“衣魚”の読み方と例文
読み方割合
しみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不図、御自分の御言葉に注意いて、今更のように萎返って、それを熟視たまま身動きもなさいません。だ銀色の衣魚が一つその袖から落ちました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
が、更に驚いたのはこの頃ふと架上の書を縁側の日の光にした時である。僕は従来衣魚と言ふ虫は決して和本や唐本以外に食はぬものと信じてゐた。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども千九百二十五年の衣魚は舶来本の背などにも穴をあけてゐる。僕はこの衣魚の跡を眺めた時に進化論を思ひ、ラマルクを思ひ、日本文化の上に起つた維新以後六十年の変遷を思つた。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)