“衣類”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きもの50.8%
いるゐ16.9%
いるい10.2%
めしもの5.1%
きるい3.4%
きるゐ3.4%
べゞ3.4%
もの3.4%
なり1.7%
べべ1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
舷の釘に彼の衣類きものと覚しき絣の切れ端が、残されていたのとで、死人の身柄みがらなり自殺の動機なりが分明したよし記されてありました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
神事じんじをはれば人々離散りさんして普光寺に入り、はじめ棄置すておきたる衣類いるゐ懐中くわいちゆう物をるに鼻帋はながみ一枚だにうする事なし、かすむれば即座そくざ神罰しんばつあるゆゑなり。
かれは黒馬旅館くろうまりょかんでうばってきた衣類いるいと、研究けんきゅうノートのつつみをトーマスにもたせ、どこへゆこうとしているのか、しきりに先をいそいでいた。
男の身のそれ位はありうちと他處行よそゆきには衣類めしものにも氣をつけて氣に逆らはぬやう心がけて居りまするに、唯もう私の爲る事とては一から十まで面白くなく覺しめし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
衣類きるいに脚が生えやしめえし……草臥くたびれるんなら、こっちがさきだい。服装みなり価値ねだんづけをしやがって、畜生め。ああ、人間さがりたくはねえもんだ。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
アルマンが「何か本でも読みませうか」と云ふと「いや、書物はよしませう。其れよりカトリヌにひつけて、あの幾つかの箱からわたしの衣類きるゐを出して其処そこ等へならべて御呉おくれ」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あのねへさんはおにではないか、とゝさんを怠惰者なまけものにしたおにではないか、おまへ衣類べゞのなくなつたも、おまへうちのなくなつたもみなあのおにめがした仕事しごと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
全く御召物は奥様の御身の内と言ってもよいのですから。私も御側へ寄添いまして見せて頂きました。どれを拝見しても目うつりのする衣類ものばかり。就中わけても、私の気に入りましたのは長襦袢です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それとお衣類なりにちがったとこがあるばかりでございます。晋齋老人もこの場の様子が不思議に思召す。何うもお若さんが二人になってる理由わけがお解りになりません。
あの姉さんは鬼ではないか、父さんを怠惰者なまけものにした鬼ではないか、お前の衣類べべのなくなつたも、お前の家のなくなつたも皆あの鬼めがした仕事
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)