“しるし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シルシ
語句割合
20.5%
10.3%
9.7%
9.0%
7.0%
5.8%
首級4.9%
記号3.1%
2.0%
効験1.4%
1.4%
1.3%
1.3%
休徴1.1%
記念1.1%
象徴1.1%
表示0.7%
0.7%
符号0.7%
徴候0.7%
証拠0.7%
0.5%
0.5%
徽章0.5%
表徴0.5%
記章0.5%
印記0.4%
体徴0.4%
0.4%
墓標0.4%
標識0.4%
目標0.4%
表章0.4%
記印0.4%
證據0.4%
0.4%
0.4%
効果0.2%
徴號0.2%
啓示0.2%
徽號0.2%
0.2%
符牒0.2%
聘礼0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
兆候0.2%
前兆0.2%
功驗0.2%
効驗0.2%
商標0.2%
墓石0.2%
実効0.2%
実証0.2%
徴号0.2%
応現0.2%
提灯0.2%
0.2%
旗幟0.2%
標印0.2%
標幟0.2%
標本0.2%
標札0.2%
標示0.2%
標章0.2%
焼印0.2%
特徴0.2%
現象0.2%
瑞兆0.2%
0.2%
甲状腺0.2%
0.2%
石碑0.2%
0.2%
0.2%
結納0.2%
花判0.2%
號衣0.2%
表象0.2%
記標0.2%
記號0.2%
記載0.2%
証跡0.2%
證徴0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「彫れますかな? 本式の親分になるしるしに。……そしたら、僕も、やっぱり、龍を彫ります。そして、百合の花をあしに握らせますよ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
結局翼なくても飛ぶと讃えてこれを省いたと、蛇や蜥蜴に似ながら飛行自在なるしるしに翼を添えたと趣は異にして、その意は一なりだ。
おもむろに眼を開きたる梅子の視線は、いつしか机上に開展されたる赤紙の第三面に落ちて、父が墨もて円くしるしせる雑報の上をたどるめり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それは寛正の頃、東国おおい旱魃かんばつ太田道灌おおたどうかん江戸城にあって憂い、この杉の森鎮座の神においのりをしたしるしがあって雨降り、百穀大にみのる。
あの古き大津絵がくまなく美しいのは、救いが果されているしるしではないか。美しい大津絵の凡ては、自然の力の恵みを受けているのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それは貞節の神秘なしるしで、バルバロッサをしてイコニオムの発掘の中に見い出されたディアナに恋せしめたところのものである。
丘では、追々とひきあげて来る人々が、各〻て来た敵の首級しるしを、藤吉郎の床几しょうぎの前にならべ合って、血のさかもりにどよめいていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この「磐井」「盛岡」の地図の表は山の記号しるしで埋まっている。この山と山の重なっている中には、どのような寂莫な、神秘がかくされているだろう。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
「拙者は竹腰藤九郎たけのこしとうくろうでござる、おしるし頂戴ちょうだいして、先君せんくん道三入道殿にゅうどうどの修羅しゅら妄執もうしゅうを晴らす存念でござる」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
雨乞いの祈祷はの刻(午前十時)を過ぎても何の効験しるしも見えなかった。壇のまわりには北面ほくめんの侍どもが弓矢をとって物々しく控えていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
清葉とお孝の名をしるしにした納手拭おさめてぬぐいの、一つは白く、一つは青く、春風ながら秋の野にくずの裏葉のひるがえる、寂しき色にでてそよぐを見つつ、去るに忍びぬ風情であった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれ曙立あけたつの王におほせて、うけひ白さしむらく一〇、「この大神を拜むによりて、まことしるしあらば、このさぎの池一一の樹に住める鷺を、うけひ落ちよ」
椰子の葉は勝利のしるし、中空高く、梢の敷桁となつて、光明の中に搖動ゆれうごきつつ廣がり、しかも其自由の重みに項垂うなだれる。
椰子の樹 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
隠微かくれたるに鑒給みたまう神様よ。どうぞどうぞ聖名みなあがめさせ給え。み休徴しるしを地上にあらわし給え…………
