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兆
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しるし
ふりがな文庫
“
兆
(
しるし
)” の例文
その朝日のひかりを海の上に拝んで、お杉は思わず手をあわせた。きょうの晴れは自分たちの救われる
兆
(
しるし
)
であるようにも思われた。
恨みの蠑螺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは貞節の神秘な
兆
(
しるし
)
で、バルバロッサをしてイコニオムの発掘の中に見い出されたディアナに恋せしめたところのものである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
初更からふたたび壇にのぼり、夜を徹して孔明は「
行
(
ぎょう
)
」にかかった。けれど深夜の空は
冷々
(
ひえびえ
)
と死せるが如く、何の
兆
(
しるし
)
もあらわれて来ない。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえば「大きく
空洞
(
うつろ
)
になっている
臍
(
へそ
)
は美しいものとされているばかりでなく、幼児にあっては
健
(
すこ
)
やかに生い立つ
兆
(
しるし
)
であると思われている」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
我らに告げ給え、これらのことはいつあるか、またすべてこれらのことの成し遂げられんとする時は、いかなる
兆
(
しるし
)
あるか。(一三の三、四)
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
▼ もっと見る
これは基督の再臨の
兆
(
しるし
)
だというので、お詣りが増える。教会では感謝のお祭りがあったのです。大変な騒ぎになりました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「朝目よく」うるわしい
兆
(
しるし
)
を見た昨日は、
郎女
(
いらつめ
)
にとって、知らぬ経験を、後から後から
展
(
ひら
)
いて行ったことであった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
秋や春の雉子は
直
(
じ
)
きに腐りますから一週間も置くと段々背中の色が青くなって来ます。背中の色の青くなったのは全く腐った
兆
(
しるし
)
で、決して食べられません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
されど今斯程に雨ふるは却つて明日の晴れぬべき
兆
(
しるし
)
ならんも知るべからず、我が心にては何と無く明日は必ず晴るべきやう思ひ做さるゝなりなどと説き玉ふ。
鼠頭魚釣り
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてそこに例の不運の一つの
兆
(
しるし
)
を見てとったのである。もし運命が彼らの違算の責を帯びるものとするならば、理論上クリストフには責任がないはずだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「はははは、すなわち
御持
(
おもた
)
せのお車、早速間に合いました。実は好都合と云って宜しいので、これと申すも、
偏
(
ひとえ
)
に御縁のごわりまする
兆
(
しるし
)
でごわりまするな、はあ、」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下々の手前達が
兎
(
と
)
や
角
(
かく
)
と御政事向の事を
取沙汰
(
とりざた
)
致すわけでは御座いませんが、先生、昔から
唐土
(
もろこし
)
の世には天下太平の
兆
(
しるし
)
には
綺麗
(
きれい
)
な
鳳凰
(
ほうおう
)
とかいう鳥が
舞
(
ま
)
い
下
(
さが
)
ると申します。
三月三十日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
近頃日光の
御山
(
おやま
)
が
頻
(
しきり
)
に荒出して、
何処
(
どこ
)
やらの天領では
蛍
(
ほたる
)
や
蛙
(
かわず
)
の
合戦
(
かっせん
)
に
不吉
(
ふきつ
)
の
兆
(
しるし
)
が見えたとやら。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
見た。
沙本
(
さほ
)
の村の方からにわかに大雨が降って来て、おれの顔にぬれかかった。それから、にしき色の小さなへびがおれの首へ巻きついた。いったいこんな夢はなんの
兆
(
しるし
)
であろう
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
もし我々を助けて、無事に座主を取戻せるものなら、先ずここでその
兆
(
しるし
)
をみせて頂こう
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
その雲の峰が非常にいい
兆
(
しるし
)
のように思われて来て、じぶんの一生と、じぶんの中に発育しつつある小さないのちの前途が、このうえなくかがやかしく約束されているような気がした。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
このゆゑに
文字
(
もじ
)
の用ある時は他の村の者にたのみて
書用
(
しよよう
)
を
弁
(
べん
)
ず。又此村の子どもなど江戸
土産
(
みやげ
)
とて錦絵をもらひたる中に、天満宮の絵あればかならず神の
祟
(
たゝ
)
りの
兆
(
しるし
)
ありし事度々なりしとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私にはどうやらあれも、悪い
兆
(
しるし
)
のように思われるぞえ。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
肆
(
ほしいまま
)
な
係恋
(
あこがれ
)
の
兆
(
しるし
)
だ。8470
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「ああ勝利の
兆
(
しるし
)
