“しみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シミ
語句割合
汚点36.3%
汚染8.2%
7.8%
汚點7.3%
6.9%
斑点6.5%
紙魚4.9%
3.3%
2.4%
2.0%
(他:35)14.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その二つの寺は並びあっていて、一方は荒れはてた木造、一方は石造で、壁は黄ばみ、全体に汚点しみと亀裂だらけになっている。
どっかいいところをと思っているのだけれど、落合は気楽なところだ。もう私の家の壁の汚点しみ一ツ覚えてしまったのだが……。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
自分の赤ん坊のもりをしている女のひたいは、自分の頭に再び巻きつけた襤褸布片ぼろぎれ汚染しみで染められた。
私は、一目でその紙質と、群青や、紅や、朱などの汚染しみで、あの肖像畫の覆紙カヴアの切つぱしだと悟つた。
「お前のような娘が一人あれば、こんなしみったれな料理屋なんかしていやしないなんて、そんなことを言うんですよ。」
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
だから、一枚千二百円の、大きい硝子ガラス窓など、心斎橋商人のしみったれには、恐らく、その価値が判るまい。
大阪を歩く (新字新仮名) / 直木三十五(著)
一々でもりたいほどに氣遣きづかはれる母心はゝごゝろが、いまはしい汚點しみ回想くわいさうによつて
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「それに、正面からあれだけの事をやつて、返り血を浴びない筈はない、——お濱の着物は殘らず見たが、汚點しみ一つないよ」
あゝい景色だとか、綺麗な色だとか、五色ごしきばかりではなくの葉の黄ばんだのも面白く、又しみだらけになったのも面白い
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成る程、喬介の手元を見ると、あらたに掘り出されたまだ余り古くない白銀色の鉄粉の層の上に、褐色の錆を浮かした大きなしみが出て来た。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
シュポーニカの筆記帳はいつもきれいで、いつぱいに罫がひいてあつて、どこを開いて見ても斑点しみ一つついてゐなかつた。
岩山の裾に黒々と斑点しみのような物の見えるのは、おおかた人穴の入口であろう。と、そこから吐き出されたように、二つの人影が現われた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
考証家、穿鑿せんさく家、古文書いじり、紙魚しみの化物と続西遊記にののしられているような然様そういう者の真似もしたくない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
飛石のへりに日苔のしがみついた形、色の食い込みは紙魚しみのある一帖の古本こほんのように懐しいものである。
庭をつくる人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
冬向ふしみ落葉松からまつ氷雨ひさめふりいたもにじめり寒き落葉松からまつ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひしひしとしみみ立てたれ竹のは突きぬけて寒し竝倉の上に (二八九頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして、それと対照的に、ついさっき塗られたばかりらしいルージュの深紅と血潮とが、ぼーっと明るむたびに、火のように眼にしみるのだ。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
フト気がついてみると、次第に酔はめて来たらしく、思わず、ぶるぶるッとする寒さが、身にしみて来た。
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
窓の外には、見送の切符を握った正太が立って、何もかも惨酷むごいほど身にしみるという様子をしていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其れから日本で喉を焼けば含嗽うがひをするのだが、この医者はぐつと嚥下のみおろして仕舞しまへ、うすると薬が喉の奥へ善くしみ込むからと云ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
こっちの部屋から流れこんで行く燈光ひかりで、その部屋はぼっと明るかったが、その底に濃紫こむらさき斑點しみかのように、お八重は突っ伏して泣いていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「しかし此女にも女がもつ共通の野卑と淫逸とが濳んでゐるかもしれない。それがまだ外から誘はれてゐないのだ。この女にやくざな賣婦の斑點しみがすぐ食ツ附いてゆくのだ。」とも思へた。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
木枯こがらしが小屋を横にかすめ、また真上から吹きおさへる重圧を、老人の乾いて汚斑しみの多い皮膚に感じてゐた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
先鋒に立つ蟻どもは、あの莊嚴な球の上に、汚斑しみの如く見え、間もなく其兩極を連ねて、多くの魂は一線を引いて了ふ。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
するといくらか気が静まって来て、小粒に光りながらゆるんだ綴目の穴から出て本の背の角をってさまよう蠧魚しみ行衛ゆくえに瞳をとらえられ思わずそこへうずくまった。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
蠧魚しみに食われ、塵埃におおわれて、