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今の私の法悦はたとうるものもありません。そうです、お礼に参籠した今宵を記念しるしとして、ただ今からは御告命の二字をいただいて、善信と名乗ることにいたしまする。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐保子さほこ昨日きのふまでに変つての兄弟からまれて孤独になつた象徴しるしであるらしいと台所で女中に云つて聞かせたりもおつやさんはなさいました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
つまり、親愛な黄色——アレキサンドライトの方が吉で、紅玉ルビーの血は勿論凶なのでございます。そして、この二つを諾否の表示しるしにして、どっちかを
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
痩せた、透徹るほど蒼白い、鼻筋の見事に通つた、険のある眼の心持吊つた——左褄とつた昔を忍ばせる細面の小造だけにずうつと若く見えるが、四十を越したしるしは額の小皺に争はれない。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日出る前に上に並んだ炭に一々符号しるしを附けて置いたので御座います。それがどうでしょう、今見ると符号しるしを附けた佐倉が四個よっつそっくり無くなっているので御座います。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
したがって、文字を解することは、かえって生命力衰退の徴候しるしとしてしりぞけられた。悟浄が日ごろ憂鬱ゆううつなのも、畢竟ひっきょうかれが文字を解するために違いないと、妖怪ばけものどもの間では思われておった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
やがて内衣嚢うちかくしから名刺入れを出して、その中の一枚を自分で来たという証拠しるしに折り曲げて、女の前の丸卓子テーブルの上に載せた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ぢやが、海苔のりじょう煎餅せんべいの袋にも、贈物おくりものは心すべきぢや。すぐに其は対手あいてに向ふ、当方の心持こころもちしるし相成あいなる。……将軍家へ無心むしんとあれば、都鳥一羽も、城一つも同じ道理ぢや。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
介抱したしるしがあって漸々よう/\気がついてわしも悦ばしゅうございますが、決して心配をなさいますなよ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
爾来竜頭アサーと呼ばれた。これ英国で竜を皇旗とする始まりで、先皇エドワード七世が竜を皇太子の徽章しるしと定めた。
「そのたての一眼は、愛染明王の淫眼といって、ことに意味深い表徴しるしになっている」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つげれば是さへ喜びて忽地たちまち心地は能く成けり忠兵衞たゞち結納ゆひなふそろへる中に其日は暮行くれゆ明日あすあさに品々を釣臺つりだい積登つみのぼせ我家の記章しるし染拔そめぬきたる大紋付の半纒はんてん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不幸なる猶太教徒の皆負へるカイン(亞當アダムの子)が印記しるしは、一つとしてその面にあらはれたるを見ざりき。又その詞さへその聲さへ、猶太の民にあるまじきものなり。ベルナルドオよ。
見るとお母様は不図ふと思ひ付いてこれこそ神様から娘によい着物を下さると云ふ体徴しるしであらうと思ひましてその卵のかへるのを待つてりますとやがて沢山の蠶が生れましてとこの上を這ひ初めました。
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
「そうだわ。此処に何かしるしがあるんじゃないの。これはまた妙ね」
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……ことに、お石碑の註文をうけて、内匠頭様のお墓標しるしを彫っているってえと、彫っているうちに、殿様のお心だの、瑤泉院ようぜいいん様のお気もちだの、又、赤穂藩の大勢様が
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舳に金色きんしよくに光つてゐるうを標識しるしが附いてゐるからの名である。シツペの持舟にこれ程の舟が無いばかりでは無い、テルモンド市のあらゆる舟の中でも、これ程立派で丈夫な舟は無い。
言い訳なさに万年橋へ目標しるしを残して身を投げて死んだろうかと云うのは、此方こちらの鑒定だよ
ことわが弦月丸げんげつまるいま萬里ばんり波濤はたうこゝろざして、おと名高なだか地中海ちちゆうかい紅海こうかい印度洋等インドやうとう難所なんしよすゝらんとするその首途かどでに、滊船きせん安全あんぜん航行かうかう表章しるしとなるべき白色檣燈はくしよくしやうとう微塵みじんくだけて、その燈光ともしびえ、同時どうじ
