“冷々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひやひや34.4%
ひえびえ31.2%
れいれい15.1%
ひや/\10.8%
ひえ/″\4.3%
ひや/″\1.1%
ひやびや1.1%
ひややか1.1%
れい/\1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
のみならず彼女はややともすると、いてそれを断行しようとする夫の裏側をのぞき込むので、津田はそのたびに少なからず冷々ひやひやした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、頬を草の根にすりつけ、冷々ひえびえとした地の息を嗅ぎながら、絶えず襲い掛かってくる、あの危険な囁きから逃れようともだえた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いかなる兇暴な殺刃でも、冷々れいれいとして騒がずに、その呼吸の支度をしている間には、容易に、斬ってかかり得ないものだ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光線を多く取つてない私の郷里などの古い建築法で造られた家は、中の土間へ入ると冬でも夏でも冷々ひや/\とした風が裾から起つて来るのでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ぢつとこみあげてくる哀傷の一念を抑えて、剃り立ての真蒼な面の光沢を冷々ひえ/″\と労ると、暑い夏の日にもしんみりと霊魂たましひの冷たさが身に染みる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二人の女が冠つた手拭は夕闇に仄白ほのじろく、槌の音は冷々ひや/″\とした空気に響いて、『藁を集めろ』などゝいふ声もかすかに聞える。立つて是方こちらを向いたのは省吾か。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まったく朝晩は冷々ひやびやして単衣ひとえものの上に羽織ぐらいは欲しいほどでした。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
貫一は冷々ひややかに見返りて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかれどもこの癖漢へきかん冷々れい/\たる苦笑くせうおこすのみなることしめし、實際家じつさいかいやしむのねんをあらはし、「でなくば生命いのちてんのみ。運命うんめい服從ふくじゆうし、百事ひやくじ放擲はうてきし」、云々しか/″\はつせしむるにいたる。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)