ひどく吹きやしたなあどうも昨晩ゆうべは妙にしみると思いやしたよ。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
胸にしみるようなわびしさだ。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
浪子は実家さとにありけるころより、口にいわねどひそかにその継母のよろず洋風にさばさばとせるをあきたらず思いて、一家の作法の上にはおのずから一種古風の嗜味しみを有せるなりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ただこのからだに似げなき両眼細うして光り和らかに、さながら象の目に似たると、今にもまんずるはいの断えず口もとにさまよえるとは、いうべからざる愛嬌あいきょう滑稽こっけい嗜味しみをば著しく描きいだしぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
可哀かはいい娘が復讐の旨味しみめるのを妨げなくても好いではないか。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
元来鱷の旨味しみあるは、既に数年前より外国の料理通の賞賛する所なれば、吾人と雖鱷を食ふ事を排斥すべきにあらず。否、吾人はこの旨味ある新食品の愈々盛んに我国に輸入せられん事を希望してまざるものなり。古来英国の貴族及び旅人りよじん埃及エジプトに於て鱷を捕へて食する事我国人の熊を捕へて食ふと異る事なし。
京子はしきりに千世子の古い処々ところどころ本虫しみの喰った本を出してはせわしそうにくって居るのを見て、
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
よく伯父が云いますけど、青白い頸の細い児が本虫しみのついた古い双紙を繰りながら耳の遠い年寄のわきに笑いもしずに居るのを見るとほんとうにみじめだったってね。
蛋白石 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「や!」藤吉は佐平次の裾を指さした。赤い染点しみが付いている。「そりゃあ何だ、そりゃあ?」
からかみ染点しみまでが浅ましかった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
しかも、歯がないせいか、顔が奇妙な提灯ちょうちんのような伸縮をして、なんとも云えぬ斑点のような浸染しみのようなもので埋まっている。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし、駆黴剤くばいざい浸染しみはかくしおおせぬ素姓をいう……、いまこの暗黒街をべる大顔役ボス二人が、折竹になに事を切りだすのだろう。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
僕は従来衣魚しみと言ふ虫は決して和本や唐本たうほん以外に食はぬものと信じてゐた。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども千九百二十五年の衣魚しみは舶来本の背などにも穴をあけてゐる。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで所々しよ/\を問ひ合せて、とう/\緋縮緬の長襦袢の背中に大きな黄色いしみの出来たのを手に入れた。さていよ/\当日になつた。最初の天一坊は頗る真面目に出来た。しかし其真面目のために茶番としての面白味ががれた。次にお軽勘平道行の場となつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其影のしみのやうに見える所を、長い間ぢつと見てゐると、ぢき側にたまの形をした栓の木の浮標が見える。
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
あのつんとすまし、ぬけぬけと白膚を天にそびえ立たしている伯母の山が、これだけは拭えぬ心の染班しみのように雪消ゆきげの形に残す。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
折目正しく整然ちゃアんとしていれば一対の夫婦でございますが、それを亭主の方で浮気のしみをつけたり、女房の方で嫉妬やきもちの焼け穴でも拵えたり何かすれば、これを離して外の裏と合せると再縁になるようのもので
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼の眼に映ツた豊艶ほうえんな花は少しづつ滲染しみが出て來るやうに思はれるのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
といった。その師匠、顔に小さい肝斑しみが多くある人だった。永年黒御簾みす(はやし部屋)のうちにいると口も悪くなる。
噺家の着物 (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
人生に目的ありと見、なしと見る、共に理智の作用のみ。理智のまなこ抉出けっしゅつして目的を見ざる処に、至味しみ存す。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
至味しみを味わい得ぬ時、人は自殺する。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
本棚のしみを防ぐ樟脳しょうのうの目にしむ如きにおいは久しくこの座敷に来なかったわたしの怠慢を詰責きっせきするもののように思われた。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しみの巣のようになっていて、古いかび臭い香もしながら字は明瞭めいりょうに残って、今書かれたとも思われる文章のこまごまと確かな筋の通っているのを読んで、実際これが散逸していたなら自分としては恥ずかしいことであるし
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
四喜臨門スウシイリンメンとかいふやうな如何いかにも詩味しみのある字句じく使つかつてあるのも面白おもしろい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)