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しるし
ふりがな文庫
“
標
(
しるし
)” の例文
「表に槍があろう」と光辰が云った、「あれは重代相伝であり領主の
標
(
しるし
)
である、おれが領主である標に欲しいのだ、持ってまいれ」
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
徐
(
おもむ
)
ろに眼を開きたる梅子の視線は、いつしか机上に開展されたる赤紙の第三面に落ちて、父が墨もて円く
標
(
しるし
)
せる雑報の上をたどるめり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
不思議なことだとは思ったが、その言う通りにして小さい石の
標
(
しるし
)
を立て、誰が言い出したともなしにそれを髭塚と呼ぶようになりました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それでドウいうふうにしてやりましたかというと、そのころは測量器械もないから、山の上に
標
(
しるし
)
を立って、両方から掘っていったとみえる。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
烏帽子は、階級の
標
(
しるし
)
だった。商も農も、諸職も、六位七位の
布衣
(
ほい
)
たちも、日常、頭に
載
(
の
)
っけている。
雪隠
(
せついん
)
の中でも載せている。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
万葉集を通読して来て、注意すべき歌に
標
(
しるし
)
をつけるとしたら、従来の評判などを全く知らずにいるとしても、標のつかる性質のものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
各艦では、そのしらせをうけると、いちはやく水兵を
檣
(
マスト
)
の上にかけあがらせて、藍色灯をつけさせた。この藍色灯は、検閲点呼の
標
(
しるし
)
であった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
語が違うのはつまり意味が違うのですから、音の違いは意味を識別する
標
(
しるし
)
になる。それで音の区別は大切な訳であります。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
墓地の隅には、向島に住み始めた頃に祖母が郷里から土を取寄せて、
標
(
しるし
)
ばかりに建てた石がまだあって、小さい祖母の姿をさながら見るようです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
チベル河口にあるポールの司教テレンチウス聖者は、通る人々が墓に
唾
(
つば
)
をかけて行くようにと、親殺しの墓につける
標
(
しるし
)
を
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
上越後地方にはまた
標
(
しるし
)
の
竿
(
さお
)
という風習があった。いろいろの意味で注意に値するから、このついでに話しておきたい。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
内側の
並木道
(
ブリヷール
)
と外側の並木道と二かわの古い菩提樹並木が市街をとりまき、鉱夫の帽子についている照明燈みたいな※※と円い
標
(
しるし
)
を屋根につけた電車が
砂遊場からの同志:――ソヴェト同盟の共学について――
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
草苅に小さい子や何かゞ
秣
(
まぐさ
)
を苅りに出て、帰り
掛
(
がけ
)
に草の中へ
標
(
しるし
)
に鎌を
突込
(
つっこ
)
んで置いて帰り、翌日来て、
其処
(
そこ
)
から其の鎌を出して草を苅る事があるもので
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此本は大判の紙にゴチツクで印刷してあつて、骨子になつてゐる語には朱と墨とで
標
(
しるし
)
がしてある。丁附は無い。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この者天使の描く
標
(
しるし
)
を着く、汝これを見ば汝は彼が善き民と共に治むるにいたるをさだかに知らむ 二二—二四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
往来
留
(
どめ
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
はもう消したが、一筋、両側の家の戸を
鎖
(
さ
)
した、
寂
(
さみ
)
しい町の
真中
(
まんなか
)
に、六道の辻の
通
(
みち
)
しるべに、鬼が植えた
鉄棒
(
かなぼう
)
のごとく
標
(
しるし
)
の残った、縁日果てた番町
通
(
どおり
)
。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四五十年あとまでは、唯関と言うばかりで、何の
標
(
しるし
)
もなかった。其があの、近江の滋賀の宮に馴染み深かった、其よ。大和では、
磯城
(
しき
)
の
訳語田
(