紺とはいえど汗にめ風にかわりて異な色になりし上、幾たびか洗いすすがれたるためそれとしも見えず、えり記印しるしの字さえおぼろげとなりし絆纏はんてんを着て、補綴つぎのあたりし古股引ふるももひきをはきたる男の
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私欲ならざりける證據しるしは、家に餘財のつめる物少なく、殘す誹りの夫れだけは施しける徳も、かげなりけるが多かりしかば、我れぞ其露にとぬれ色みする人すらなくて、醜名ながく止まる奧庭の古池に
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
紋章の発達については沼田頼輔氏の有益な研究があって、はなはだ明らかであるが、幾何学的の図形を用いて家のしるしとしたこと、ずいぶん芸術的な仕方であった。
芸術と数学及び科学 (新字新仮名) / 三上義夫(著)
村長の像ならば村費をもって記念像を作る議が可決されているし、地主ならば彼自らが自らの人徳を後世の村民にのこすためのしるしとして、費用を惜まずおのれの像を建設して置きたい望みを洩らしている。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
二つ戸口のこの宿にいることの効果しるし
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
世に生れて来た効果しるしに何があるか?
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
即ちこれらのもの己をもてあたかもミノスのむすめが死のつめたさを覺えし時に造れるごとき徴號しるしを二つ天につくり 一三—一五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくてかのたふと徴號しるし、いよ/\つよく目を燃やしつゝ、我をながく驚異あやしみのうちにとめおかじとて、答ふらく 八五—八七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
女1 恐しいことでございますわね、今日も、また何か縁起の悪い啓示しるしが空にあらわれたと云っていますから、充分に気を付けないと、いつどんなことが起るかも分りませんわ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
……御覧ごらんなさい! 鮮かな緑の竹の葉を通して、輝かしい僕達の太陽が恵みの光を投げかけているではありませんか!……あれこそは偽りのない神の祝福の啓示しるしです。僕達は祝福されているのです。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
たゞ彼等各〻色も徽號しるしもとり/″\なる一のふくろを頸に懸けまたこれによりてその目を養ふに似たるを認めき —五七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こゝにひとり白き小袋に空色の孕める豚を徽號しるしとせる者我にいひけるは、汝このほりの中に何を爲すや 六四—六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かれここに邇藝速日にぎはやびの命三八まゐきて、天つ神の御子にまをさく、「天つ神の御子天降あもりましぬと聞きしかば、追ひてまゐ降り來つ」とまをして、天つしるし三九を獻りて仕へまつりき。
日浮びてひかりを重ね、雲散りてかすまず。えだを連ね穗をはすしるしふみひとしるすことを絶たず、とぶひを列ね、をさを重ぬるみつきみくらに空しき月無し。名は文命よりも高く、徳は天乙にまされりと謂ひつべし。
「金子を転々と埋め変えて、そのつど符牒しるしをつけたのが、ほかならぬ吉田武左衛門なのだよ。……わしの門下の中にあっても、信用のおける人物であった」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「目的の地も近くなった。京丸の地はもう間近だ」いいいい老儒者は綴じ紙の面に描かれてある細密の地図のその一所に記されてある牡丹ぼたん符牒しるしへ眼を注いだ。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御釜の音なかりしは、祝部等はふりたちが身の清からぬにぞあらめ。既に聘礼しるしを納めしうへ、かの四三赤縄せきじようつなぎては、あたある家、ことなるくになりともふべからずと聞くものを。
はやく日をえらみて三五聘礼しるしれ給へと、あながちにすすむれば、盟約ちかひすでになりて、井沢にかへりごとす。やが聘礼しるしを厚くととのへて送りれ、三六よき日をとりて婚儀ことぶき三七もよほしけり。
さあ、嘘でないしるし一献差ひとつさすから、その積で受けてもらはう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我は共に坐すること二時間ばかりなりしに、舟人は急に我を呼びて歸途に就かんことを促せり。こは颶風ぐふうしるしありて、岸區リドとヱネチアとの間なる波は、最早小舟を危うするに足るが故なりと云へり。
