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就中
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なかんずく
ふりがな文庫
“
就中
(
なかんずく
)” の例文
売り残されているからには父が
就中
(
なかんずく
)
、たいせつにしていた物だが、二年前父の死と同時にわすられて了っている事を青年はいったが
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
就中
(
なかんずく
)
疱瘡は津々浦々まで種痘が行われる今日では到底想像しかねるほど猛列に流行し、
大名
(
だいみょう
)
高家
(
こうけ
)
は
魯
(
おろ
)
か将軍家の大奥までをも犯した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その独特会話法に依って自負心の強い市民を教訓指導し、
就中
(
なかんずく
)
よく青年輩の指導教訓に力を致したことは、甚だ顕著なる事実である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
就中
(
なかんずく
)
、木村摂津守の名は今なお米国において
記録
(
きろく
)
に存し、また
古老
(
ころう
)
の
記憶
(
きおく
)
する
処
(
ところ
)
にして、我海軍の歴史に
堙没
(
いんぼつ
)
すべからざるものなり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
儒者または国学者には
安積艮斎
(
あさかごんさい
)
、
小島成斎
(
こじませいさい
)
、
岡本况斎
(
おかもときょうさい
)
、
海保漁村
(
かいほぎょそん
)
、医家には
多紀
(
たき
)
の
本末
(
ほんばつ
)
両家、
就中
(
なかんずく
)
茝庭
(
さいてい
)
、伊沢蘭軒の長子
榛軒
(
しんけん
)
がいる。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「
襄陽
(
じょうよう
)
の名士はみな往来しております。
就中
(
なかんずく
)
、襄陽の
龐徳公
(
ほうとくこう
)
、
龐統子
(
ほうとうし
)
などは特別親しくして、よくあれなる林の中に訪うて参ります」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
就中
(
なかんずく
)
、特に興味ある観察材料としてここに掲げむと欲するものは……口中に不快なる臭気を感じたり……という当該本人の陳述なり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこで斜酣が説明するに、一体地蜂の親を誘惑するには生きている動物の肉でなければいけないのだが、
就中
(
なかんずく
)
赤蛙の活肉が歓迎される。
採峰徘菌愚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
就中
(
なかんずく
)
僕は西洋から帰ってまだ
間
(
ま
)
もない頃のことであったから、女連のある場合、男の友達へは挨拶をせぬのが当然だと思っていた。
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ツルゲーネフの作物、
就中
(
なかんずく
)
『ファーザース・エンド・チルドレン』中のバザーロフなんて男の性格は、今でも頭に染み込んでいる。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
就中
(
なかんずく
)
大タテガビンの名ある岩壁(音沢村の猟師佐々木助七の称呼)は黒部別山の東南端に在って、殆ど五、六百米の高さを有している。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
平生
(
へいぜい
)
水戸学派の諸書を愛読し、
就中
(
なかんずく
)
『
靖献
(
せいけん
)
遺言
(
いげん
)
』を尊奉し、毛利侯よりも「尊攘の大義を確守し……」の
廉
(
かど
)
を以て
賞賜
(
しょうし
)
を受けたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そは霊性の中に織り込まれたる綾であり、模様であり、両者を切り離すことは、到底不可能である。
就中
(
なかんずく
)
畏
(
おそ
)
るべきは
習癖
(
しゅうへき
)
の惰力である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
しかしながら猴と人の智力に大懸隔あり、質においても量においても猴の智慧は人よりも甚だ諸家畜、
就中
(
なかんずく
)
犬と象に近きを見ると。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
もう小説は面白くなく、読む内に
厭
(
あ
)
きて来て、
就中
(
なかんずく
)
作中の人物が栄華をしたり、色々に活動するのを見ると、
癪
(
しゃく
)
に障って来るのである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
本質に於て主観的表現であることは
勿論
(
もちろん
)
だが、
就中
(
なかんずく
)
真の詩的精神を有する俳句に於ては、一層その主観が強く高調的に表出されている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
さよう、……
就中
(
なかんずく
