“しるし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シルシ
語句割合
21.2%
10.1%
9.5%
8.3%
7.3%
5.8%
首級5.4%
記号3.2%
2.0%
効験1.6%
1.4%
1.4%
休徴1.2%
象徴1.2%
1.2%
記念1.0%
表示0.8%
0.8%
符号0.8%
徴候0.8%
証拠0.8%
0.6%
0.6%
0.4%
墓標0.4%
徽章0.4%
標識0.4%
目標0.4%
表徴0.4%
表章0.4%
記印0.4%
記章0.4%
證據0.4%
0.4%
効果0.2%
徴號0.2%
啓示0.2%
徽號0.2%
0.2%
符牒0.2%
体徴0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
兆候0.2%
前兆0.2%
印記0.2%
商標0.2%
墓石0.2%
実効0.2%
実証0.2%
徴号0.2%
応現0.2%
提灯0.2%
0.2%
旗幟0.2%
標印0.2%
標幟0.2%
標本0.2%
標札0.2%
標示0.2%
標章0.2%
焼印0.2%
特徴0.2%
現象0.2%
0.2%
石碑0.2%
0.2%
結納0.2%
花判0.2%
號衣0.2%
表象0.2%
記標0.2%
記號0.2%
証跡0.2%
證徴0.2%
0.2%
0.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ディオニシアスもこのときばかりはくすくす苦笑いをしました。そして、相手の正直なことをめるしるしに、そのまま解放してやりました。
デイモンとピシアス (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その旗も幾多の風の日、雨の日に会って、しるしもよく分らなくなっているが、丸の中に二引き両のもん、つまり足利氏の定紋じょうもんである。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
事によつたら、骸骨か、何か人生のはかなさを示すしるしがなくては宴会が出来なかつた、古代埃及人程ひどく凝り性なのかもしれない。
後年こうねんしば/\神灵しんれい赫々かく/\たるしるしありしによりて、 天満宮、或 自在天神の贈称さうしようあり。
万葉集を通読して来て、注意すべき歌にしるしをつけるとしたら、従来の評判などを全く知らずにいるとしても、標のつかる性質のものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それでドウいうふうにしてやりましたかというと、そのころは測量器械もないから、山の上にしるしを立って、両方から掘っていったとみえる。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
若し、マヰリクラクモと訓むとすると、「ふる雪を腰になづみてまゐり来ししるしもあるか年のはじめに」(巻十九・四二三〇)が参考となる歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「侍医の百計も、しるしがないと御意遊ばすなら、いま金城に住居すると聞く華陀かだをお召しになってごらんなさい。華陀は天下の名医です」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信幸、家康の許へ行くと、家康喜んで、安房守が片手を折りつる心地するよ、いくさに勝ちたくば信州をやるしるしぞと云って刀の下緒さげおのはしを切って呉れた。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「これまでわずらったことがあっても今度のように元気のないことはえが、矢張やっぱり長くないしるしであるらしい」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「朝目よく」うるわしいしるしを見た昨日は、郎女いらつめにとって、知らぬ経験を、後から後からひらいて行ったことであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
近頃日光の御山おやましきりに荒出して、何処どこやらの天領ではほたるかわず合戦かっせん不吉ふきつしるしが見えたとやら。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「その泣き顔が気に食わぬ。かたきのいるのが、わからんか。これからすぐ馬で城下に引返し、百右衛門の屋敷に躍り込み、首級しるしを挙げて、金内殿にお見せしないと武士の娘とは言わせぬぞ。めそめそするな!」
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
大坂陣を通じて三千七百五十級の首級しるしを挙げ、しかも城将左衛門尉幸村の首級を挙げたものは、忠直卿の軍勢に相違なかったのだ。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そうして、四隅に不思議な記号しるしをつけ、七と九に関する数字をつけて、その輪のどの部分にも少しの相違もないように、注意ぶかくしらべてからちあがった。