私事わたくしこと人々の手前も有之候故これありさふらふゆゑしるしばかりに医者にも掛り候へども、もとより薬などは飲みも致さず、みな打捨うちす申候まをしさふらふ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「五郎の手簡など、見るまでもない。木曾の変心は、事実だろう。彼といい、梅雪入道といい、近年、いぶかしい兆候しるしはいくらもあった。——叔父御、御苦労ながら、また御出陣ください。勝頼も参りますれば」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その男は余程の御幣ごへいかつぎとみえて、その日の新聞紙の上にくもが一ぴきとまつてゐるのを見て、気にかゝつてならないから、幸運か悪運か、どつちの前兆しるしなのか
えらぶ物から功驗しるしすこしもあらずして次第漸次しだいおもり行き昨今にては到底とても此世の人には非じと醫師も云ひ吾儕共わたくしどもも思ひますれば節角せつかくお娘御を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おとさぬやう可笑をかしくもあらぬことにまで笑ひなぐさめ居たりしが兎角とかく藥の効驗しるしもなく夏もさり秋も過てはや其年もくれになりけれども一向にしるしも見えずかくて居ることすでに一年餘りに成ければ路用ろようたくはへとてもお花が所持しよぢせし百兩は惡漢わるものに奪ひ取れ友次郎がもちし百兩も岡山を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今は竹の皮づつみにして汽車の窓に売子出でて旅客にひさぐ、不思議の商標しるしつけたるが何某屋なにがしやなり。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「オオ、袖ヶ浦のなぎにのぞんで、兄上のお墓石しるしが見えるわ……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
命の実効しるしはわずかにこの一瞬。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
「その実証しるしを、眼にも見よ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これも指導役しどうやくのおじいさんからおしえられて、わたくしおんなねむっているときに、しろたま神様かみさまからさずかるゆめせてやりました。御存ごぞんじのとおり、しろたまはつまりおとこ徴号しるしなのでございまして……。
すると、何となく、『よろしい‼』というような一種の応現しるしというのか確信というのか私にはよく解らないが、ある瞬間が私のうちに来るのです。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
提灯しるしを持っているほうは、海部同心の安井民右衛門たみえもん土岐とき鉄馬のふたり。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樣子やうすあつて云ひかはせし、夫の名は申されぬが、わたし故に騷動起り、その場へ立合ひ手疵てきずを負ひ、一旦本復ほんぷくあつたれど、この頃はしきりに痛み、いろ/\介抱盡せどもしるしなく、立寄るかたも旅の空
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
いやまぎれない菊水の旗幟しるしがすぐわかった。で、正季たちは、ふもとの西国街道で駒をおりて待っていた。——近くにある築土ついじは、水無瀬みなせノ宮のあとらしく「伊勢物語」に
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とすれば、米を喰いつづけて生きた標印しるしを、木牌一つに残したく思う祈願は人人から消えぬだろう。
左様さやう何人なんびとか罪の悩をいだかぬ心をつでせうか」と篠田は飛び行く小鳥の影を見送りつゝ「けれど、悩はやがて慰に進む勝利の標幟しるしではないでせうか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
千度ちたび乙女の恋を試み、千度乙女に成功した、俺は云う! 乙女は弱く果敢はかないものの世にまたとなき標本しるしと! (女子を見て)弱き乙女のお前の心も、これで三度試みた。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けやきの板に「大勘だいかん」と書いて、表に打ってある標札しるしをたしかめながら——実は海部代官所で所も内状も調べてきてはいるのだが——どこまでも不案内の渡り者らしく装って