)
、それが、葛木さんの目と一所にぱちばちと瞬きするじゃね、——声を曇らして、姉と云う御婦人の事も言われた——
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
就中
(
なかんずく
)
米価の法外な暴騰にあるのですが、間接の原因としては、物価の暴騰を激成した成金階級の横暴と、その成金階級の利益を偏重して
食糧騒動について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
就中
(
なかんずく
)
政治家は国家の憂に先んじてこれを憂うるのが、これが政治家の本分である。当局者たるものの責に至っては、さらにこれより重い。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
就中
(
なかんずく
)
、玉城盛重翁の藝は天下の至宝ともいうべくかかるものに接する時、人間は己がこの世に生れたことに感謝の念を禁じ得ないでしょう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この露西亜には外国の人は幾らも来て居る、
就中
(
なかんずく
)
独逸
(
ドイツ
)
の人などは大変に多い、その
外
(
ほか
)
和蘭
(
オランダ
)
人も来て居れば
英吉利
(
イギリス
)
人も来て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
就中
(
なかんずく
)
、思想問題に於いて、今民族文化と云うものが創造されなければ、如何に外に於いて日本が完全に戦っても駄目である。
現下に於ける童話の使命
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その三は会話の内容で、化物の事などはもう拝啓前略と片付け、人事百般あらゆる問題が話にのぼる、
就中
(
なかんずく
)
すこぶる家庭的傾向を帯びてきた。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僕はその人麻呂の挽歌——
就中
(
なかんずく
)
その第一の反歌のなかに見られる、死に対する観念をかんがえて見ようとしていたのでした。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
就中
(
なかんずく
)
彼の家は此新部落の最南端に一つ飛び離れて、直ぐ東隣は墓地、生きた隣は
背戸
(
せど
)
の方へ唯一軒、
加之
(
しかも
)
小一丁からある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わたしはある批評家の云ったように、わたしの「作家的完成を棒にふるほど
懐疑的
(
かいぎてき
)
」である。
就中
(
なかんずく
)
わたし自身の愚には誰よりも
一層
(
いっそう
)
懐疑的である。
文放古
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
就中
(
なかんずく
)
、黄金に関するものや、産馬に関するものや、馬鹿
聟
(
むこ
)
に関する話など、現代文学に繋がるもののうちでは最も面白いもののようでありますが
文学に現れたる東北地方の地方色:(仙台放送局放送原稿)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
能く考えて見ると、これは独り仏蘭西ばかりでない、世界各国とも、皆そういう傾向になっているであろうが、
就中
(
なかんずく
)
仏蘭西が最も著しいのである。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
就中
(
なかんずく
)
高山植物の美麗は熱帯の壮大華麗なる花を
凌
(
しの
)
ぐのであるが、高山植物の美観は他日題を改めて説くつもりである。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
就中
(
なかんずく
)
、野本氏は最も熱心だった、秀麗な容貌の持主で、学校の成績も先ず秀才の部に属してい、その上、随分調子のいい交際家でもあった野本氏が
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
就中
(
なかんずく
)
儂の、最も感情を
惹起
(
じゃっき
)
せしは、新聞、集会、言論の条例を設け、
天賦
(
てんぷ
)
の三大自由権を
剥奪
(
はくだつ
)
し、
剰
(
あまつさ
)
え
儂
(
のう
)
らの
生来
(
せいらい
)
かつて聞かざる諸税を課せし事なり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
これらの風説には臆測や誇張も加味されていたに違いないのであるが、
就中
(
なかんずく
)
、幸子のと胸を
衝
(
つ
)
いたものは、甲南アパートの前の屍骸
云々
(
うんぬん
)
の件であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
おそろしい傾倒のしようなのです。全く
惚
(
ほ
)
れ込んでいるのです。イタリアでは
就中
(
なかんずく
)
ヴェネチアが好なのです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
然
(
しか
)
れども
就中
(
なかんずく
)
英は海軍の全備せるを以て、直に米国の大西洋に対したる海岸の諸港を襲はるる事疑なしと云へり。
黒田清隆の方針
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
