“螽”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
いなご66.7%
ばった22.2%
5.6%
ばつた5.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
店頭に立ち止まつた配達人の姿を見ると、きりぎりすの孫に當るいなごのやうに痩せた今の若い女將おかみが飛んで出て、配達人に何か言つてゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
黍畑きびばたけ、桑畑などから、それを見つけて、附近の部落の腕白者や、洟垂はなたれを背負った老婆としよりなどが、いなごのようにぞろぞろ出て来て、
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たのしみては「楽し」と詠み、腹立てては「腹立たし」と詠み、鳥けば「鳥啼く」と詠み、いなご飛べば「螽飛ぶ」と詠む。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
いなごの飛ぶよ、と光を放ちて、小路の月にひらめきたるやりの穂先霜を浴びて、柄長く一文字によこたえつつ、
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうとすると、かの音吐朗々たる不釣合な声も、或日或時或機会、いなごを喰ひ野蜜をめ、駱駝の毛衣を着て野に呼ぶ予言者の口から学び得たのかと推諒する事も出来る。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「その卑屈癖ひくつぐせがいかんのう。よせ、よせ、米つきばったのような癖は。第一、そういじけては、碁がおもしろうなくなる」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半瓦は、そういうと、逃げかけるちんばの襟がみをつまんで、ばったでも叩きつけるように、空地の方へほうり出した。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
キチキチキチ……と青いばったが信長の姿に飛び交う。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身をめぐってキチキチ飛ぶばったのように聞いていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
注射——猛烈な毒物や、空気の静脈注射と言うことも考えられますが、全身の皮膚は剥いたゆで卵のように綺麗で、のみされたあとも見付かりません。
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
インバネスを着て、薄鼠色の中折を左の手に持ツて、ばつたの如くしやがんで居る男と、大分埃を吸ツた古洋服の釦は皆はづして、ひきの如く胡坐あぐらをかいた男とは、少し間を隔てて、共に海に向ツて居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)