“銀杏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いちょう71.1%
いてふ13.4%
ぎんなん12.9%
いちやう1.5%
いちよう0.5%
ぎなん0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三年も見なかった間に可成かなりな幹になった庭の銀杏いちょうへも、縁先に茂って来た満天星どうだんの葉へも、やがて東京の夏らしい雨がふりそそいだ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かぜつめたさわやかに、町一面まちいちめんきしいた眞蒼まつさを銀杏いてふが、そよ/\とのへりをやさしくそよがせつゝ、ぷんと、あきかをりてる。……
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
出発点は知らないが、到着点の目じるしは、田疇の中の一むらの森の、その森の中でも、群を抜いて高い銀杏ぎんなんの樹であるらしい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
けれども月日は私の元氣に後楯うしろだてをした。診察室の前の大鏡に映る、ひつつめ銀杏いちやうの青白い顏は、日に日に幾らかづつ色を直して行つた。
嘘をつく日 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
涙ぐみてたたずむ時、ふと見る銀杏いちようの木のくらき夜の空に、おおいなるまるき影して茂れる下に、女の後姿うしろすがたありてわがまなこさえぎりたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ。目出た目出たの櫛田の銀杏ぎなん、枝も栄ゆれあ葉も茂る……と……。ああ。これで何もかも取戻いた。ああ清々した」