“酸漿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほおずき62.3%
ほほづき13.1%
ほゝづき9.8%
ほうづき6.6%
あかかがち1.6%
かたばみ1.6%
さんしょう1.6%
ほうずき1.6%
ほおづき1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青鬼のようになった三好の両眼が、酸漿ほおずきのように真赤になった……と思ううちに鼻の穴と、唇の両端から血がポタポタとしたたり出した。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
博士は指先で充血した眼の上瞼うはまぶたつまんで、酸漿ほほづきのやうにひつくり返さうとしたが、直ぐ鼻先に邪魔物が飛び出してゐて、どうも思ふやうにならない。
厚い、大きな唇の、寧ろ鼻よりも前へ突き出て、酸漿ほゝづきんでゐるやうに結ばれてゐるのは、今しがた酒を飮んだばかりで、おくびの出るのを我慢してゞもゐるのであらう。
二月堂の夕 (旧字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
茹栗ゆでぐり燒栗やきぐり可懷なつかし。酸漿ほうづきることなれど、丹波栗たんばぐりけば、さととほく、やまはるかに、仙境せんきやう土産みやげごと幼心をさなごころおもひしが。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「それが目は酸漿あかかがちなして」とあるのは、熔岩流の末端の裂罅れっかから内部の灼熱部しゃくねつぶが隠見する状況の記述にふさわしい。
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
下着はつむぎかと思われる鼠縞、羽織は黒の奉書にお里の知れた酸漿かたばみ三所紋みところもん、どういうはずか白足袋に穿はきかえ、机の上へ出しそろえて置いた財嚢かみいれ手巾はんけち巻烟草入まきたばこいれ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
かたばみは支那でも酸漿さんしょうという位で、少し酸味があるので子供はよくこれをんで楽しみにしていた。
基線道路と名づけられた場内の公道だったけれども畦道あぜみちをやや広くしたくらいのもので、畑からほうり出された石ころの間なぞに、酸漿ほうずきの実が赤くなってぶら下がったり
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
盆が来て、みそはぎ酸漿ほおづき精霊棚しょうりょうだなを飾るころには、私は子供らの母親の位牌いはいを旅のかばんの中から取り出した。宿屋ずまいする私たちも門口かどぐちに出て、宿の人たちと一緒に麻幹おがらいた。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)