった長身の男らしく思われた。
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
腹巻の上に引きまとった紅の掛け布が斜陽に射られて血のように深紅に輝くのが荒涼たる曠野こうやと相映じ一種の鬼気を呼び起こす。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こまこました土産物などを買い集めるに腐心しているお銀の頭にも、笹村の郷里へ対する不安が始終附きまとっていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
はしたのないようにする物、まとめて置く物に事をいて、借金を纏めて置かないでも好さそうなものである。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すでにその辺からまとまったことであるから、それが城下へうつる時は、一層の人気になるのは無論のことであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうしておいて威力と和解と両方面から事をまとめることも、この男としては容易たやすい仕事であると思いました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おお、此方衆こなたしゅはその註文のぬしじゃろ。そうかの。はて、道理こそ、婆々ばばどもが附きまとうぞ。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平安な時あらゆる人に絶えず附けまとはる自己広告の衒気げんきほとんど意識にのぼる権威を失つてゐる。
艇長の遺書と中佐の詩 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
来客の足が、やゝ薄らいだ頃だった。此の結婚をまとめた殊勲者である木下が新調のフロックコートを着ながら、ニコニコと入って来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それについて私の平生の疑問は、これらの連作をされる方々が、どういう方法で一聯の連作をまとめておられるかということであります。
書簡(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もう何事も考えまいと思ったが、熱のために乱れた頭にはさっきまで考えていたような事がうるさく附きまとうて来る。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
枯野かれのたたずんでさみしさう、しかなんとなく活々いきいきして、扱帯しごき一筋ひとすじまとうたら
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして良經よしつねうた氣分きぶんをすっかりつて、一種いつしゆうたまとめてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「いつもの通り、帳面をしておりました。家賃や地代の払わない分をまとめて、五日には一と廻りしなきゃなりません」
わたしはさっきからそのまぼろしを追うこころを歌にしようとしていたのですけれどうまいぐあいにまとまらないので困っていたのです。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
井原氏はあっけに取られた様に、ぼんやりして、相手の顔を眺めていた。彼は余りのことに考えをまとめる力をなくした人の様に見えた。
二癈人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そしてめったに洗濯をしたことがなく、おまけに彼女はそれらを素肌へまとうのが癖でしたから、どれも大概はあかじみていました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
繰返くりかえして云う通り、演説はできず講義としてはまとまらず、定めて聞苦しい事もあるだろうと思います。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
涙を十七字にまとめた時には、苦しみの涙は自分から遊離ゆうりして、おれは泣く事の出来る男だと云ううれしさだけの自分になる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また、その身体の下半部にまとっている腰巻が、一目見た者が思わず顔を背けねばならないほど、ひどいものでした。
島原心中 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
結婚の時に用いた夫の羽織袴はおりはかま、それから彼女の身にまとうた長襦袢ながじゅばんの類まで、吹通る風の為に静かに動いた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それにしてもまとまった金を自分の懐ろにして、外へ出るということは、彼の生涯を通してかつて無いことであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
伯母は家の中の掃除そうじをするとき、お茶や生花の師匠のくせに一糸もまとわぬ裸体でよく掃除をした。
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)
しかし人々よ気を付けなければならない! その朦朧たる霧の中を雪の白無垢しろむくまとったところの殺人鬼が通って行くのだから。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は物を書く時、面白い構想が浮ばないとか、筋がまとまらないとかいうような場あいには、六朝小説を出して読む。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
維新前後の吾身わがみ挙動きょどうは一時の権道けんどうなり、りに和議わぎを講じて円滑えんかつに事をまとめたるは
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
京子がひょっとして或る病的妄想にとらわれ出すと、加奈子の生活はまるできものにでもまとわれたように暗い陰を曳き始める。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「こんなものはバスケットがいいんでしょう」お絹はそこにあった空気枕や膝掛けや、そうした手廻りのものを、手ばしこくまとめていた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
執念ぶかく追いかけて来た敵の大庭景親の兵は、頼朝が、どうくらまそうとしても、においをぎ知って、まとって来た。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
角はみごとに内まで突通ったが、この金鐃はあたかも人の肉のごとくに角にまといついて、少しのすきもない。
ですもの、私に絶えずつきまとっているのが、そのしぶとい影だとしたら、たとえば悪魔に渡されようたって……。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そうして黄色い声や青い声が、梁をまと唐草からくさのように、もつれ合って、天井からってくる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、この不動三尊をまとめ上げるには容易なことではなく、三、四年の歳月はっていて、私の年齢も、もう十六、七になっている。
世にも稀な大悪人、天下をだまし取ろうとした大かたり、こんな恐ろしい名が、きっとあの男に永く永くつきまとうに違いございませぬ。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
かかる理の当然一片の判断が自己を支配する如くに、同じく当り前さという観念が、やはり自己の生息する明治の歴史にも付けまとっている。
しかと認めがたけれど大抵青大将という蛇に似たり、この蛇水中にて人の手足をまとえど捕り殺す事を聞かず。
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