向側むかうがは軒燈けんとうには酒屋らしい記号しるしのものは一ツも見えず、場末ばすゑまちよひながらにもう大方おほかたは戸をめてゐて
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
子息のしるしは持参におよばず打捨てること、なお味方の手負いは肩に引懸け連れて退くことが肝要だが、歩行難渋なんじゅうの首尾になれば、是非ぜひにおよばす首を揚げて引取ること、そのほか合図の小笛
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
「拙者は竹腰藤九郎たけのこしとうくろうでござる、おしるし頂戴ちょうだいして、先君せんくん道三入道殿にゅうどうどの修羅しゅら妄執もうしゅうを晴らす存念でござる」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
処が六月月初つきはじまりになりますと、角右衞門は風の心持から病がかさなりて、どっと床に就きましたゆえ、孝行な多助は心配いたし、神仏かみほとけに願をかけ、精進火の物だち跣足参はだしまいりを致しまするが、何分効験しるしもございません。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そろそろ貴女のお力の効験しるしが現れて来ました。
対話 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いよいよとなると、なお聞きたい、それさえ聞いたら、亡くなった母親の顔も見えよう、とあせり出して、山寺にありました、母の墓をゆすぶって、しるしの松に耳をあてて聞きました、松風の声ばかり。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれは人のる所、是は他国の人のしらざる所なればこゝにしるし話柄はなしのたねとす*3
式場に集る人々の胸の上には、赤い織色のきれ、銀のしるしの輝いたのも面白く見渡される。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
老いたる教師ハツバス・ダアダアのボルゲエゼ家の車のしるしに心づきて、蹣跚まんさんたる歩をとゞめ我等をゐやしたるは、おもはずなる心地せらる。
しゆは如何なる休徴しるしを彼等に与へ給ひしぞ。
法王の祈祷 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
直ちに*鷲を遣はしぬ。休徴しるし最も確かなる—— 315
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
永遠の平和の象徴しるしであることを。
大大阪のれいめい (新字新仮名) / 安西冬衛(著)
彼女は私の過去の生命の象徴しるしのやうに思はれた。
かれ曙立あけたつの王におほせて、うけひ白さしむらく一〇、「この大神を拜むによりて、まことしるしあらば、このさぎの池一一の樹に住める鷺を、うけひ落ちよ」と、かく詔りたまふ時に、うけひてその鷺つちに墮ちて死にき。
蒼雲を天のほがらに戴きて大き歌よまば生けるしるしあり
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
塔婆、石碑の影もない、墓の根に、ただ丘に添って、一樹の記念しるしの松が、霧を含んで立っている。
龍造寺主計は、うすぎたない旅の浪人だが、龍造寺主計は、単に子供が好きだというだけで、久しぶりに江戸へ出た記念しるしに、縁もゆかりもない金剛寺の一空和尚の学房へ、いささかまとまったものを献じただけでも、あまり金に困っていないことが、わかるのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
七者なゝたりをこと/″\くその前におき、我と淑女と殘れるひじりとをたゞ表示しるしによりてそのうしろにおくれり 一三—一五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その使の言語一向分らぬから、シャーこれを牢舎し、一婦をその妻として同棲せしめると子が出来た、その子七歳になり、海陸両世界の語を能くすから、これを通弁として、海王の使がシャーの前に出で、海王降参の表示しるしとして、何を陸王にたてまつるべきやと問うと、百ガルヴァルだけ糧食かてたてまつれと答う。
痩せた、透徹るほど蒼白い、鼻筋の見事に通つた、險のある眼の心持吊つた——左褄とつた昔を忍ばせる細面の小造りだけにずうつと若く見えるが、四十を越したしるしは額の小皺に爭はれない。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そしてお前は時たまの贔屓ひいきしるしを嬉しく思つて受けてゐる——立派な家柄の紳士で世間に通じた人が、雇人やとひにん、而も新參者しんざんものに向つて示す眞僞も分らぬしるしを。
余程、ひんぱんに転居するが為なのかも知れないが、それ位ゐの手数を省きたいために、それだけの符号しるしだけを印刷して置くなどゝは、仲々の事務的な人物なのだらうと私は思つたが、が、窓から空ばかりを見あげてゐる彼の様子から左ういふ規頂面きちやうめんさを想像するのは六つかしかつた。
