“蛍”の読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
ほたる100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
半町ばかり先に、ほたるほどの赤い火が見えだした。七は、煙草をすいながら戸狩の若者七人ばかりと一緒に、草叢くさむらに腰をすえこんでいた。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
番所の警板けいばんが急をつげると、たちまち無数のかんこ船、捕手のかざす御用提灯の火をって、ほたるをブチまけたように海上へ散らかった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顔は、頭巾につつんでいるが、ほたるのような眸が、その蔭から、怖ろしい微細な注意力をもって、刺しちがえて倒れているふたりの影を見まもっている。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西側の雑木林から、秩序のない弾音たまおとが、ぱちぱちと聞える。赤いほたるのように見えるのは、敵の散兵が、火縄を持って駈けまわる火であろう。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は子供のときから青年期まで金魚屋に育って、金魚は朝、昼、晩、見飽みあきるほど見たのだが、ほたるくずほどにも思わなかった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あおと赤と二色ふたいろの鉄道馬車のともしびは、流るるほたるかとばかり、暗夜を貫いて東西より、と寄ってはさっと分れ、且つ消え
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかもその俗語の俗ならずしてかへつて活動する、腐草ふそうほたると化し淤泥おでいはちすを生ずるの趣あるを見ては誰かその奇術に驚かざらん。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なつならば、すいとびだすまよほたるを、あれさちなと、団扇うちわるしなやかなられるであろうが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
薄葉の中にあまたのほたるが入れてあるらしく、そこだけ、青い灯火ともしびのような光がはらんで、明りにかわるようにしてあった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
その晩に限って奥底のはかられないような気のする暗い気もちの悪い林の奥に、小さなほたるのようなが一つほっかりと光っていた。
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)