だッ。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
よしや
兆
(
しるし
)
といへるあり
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
われらも東海のこの国にさまようて、千万人に一人のお身を見いだしたというは、わが教えのいよいよ天地に栄ゆる
兆
(
しるし
)
じゃ。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
のみならず
華陀
(
かだ
)
の言を疑って、獄へ投じてしまったのである。まさに、曹操の天寿もここに尽きるの
兆
(
しるし
)
というほかはない。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのように、汝らは無花果の枝の柔らかいのを見て、救いの近きを知るべきだ。汝らに与えられる「
兆
(
しるし
)
」は、無花果の樹以外にはない(マタイ一六の一—四参照)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
下々の手前たちがとやかくと御政事
向
(
むき
)
の事を
取沙汰
(
とりざた
)
致すわけでは御座いませんが、先生、昔から
唐土
(
もろこし
)
の世には天下太平の
兆
(
しるし
)
には
綺麗
(
きれい
)
な
鳳凰
(
ほうおう
)
とかいう鳥が
舞下
(
まいさが
)
ると申します。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
与十
大
(
でか
)
い事をしたぞ。へい、雪さ豊年の
兆
(
しるし
)
だちゅう、
旱
(
ひでり
)
は
魚
(
うお
)
の当りだんべい。大沼小沼が干たせいか、じょんじょろ水に、びちゃびちゃと泳いだ処を、ちょろりと
掬
(
しゃく
)
った。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……ただ一つの口笛でも! 何か生き生きとした
兆
(
しるし
)
、少なくとも作品にたいする反対の兆でも!……が何もなかった。——彼は聴衆をながめた。聴衆はたがいに見合わしていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
このゆゑに
文字
(
もじ
)
の用ある時は他の村の者にたのみて
書用
(
しよよう
)
を
弁
(
べん
)
ず。又此村の子どもなど江戸
土産
(
みやげ
)
とて錦絵をもらひたる中に、天満宮の絵あればかならず神の
祟
(
たゝ
)
りの
兆
(
しるし
)
ありし事度々なりしとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
夕方
永代
(
えいたい
)
の橋から見ると
羽田
(
はねだ
)
の沖に血の色の入道雲が立っているがあれこそ国難の
兆
(
しるし
)
であろう——流言
蜚語
(
ひご
)
、
豆州
(
ずしゅう
)
神奈川あたりの人は江戸へ逃げ込むし、気の早い江戸の町人は在方を指して
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と文学者の口よりかかる説の
出
(
い
)
ずるは幾分か世運の進歩せし
兆
(
しるし
)
ならん。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
天の
兆
(
しるし
)
とうたがへり
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「紅の旗が、東南風で折れましたか。さらばご懸念にはおよびません。これ、兵法の
天象篇
(
てんしょうへん
)
占風訣
(
せんふうけつ
)
の一項に見えるとおり、敵に夜陰のうごきある
兆
(
しるし
)
です」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天主閣の頂上に薄い火の光りが見える時には、なにか禍いのある
兆
(
しるし
)
として城中の者から恐れられていた。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうかと思う、
兆
(
しるし
)
を見せて下すった、天道様の
思召
(
おぼしめし
)
じゃ、まんざら、熱海を海になすって、八兵衛
鯛
(
だい
)
、理右衛門
鰈
(
がれい
)
、鉄蔵
鰒
(
ふぐ
)
、正助
章魚
(
だこ
)
なんぞに、こちとらを遊ばそうというわけでもあるまい。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「……思わず病に負けて、日頃のたしなみも
昏乱
(
こんらん
)
したとみえる。これは旧病の
興
(
おこ
)
ってきた
兆
(
しるし
)
といえよう。わが今生の寿命も、これでは久しいことはない」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上将に服せざるは乱の
兆
(
しるし
)
という。要するに、彼を用いて、蜀を破らんなどとは、痴人の夢にすぎないものだ
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですからもし甲州領において、何かわざとらしき積極政策や、信玄の名を
謳
(
うた
)
うような
兆
(
しるし
)
あれば、まず十中の八、九まで、信玄の死は事実か、かろくとも重態と見てよろしいでしょう
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はて、にわかに馬のいななき
躁
(
さわ
)
ぐのは——そも、何の
兆
(
しるし
)
だろう」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そも何の
兆
(
しるし
)
か」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“兆”の解説
兆(ちょう)は漢字文化圏における数の単位の一つ。兆がいくつを示すかは時代や地域により異なる。現在、日本・台湾・韓国・香港では 10
12
= 1000000000000 を示す。
(出典:Wikipedia)
兆
常用漢字
小4
部首:⼉
6画
“兆”を含む語句
前兆
凶兆
兆候
吉兆
凡兆
瑞兆
兆殿司
中江兆民
京兆尹
祝京兆
巣兆
衰兆
京兆
乱兆
亡兆
明兆
兆民居士
敗兆
生不怕京兆尹
奇兆
...