“就中”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なかんずく71.3%
なかんづく24.9%
わけても1.7%
とりわけ0.8%
なかでも0.8%
とりわけて0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
売り残されているからには父が就中なかんずく、たいせつにしていた物だが、二年前父の死と同時にわすられて了っている事を青年はいったが
陶古の女人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
就中なかんづく、将棋と腕相撲が公然おもてむきの自慢で、実際、誰にも負けなかつた。博奕は近郷での大関株、土地ところよりも隣村に乾分こぶんが多かつたさうな。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
就中わけてももろいのは銀杏いてふで、こずゑには最早もう一葉ひとはの黄もとゞめない。丁度其霜葉しもばの舞ひ落ちる光景ありさまを眺め乍ら、廊下の古壁に倚凭よりかゝつて立つて居るのは、お志保であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
入口いりぐちいし鳥居とりゐひだりに、就中とりわけくらそびえたすぎもとに、かたちはついとほりでありますが、雪難之碑せつなんのひきざんだ、一石碑せきひえました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あかるいまつたひるつた。處々ところ/″\しまのやうなはたけへりからかゝつて料理菊れうりぎくはな就中なかでもばんつよ日光につくわう反射はんしやしてちかいよりはとほほどこゝろよくあざやかにえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一月上旬の顕出節エピファニイから、五月下旬の基督昇天祭アッサンシオンまで、碧瑠璃海岸コオト・ダジュウル一帯に連る名だたる遊覧地、——就中とりわけて、ニース市は約半歳の間、昼夜を分たぬ大遊楽、大饗宴の熱閙ねっとうと化するのが毎年の恒例。