一、古人の俳句を読まんとならば総じて
元禄
(
げんろく
)
、
明和
(
めいわ
)
、
安永
(
あんえい
)
、
天明
(
てんめい
)
の俳書を可とす。
就中
(
なかんずく
)
『俳諧七部集』『続七部集』『
蕪村
(
ぶそん
)
七部集』『三傑集』など善し。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
かやうな思想を彼は
就中
(
なかんずく
)
『ヸルヘイルム・マイスター』において具象化した。その遍歴時代の中には「時間は神と自然の最高の賜物である。」と云はれる。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
新清にして仲々よろしく、
就中
(
なかんずく
)
「原子力の将来」についての木村氏の記事と、マ司令部のROX氏の寄稿に大いに感動す。この旨、安達君へ手紙を認めた。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
九月二十一日、
就中
(
なかんずく
)
土一揆
乱
二
入京中
一
きょうちゅうにらんにゅうす
。
而
(
しかして
)
土蔵其他家々に
令乱入
(
らんにゅうして
)
、
雑物
(
ぞうもつ
)
取る。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
古来の紀行や和歌で有名で
就中
(
なかんずく
)
かの
西行法師
(
さいぎょうほうし
)
の『
年
(
とし
)
を
経
(
へ
)
て又越ゆべしと思ひきや、
命
(
いのち
)
なりけり小夜の中山』
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
就中
(
なかんずく
)
気に入らないのは妙子さんのこのお里通いだった。それも清之介君が夕刻時間きっかりに帰って来ても、妙子さんがいないことさえあった。そういう時は
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ああ、やっぱりおれはなめくじなんだ! おれは、労働者階級の悲惨を、決断と勇気と犠牲のないことに帰しているが、
就中
(
なかんずく
)
、このおれがその中の最なるものだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
就中
(
なかんずく
)
「父」など。自分の父母のことを思う。全く自分は生活感に於て縁なき子として生れたものだ。
日記:12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
就中
(
なかんずく
)
一角はもう少しすると風に吹き破られて、破れた穴から青い輝きを洩らしそうな
気配
(
けはい
)
を示した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
就中
(
なかんずく
)
後者は探偵小説構成の定石本として深い感銘を受けたものであった。この二長篇が発表されて間もなく私が探偵小説を書いたという事は偶然でないような気がする。
ドイルを宗とす
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
斯
(
こ
)
う
言
(
い
)
った
御礼
(
おれい
)
詣
(
まい
)
りに
亜
(
つ
)
いで
多
(
おお
)
いのは
病気
(
びょうき
)
平癒
(
へいゆ
)
の
祈願
(
きがん
)
、
就中
(
なかんずく
)
小供
(
こども
)
の
病気
(
びょうき
)
平癒
(
へいゆ
)
の
祈願
(
きがん
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
就中
(
なかんずく
)
、就産資金の三十両が
好餌
(
こうじ
)
であった。土地にあぶれ、職に窮した庶民がこの大盤ふるまいを聞きつけて集まって来たのである。彼らは指定された民家街に草屋を営んだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
母がなくなってからはこの二人のばばが私を育ててくれたのであるが、
就中
(
なかんずく
)
祖母は我が子のように可愛がってくれた。私も『おばアさん、おばアさん』といってなついていた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
明治の初年(十年頃まで)は全く古美術品の無価値時代で、
就中
(
なかんずく
)
、茶道具などはただ同然。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
就中
(
なかんずく
)
、大阪など、その為に、何んなに、文化的発育におくれているか判らないが、文化的進歩よりも、金儲けの方が大事だろうから、せいぜいもがくがいい、そして金を儲けて
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
就中
(
なかんずく
)
去る
天保
(
てんぽう
)
四
巳年
(
みどし
)
、同七
申年
(
さるどし
)
再度の凶年にて死亡離散等の数多くこれあり、宿役相勤めがたきありさまに
罷
(
まか
)
りなり候えども、従来浅からざる御縁故をもって種々御尽力を仰ぎ
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
就
常用漢字
小6
部首:⼪
12画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“就中”で始まる語句
就中断腸是秋天