おさだ
)
の
御館
(
みたち
)
に居られたお方。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その後、往来でオリヴィエに出会って、たがいに近所同士であることを知ると、自分の思い違いでなかったということを、運命の神秘な
標
(
しるし
)
で示されたような気がした。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それでもその屋根の上には、木の枝を組んだ十文字の
標
(
しるし
)
が、夜目にもいかめしく立って居ります。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
婚約の指環というものは
許嫁
(
いいなずけ
)
の娘としてその品格を保つべき有形的の
標
(
しるし
)
であるから、その指環の寸法を取るために、すぐにハミルトンの店まで来るようにと言ってやった。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
沈惟敬之を承諾して、
標
(
しるし
)
を城北の山に
樹
(
た
)
てて日朝両軍をして互に之を越える事を禁じて去った。休戦状態である。沈惟敬は北京に還って、行長等媾和の意ある事を報じた。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
上にも言った通り、この神の一族は蛇を
族霊
(
トテム
)
としたから、この時も品地別命が肥長比売の膚に
雕
(
え
)
り付けた蛇の族霊の
標
(
しるし
)
か何かを見て、その部族を忌み逃げ出した事と思う。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それはどんな仕事でもさうだが、仕事の手段を簡単にするのはそれが優れてゐる
標
(
しるし
)
だ。一つの仕事でも単純に片づくのは知識が手伝つてゐるし、こみ入らすのは無知だからだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
それでも
字眼
(
じがん
)
なぞがあると、
標
(
しるし
)
を附けて行かれるから、照応を打ち壊されることなぞはめったに無い。度々行くうちに、十六七の島田
髷
(
まげ
)
が先生のお給仕をしているのに出くわした。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いづれか我が住みし家ぞと立ち
惑
(
まど
)
ふに、ここ
八〇
二十
歩
(
ほ
)
ばかりを去りて、
雷
(
らい
)
に
摧
(
くだ
)
かれし松の
聳
(
そび
)
えて立てるが、雲
間
(
ま
)
の星のひかりに見えたるを、げに
八一
我が軒の
標
(
しるし
)
こそ見えつると
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
この頃僕の思想がリアリズムを離れてゐる、といふ
標
(
しるし
)
になるであらう。
或る日の運動
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
厭
(
いと
)
ふ
詞
(
ことば
)
二つまだと餘なり初日
碓氷
(
うすひ
)
にて
勞
(
つか
)
れしとき舊道へ
入
(
い
)
るの道の
標
(
しるし
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
それ、その
日時計
(
ひどけい
)
の
淫亂
(
すけべい
)
な
手
(
て
)
が
午過
(
ひるすぎ
)
の
標
(
しるし
)
に
達
(
とゞ
)
いてゐるわさ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
喚き出すと伝えられる——
死霊集会
(
シエオール
)
の
標
(
しるし
)
なんだよ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
第三囘に抛げ飛ばし先の二人の
標
(
しるし
)
超す
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
文字の上に三角の
標
(
しるし
)
をつけてあった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
死の
標
(
しるし
)
たる君のまへに春はまた輝き
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
この
標
(
しるし
)
、世に
克
(
か
)
つ標
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
霊魂
(
たましひ
)
の墓の
標
(
しるし
)
の。
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
岡村七郎兵衛はそれを指さして、昔はそこに流人村という
標
(
しるし
)
の石が立ててあり、柵がまわしてあったのだ、と説明した。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
バスに一区のって山門の石の
標
(
しるし
)
が見えるところへ来ると、左手の広い畑の面に一ヵ所こちゃこちゃ色とりどりの人間のかたまりがある。薯掘りなのです。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのなすところが何であろうとも、かかる
