証拠しるし)” の例文
旧字:證據
「ほほう、物が欲しい。」吉良は、にこにこして、「子供よのう。必ずともに寵愛いたす——との証拠しるしにな。面白いぞ。して何が所望しょもうじゃ。」
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
やがて内衣嚢うちかくしから名刺入れを出して、その中の一枚を自分で来たという証拠しるしに折り曲げて、女の前の丸卓子テーブルの上に載せた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
先へ行くのは、遥々はるばると来た二人を案内するためではなく、時候おくれの親子を追い越してけ抜けるためのように見える。割符わりふとはうり二つを取ってつけてくらべるための証拠しるしである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
証拠しるしのために、一端を申し上げておくなれば。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)