“卑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いや61.6%
ひく20.0%
いやし11.0%
さも3.1%
ヒク1.2%
さげす0.8%
あや0.4%
いやしゅ0.4%
けな0.4%
さもし0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いやしくも間謀を務めている者、しかもシムソンのように一筋縄ひとすじなわで行かない強か者が、盗んだ書類を身の廻りに置いているでしょうか。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
(ハルトマンが「ダルヰニスムス」の論を見よ)類想のひくきは模型に盡くる期ありといひしハルトマンが言を見ても知るべからむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
で、貴方あなた時代じだいやうとすましてもゐられるでせうが、いや、わたくしふことはいやしいかもれません、笑止をかしければおわらください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
が、画かき根性を脱していて、画料をむさぼるようなさもしい心が微塵もなかった代りに、製作慾もまた薄かったようだ。
同時に、此オクれた氣の出るのが、自分をヒクくし、大伴氏を、昔の位置から自ら蹶落す心なのだ、と感じる。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
ああなってうなったという筋道を知っているが為に、人をさげすんでそんなことを言うが、仮令見る影もない貧乏な生計くらしをして来ようとも、また其の間が何ういう関係であったろうとも
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
又いにしへ六二ある僧あやしき家に旅寝せしに、其の夜雨風はげしく、ともしさへなきわびしさに六三いも寝られぬを、夜ふけてひつじの鳴くこゑの聞えけるが
これを(おかみさん)といって自らへりくだり、相手の芸妓げいしゃつかまえて、おいとも、こらともいうのではない、お蝶さん、おまえさんは、という調子たるや、けだし自らいやしゅうしたるものだとわざるを得ぬ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は表へ飛出して、夢中で雪道をすたすたと歩いて、何の買物をしたかも分らない位。風呂敷包を抱〆だきしめて、口惜しいと腹立しいとで震えました。主人をけなすという心は一時にわき上る。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おんなの事で、勿論戸は閉めてある。妹の方の笑声が湯気にこもって、姉がしずかに小桶を使う。その白い、かがめた背筋と、桃色になった湯の中ののあたりが、さもしい事だが、想像されて。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文壇ぶんだん論陣ろんぢん今やけい亂雜らんざつ小にながれて、あくまでも所信しよしん邁進まいしんするどう々たる論客きやくなきをおもふ時、泡鳴ほうめいさんのさうした追憶ついおくわたしにはふかい懷しさである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ここにいるロザリもエレンも、一度はその気狂い染みた恋愛の相手になったのですが、女たちの話をくと、甘えてり下ってしようがないというんです。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)