「今日出る前に上に並んだ炭に一々符号しるしを附けて置いたので御座います。それがどうでしょう、今見ると符号しるしを附けた佐倉が四個よっつそっくり無くなっているので御座います。そして土竈どがまは大きなのを二個ふたつ上に出して符号を附けて置いたらそれも無いのです」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
時の徴候しるしは分かねども
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
「国民の富豪に対する怨恨うらみがようやくに熟していたから火蓋ひぶたが切られたのじゃ。それにつけても思うのは、このごろ江戸に起った貧窮組、浅ましいようでもあるし、おかしいようでもあるが、あれもまた時世をいましむる一つの徴候しるし
もとよりそれが私のなすべき道と信じております。証拠しるしのために、一端を申し上げておくなれば。……余の儀でもございませぬが、さきに践祚せんそあらせられた持明院統の天子のお次には、ぜひとも、准后さまのお腹になる成良なりなが親王をして皇太子におすえ申しあげたいものと、いまからその案などをしております。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まったくの初対面の美少女に対して、あまりに詮索がましく尋ね過ぎた事を、心から後悔したらしく、如何にも済まない顔になって、ハンカチで鼻や口のまわりを拭いていたが、やがて内衣嚢うちかくしから名刺入れを出して、その中の一枚を自分で来たという証拠しるしに折り曲げて、女の前の丸卓子テーブルの上に載せた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かならずこのしるしにあらむ
それが瓢形ひさごがた駒岡こまをか記入きにふしたる銀鍍金ぎんめつき徽章きしやうを一やうけ、おなしるし小旗こはたてたくるま乘揃のりそろつて、瓢簟山ひようたんやまへと進軍しんぐん?したのは、なか/\のおまつさはぎ※
文「姉さん心配しちゃアいけません、此処ここは立花屋と云う料理屋で、わしはつい此の近辺の者で浪島文治郎と云う者だが、お前が天神様の前に雪に悩んで倒れている所へ通り掛って、お助け申して来て、介抱したしるしがあって漸々よう/\気がついてわしも悦ばしゅうございますが、決して心配をなさいますなよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうだわ。此処に何かしるしがあるんじゃないの。これはまた妙ね」
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……ことに、お石碑の註文をうけて、内匠頭様のお墓標しるしを彫っているってえと、彫っているうちに、殿様のお心だの、瑤泉院ようぜいいん様のお気もちだの、又、赤穂藩の大勢様が、どんな気がしてるかと口惜しくって、涙が出て
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これ英国で竜を皇旗とする始まりで、先皇エドワード七世が竜を皇太子の徽章しるしと定めた。
舳に金色きんしよくに光つてゐるうを標識しるしが附いてゐるからの名である。
驚いて逃げ帰ったような訳で、すると翌朝よくちょう万年橋の上に重三郎の袴や帯脇差と印籠が捨てゝ有ったから、重三郎はその侍に大切な御刀を取られ、言い訳なさに万年橋へ目標しるしを残して身を投げて死んだろうかと云うのは
「そのたての一眼は、愛染明王の淫眼といって、ことに意味深い表徴しるしになっている」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そりやあ成程なるほど人爵の一つでせう。瀬川君なぞに言はせたら価値ねうちの無いものでせう。然し金牌は表章しるしです。表章が何も難有ありがたくは無い。唯其意味に価値ねうちがある。はゝゝゝゝ、まあ左様さうぢや有ますまいか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
紺とはいへど汗に褪め風にかはりて異な色になりし上、幾度か洗ひすゝがれたるため其としも見えず、襟の記印しるしの字さへ朧気となりし絆纏を着て、補綴つぎのあたりし古股引を穿きたる男の
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これは販売係の記章しるしである。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
かういふ風に始めて何々するといふことは澤山左傳に出て居るが、それは皆「始」といふことが第一大切で、物の變化といふことのこれが證據しるしになるから、そこでこの「始」といふ文字を書いてあるのだといふことを困學紀聞の卷の二十に書いて居ります。
支那歴史的思想の起源 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
『類函』四三一に〈『張潘漢記』曰く梁冀りょうき兎苑を河南に起す、檄を移し在所に生兎を調発す、その毛を刻んで以てしるしと為す、人犯す者あれば罪死に至る〉、何のためにかくまで兎を愛養したのか判らぬ。