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、心着くと標示しるし萌黄もえぎで、この電車は浅草行。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その、燃えるような緑の髪も、惨苦と迫害の標章しるしでのうて、なんであろう。そもじは、ネルチンスクの銅山にまで流れていき、髪にそのような、中毒が現われるまで、つらい勤めを続けたのであろう。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「他にどこか、これという特徴しるしがあったか」
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いっそ不景気の現象しるしですと、茶屋奉公の昔から、胸間に欝積した金玉の名論を洪水おおみずの如く噴出されて、貞之進はそうかそうかとただ点頭うなずいて居たが、それでも小歌という好児が御在ますと
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
以為おもえらくまさに隣国嬪嬙ひんしょうを貢する者あるべし、明年姚興ようこう果して来り女を献ず〉すなわち白兎は色皙の別嬪が来る瑞兆しるしで、孝子の所へも来る由見え
二十五日、内侍所としるし御箱おんはこをお迎えに、鳥羽に公卿たちがお迎えに出た。
ただ、濃い眉、ふとい鼻ばしら、嬰児あかごこぶし大もあるのんど男性おとこ甲状腺しるし——それだけは母のものではない、いて血液の先をたずねれば、大曾祖父おおそうそふ源義家のあらわれかもしれない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がんこれを見ればまづ二三こゝにをりておのれまづ求食あさり、さてふんをのこしてしよくある処のしるしとす、俚言りげんにこれをがん代見立しろみたてといふ。雁のかくするは友鳥ともどりつどひきたりて、かれにも求食あさらせんとて也。
尖つた三角型の洒落た石で、舞妓まひこの振袖にも包まれさうな小さな石碑しるしである。
世のはて何處いづことも知らざれば、き人のしるしにも萬代よろづよかけし小松殿内府の墳墓ふんぼ、見上ぐるばかりの石の面に彫り刻みたる淨蓮大禪門の五字、金泥きんでいいろあらひし如く猶ほあざやかなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かねて此の山にみつるとは聞きしかど、まさに其の音を聞きしといふ人もなきに、こよひのやどりまことに五七滅罪生善めつざいしやうぜんしるしなるや。かの鳥は清浄しやうじやうをえらみてすめるよしなり。
これらの相談中に日本とかあるいは欧米の風俗のように幾許いくばくかの結納しるしを納めて、そうして財産はどれだけ持って来るとか、あるいは何箇の荷物を贈るというような事は決してやらないです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「いえいえ、小馬田こまたのご領内に住むただの使い屋にすぎません。ほかにも御用をおびて、あちこち駈けずり廻っている者。お花判しるしをいただいたら、さっそくこれでお別れを」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法皇の禁軍まもりのつはもの號衣しるしを着たる、わかく美しき士官は我手を握りぬ。人々さま/″\の事を問ふに、我は臆することなく答へつ。その詞に、人々或は譽めそやし、或は高く笑ひぬ。
汝の言葉はみな我にとりて愛のなつかしき表象しるしなり 二五—二七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そのほかはすべて雨ざらしで鳥や獣に食われるのだろう、手や足がちぎれていたり、また記標しるしに取られたか、首さえもないのが多い。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
イエルサレムメの跛者あしなへの善は一のにてしるされ、一のエムメはその惡の記號しるしとなりて見ゆべし 一二七—一二九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
裏返うらかへしてとぢたる帳面一册ありひらき見るにしうとめが日々の容體大小便の度數迄委敷くはしく記載しるしてありしとてすなはち是へ差出せりよつて披き見るに其の深切に認め有事此一條を以ても菊が姑を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは疑いもない向う鉢巻を致しました証跡しるしで……つまり丁半や花札を引きまする場合には、男でも鬢の乱れを止めるために幅広う鉢巻を致しまする者が多いので
目覺めたと云ふ證徴しるしを持つた樣な新らしい仕事は一とつとして出來上つてはゐなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
四歳のときにひどく海を嫌ったのがそのしるしをなしたとでも云うのかもしれない。
海水浴 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)