標
(
しるし
)
を、星の
瞳
(
ひとみ
)
を、有している者ならば、すべて皆尊むべきではないか。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
表
(
おもて
)
の
入口
(
いりくち
)
には
焦茶地
(
こげちやぢ
)
へ
白抜
(
しろぬき
)
で「せじや」と
仮名
(
かな
)
で
顕
(
あらは
)
し
山形
(
やまがた
)
に口といふ字が
標
(
しるし
)
に
附
(
つい
)
て
居
(
を
)
る
処
(
ところ
)
は
主人
(
あるじ
)
の
働
(
はたらき
)
で、
世辞
(
せじ
)
を
商
(
あきな
)
ふのだから
主人
(
あるじ
)
も
莞爾
(
にこやか
)
な顔、
番頭
(
ばんとう
)
も
愛
(
あい
)
くるしく
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今の本名もツクツクシだが、このツクシにはもはや「継ぐ」という意味はなく、
澪
(
みお
)
の
標
(
しるし
)
のミオツクシなどと同じに、土に突立てた
榜杭
(
ぼうぐい
)
のことに解しているらしい。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人の越ゆるなからんためエルクレが
標
(
しるし
)
をたてしせまき口にいたれるころには 一〇六—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
屍骸は今でもあの男の家の跡に埋まつて居ります。尤も小さな
標
(
しるし
)
の石は、その後何十年かの
雨風
(
あめかぜ
)
に
曝
(
さら
)
されて、とうの昔誰の墓とも知れないやうに、
苔蒸
(
こけむ
)
してゐるにちがひございません。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もしわれわれが真実をもって行動するならば、われわれから生れ出て来るところのものは(何が出て来るかをわれわれは予見することはできないが、)われわれの共通の
標
(
しるし
)
をつけているだろう。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
虎松はギョッとして暗闇に立ち止ったが、
提灯
(
ちょうちん
)
の
標
(
しるし
)
を見て安心した。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いまだ少年であった頃の私が
紅
(
あか
)
鉛筆で
標
(
しるし
)
を打ってある文章の一つに
呉秀三先生
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
標
(
しるし
)
の石をたてて笛塚の二字を刻ませた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この家の三代前弥兵衛という御先祖さまが
堅田
(
かただ
)
から移したもんだ、二本柳から横橋までの五町が活け場になっている、その五町の上下に
標
(
しるし
)
を打って
蜆谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その建物は当時ニヴェルの領有であって、道路の交差点の
標
(
しるし
)
になっており、十六世紀式の建築で、砲弾もそれに対してはただはね返るのみで破壊し得なかったほど
頑丈
(
がんじょう
)
にできていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
屍骸は今でもあの男の家の跡に埋まつて居ります。尤も小さな
標
(
しるし
)
の石は、その後何十年かの
雨風
(
あめかぜ
)
に
曝
(
さら
)
されて、とうの昔誰の墓とも知れないやうに、
苔蒸
(
こけむ
)
してゐるにちがひございません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日本を中心として、右には米大陸の西岸が見え、上には北氷洋が、西には
印度
(
インド
)
の全体が、そして下には遥かに
濠洲
(
ごうしゅう
)
が見えている。その地図の上には、ところどころに太い青線で妙な
標
(
しるし
)
がついていた。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから
直
(
すぐ
)
に
本所
(
ほんじよ
)
を出て
吾妻橋
(
あづまばし
)
を渡つて、
森下
(
もりした
)
へ
行
(
い
)
つて
捜
(
さが
)
すと、
今
(
いま
)
の八
軒寺町
(
けんでらまち
)
に
曹洞宗
(
さうどうしう
)
の
東陽寺
(
とうやうじ
)
といふ
寺
(
てら
)
があつた。門の所で車から
下
(
お
)
りてズツと
這入
(
はい
)
ると、
玄関
(
げんくわん
)
の
襖紙
(
からかみ
)
に
円
(
まる
)
に十の
字
(
じ
)
の
標
(
しるし
)
が
付
(
つ
)
いてゐる。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
標
常用漢字
小4
部首:⽊
15画
“標”を含む語句
目標
標本
標準
商標
標題
浮標
標語
道標
墓標
澪標
標章
標榜
標的
標札
標識
標柱
標致
石標
木標
標幟
...