また青春の唯一ゆいつ効果しるしだ。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
ローマびとに世界のあがめをうけしめし徴號しるしをばなほ保ちつゝ、聖靈の光る火しづまりて後 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
女1 恐しいことでございますわね、今日も、また何か縁起の悪い啓示しるしが空にあらわれたと云っていますから、充分に気を付けないと、いつどんなことが起るかも分りませんわ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
こゝにひとり白き小袋に空色の孕める豚を徽號しるしとせる者我にいひけるは、汝このほりの中に何を爲すや 六四—六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かれここに邇藝速日にぎはやびの命三八まゐきて、天つ神の御子にまをさく、「天つ神の御子天降あもりましぬと聞きしかば、追ひてまゐ降り來つ」とまをして、天つしるし三九を獻りて仕へまつりき。
「目的の地も近くなった。京丸の地はもう間近だ」いいいい老儒者は綴じ紙の面に描かれてある細密の地図のその一所に記されてある牡丹ぼたん符牒しるしへ眼を注いだ。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……又、よしんば何とかした都合のよい方法で、二人の中の一人を選み出す事が出来たにしても、取り残された一人の慰めようがないので……事によると、これは神様が娘のレミヤを生涯独身で暮させようとおぼし召す体徴しるしではあるまいか……というような取越苦労が
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さあ、嘘でないしるし一献差ひとつさすから
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こは颶風ぐふうしるしありて、岸區リドとヱネチアとの間なる波は、最早小舟を危うするに足るが故なりと云へり。
私事わたくしこと人々の手前も有之候故これありさふらふゆゑしるしばかりに医者にも掛り候へども、もとより薬などは飲みも致さず、みな打捨うちす申候まをしさふらふ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「五郎の手簡など、見るまでもない。木曾の変心は、事実だろう。彼といい、梅雪入道といい、近年、いぶかしい兆候しるしはいくらもあった。——叔父御、御苦労ながら、また御出陣ください。勝頼も参りますれば」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その男は余程の御幣ごへいかつぎとみえて、その日の新聞紙の上にくもが一ぴきとまつてゐるのを見て、気にかゝつてならないから、幸運か悪運か、どつちの前兆しるしなのか、一つ考へてみてほしいといふのだつた。
不幸なる猶太教徒の皆負へるカイン(亞當アダムの子)が印記しるしは、一つとしてその面にあらはれたるを見ざりき。
今は竹の皮づつみにして汽車の窓に売子出でて旅客にひさぐ、不思議の商標しるしつけたるが何某屋なにがしやなり。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「オオ、袖ヶ浦のなぎにのぞんで、兄上のお墓石しるしが見えるわ……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
命の実効しるしはわずかにこの一瞬。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
「その実証しるしを、眼にも見よ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御存ごぞんじのとおり、しろたまはつまりおとこ徴号しるしなのでございまして……。
すると、何となく、『よろしい‼』というような一種の応現しるしというのか確信というのか私にはよく解らないが、ある瞬間が私のうちに来るのです。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
提灯しるしを持っているほうは、海部同心の安井民右衛門たみえもん土岐とき鉄馬のふたり。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樣子やうすあつて云ひかはせし、夫の名は申されぬが、わたし故に騷動起り、その場へ立合ひ手疵てきずを負ひ、一旦本復ほんぷくあつたれど、この頃はしきりに痛み、いろ/\介抱盡せどもしるしなく、立寄るかたも旅の空、この近所で御養生。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
いやまぎれない菊水の旗幟しるしがすぐわかった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とすれば、米を喰いつづけて生きた標印しるしを、木牌一つに残したく思う祈願は人人から消えぬだろう。
左様さやう何人なんびとか罪の悩をいだかぬ心をつでせうか」と篠田は飛び行く小鳥の影を見送りつゝ「けれど、悩はやがて慰に進む勝利の標幟しるしではないでせうか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
(間)純潔ならぬ恋の主は、千度ちたび乙女の恋を試み、千度乙女に成功した、俺は云う! 乙女は弱く果敢はかないものの世にまたとなき標本しるしと! (女子を見て)弱き乙女のお前の心も、これで三度試みた。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けやきの板に「大勘だいかん」と書いて、表に打ってある標札しるしをたしかめながら——実は海部代官所で所も内状も調べてきてはいるのだが——どこまでも不案内の渡り者らしく装って、
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、心着くと標示しるし萌黄もえぎで、この電車は浅草行。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その、燃えるような緑の髪も、惨苦と迫害の標章しるしでのうて、なんであろう。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「他にどこか、これという特徴しるしがあったか」
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いっそ不景気の現象しるしですと、茶屋奉公の昔から、胸間に欝積した金玉の名論を洪水おおみずの如く噴出されて、貞之進はそうかそうかとただ点頭うなずいて居たが、それでも小歌という好児が御在ますと
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
がんこれを見ればまづ二三こゝにをりておのれまづ求食あさり、さてふんをのこしてしよくある処のしるしとす、俚言りげんにこれをがん代見立しろみたてといふ。
尖つた三角型の洒落た石で、舞妓まひこの振袖にも包まれさうな小さな石碑しるしである。
世のはて何處いづことも知らざれば、き人のしるしにも萬代よろづよかけし小松殿内府の墳墓ふんぼ、見上ぐるばかりの石の面に彫り刻みたる淨蓮大禪門の五字、金泥きんでいいろあらひし如く猶ほあざやかなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
どうも非常な圧制のもので、これらの相談中に日本とかあるいは欧米の風俗のように幾許いくばくかの結納しるしを納めて、そうして財産はどれだけ持って来るとか、あるいは何箇の荷物を贈るというような事は決してやらないです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「いえいえ、小馬田こまたのご領内に住むただの使い屋にすぎません。ほかにも御用をおびて、あちこち駈けずり廻っている者。お花判しるしをいただいたら、さっそくこれでお別れを」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法皇の禁軍まもりのつはもの號衣しるしを着たる、わかく美しき士官は我手を握りぬ。
これらの詞をききてスターツィオまづ少しく笑を含み、かくて答へて曰ひけるは。汝の言葉はみな我にとりて愛のなつかしき表象しるしなり 二五—二七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そのほかはすべて雨ざらしで鳥や獣に食われるのだろう、手や足がちぎれていたり、また記標しるしに取られたか、首さえもないのが多い。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
イエルサレムメの跛者あしなへの善は一のにてしるされ、一のエムメはその惡の記號しるしとなりて見ゆべし 一二七—一二九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
これは疑いもない向う鉢巻を致しました証跡しるしで……つまり丁半や花札を引きまする場合には、男でも鬢の乱れを止めるために幅広う鉢巻を致しまする者が多いので、博奕打の朝髪と申しまするのはこげな髪の乱れを隠すために、綺麗に手を入れるからで御座りまする。
この師匠の手をはなれなければ自分の前には新らしい途が開けないものゝ樣に思つて、みのるはこの慈愛の深い師匠の傍を長い間離れたけれども、その後のみのるの手に、目覺めたと云ふ證徴しるしを持つた樣な新らしい仕事は一とつとして出來上つてはゐなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
四歳のときにひどく海を嫌ったのがそのしるしをなしたとでも云うのかもしれない。
海水浴 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
村長の像ならば村費をもって記念像を作る議が可決されているし、地主ならば彼自らが自らの人徳を後世の村民にのこすためのしるしとして、費用を惜まずおのれの像を建設して置きたい望みを洩らしている。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)