“しみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シミ
語句割合
汚点35.0%
8.3%
汚染7.9%
汚點7.6%
斑点6.9%
6.9%
紙魚5.4%
2.9%
2.2%
1.8%
斑點1.4%
汚斑1.4%
蠧魚1.4%
1.1%
嗜味0.7%
0.7%
衣魚0.7%
伝染0.7%
旨味0.7%
本虫0.7%
染点0.7%
浸染0.7%
至味0.4%
四味0.4%
0.4%
斑紋0.4%
染班0.4%
0.4%
滲染0.4%
肝斑0.4%
0.4%
0.4%
詩味0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その洋傘かさだって、お前さん、新規な涼しいんじゃないでしょう。旅で田舎を持ち歩行あるいた、黄色い汚点しみだらけなんじゃありませんか。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最後の甚だしみったれた時間を夫婦喧嘩げんかに費すという身分ででもあれば、私は、大阪の土地くらい煙たい階級のいない、のんきな、明るい
ゆうべおそく泥酔して帰った息子の官服を膝にくりひろげて、泥を払い、ほころびをい、またふと、血らしい汚染しみに老いの目をしばだたいて
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
院長は汚點しみだらけの上つりを着て、口の聞きやうからが、いら/\した、物に構はないやうな、氣の置けない醫者であつた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
これにはもっともの理由わけがあった。他がどんなに綺麗でも、爪に一点の斑点しみがあったら、貴族の婦人とは見えないからであった。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天井を仰向あおむいて視ると、彼方此方あちこちの雨漏りのぼかしたようなしみが化物めいた模様になって浮出していて、何だか気味きびの悪いような部屋だ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
伝記家ととらわれてしまうのもうるさい。考証家、穿鑿せんさく家、古文書いじり、紙魚しみの化物と続西遊記にののしられているような然様そういう者の真似もしたくない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
から松はしみみすぐろしすぐろけど早や春来らし芽立湿しめれり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くろずんだ土や、蒼々あおあおした水や広々した雑木林——関東平野を北へ北へとよこぎって行く汽車が、山へさしかかるに連れて、お島の心には、旅の哀愁が少しずつしみひろがって来た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かれもちふるしたかばんよ。手摺てずれもやが一めんに、しみかた樺太からふとうかぶ。汽車きしや白河しらかはいたのであつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こっちの部屋から流れこんで行く燈光ひかりで、その部屋はぼっと明るかったが、その底に濃紫こむらさき斑點しみかのように、お八重は突っ伏して泣いていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ただ湯の沸くのを待つだけが望みであるこの森厳で気易きやすい時間に身を任せた。木枯こがらしが小屋を横にかすめ、また真上から吹きおさへる重圧を、老人の乾いて汚斑しみの多い皮膚に感じてゐた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
通常、必然と呼ばれる、運命と見えるものによってかれらは、古い書物にあるとおり、蠧魚しみ喰いびくさり盗人ぬすびとうがちてもち去る財宝をたくわえることに従事しているのである。
ひどく吹きやしたなあどうも昨晩ゆうべは妙にしみると思いやしたよ。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
秀江の肉体の一部が嗜味しみをそそる食品のように、なまなましく見えたりした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
人の凍死こゞえしするも手足の亀手かゞまる陰毒いんどく血脉けちみやくふさぐの也。にはか湯火たうくわねつを以てあたゝむれば人精じんせい気血きけつをたすけ、陰毒いんどく一旦いつたんとくるといへどもまつたさらず、いんやうかたざるを以て陽気やうきいたれ陰毒いんどくにくしみくさる也。
が、更に驚いたのはこの頃ふと架上かじやうの書を縁側の日の光にさらした時である。僕は従来衣魚しみと言ふ虫は決して和本や唐本たうほん以外に食はぬものと信じてゐた。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さて一月もたゝざるうちに近辺きんべん所々にてんぷらの夜みせいで、今は天麩羅の名油のごとく世上に伝染しみわたり、此小千谷をぢやまでもてんぷらの名をよぶ事一奇事といふべし。
ひとしく尽きる命数を、よしやちとばかり早めたと云つて、何事かあらう。可哀かはいい娘が復讐の旨味しみめるのを妨げなくても好いではないか。己は毎晩その恐ろしい杯を、微笑を含んで飲み干してゐる。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
京子はしきりに千世子の古い処々ところどころ本虫しみの喰った本を出してはせわしそうにくって居るのを見て
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
赤い染点しみが付いている。「そりゃあ何だ、そりゃあ?」
しかも、歯がないせいか、顔が奇妙な提灯ちょうちんのような伸縮をして、なんとも云えぬ斑点のような浸染しみのようなもので埋まっている。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
味っても味っても味い尽せぬ。又味わえば味わう程味が出る。旨い。苦中にも至味しみはある。其至味しみを味わい得ぬ時、人は自殺する。人生の味いは無限だけれど、之を味わう人の能力には限りがある。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
理智のまなこ抉出けっしゅつして目的を見ざる処に、至味しみ存す。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それがナ貴君あなたのお眼は外障眼がいしょうがんと違い内障眼ないしょうがんと云ってがたい症ですから真珠しんじゅ麝香じゃこう竜脳りゅうのう真砂しんしゃ四味しみを細末にして、これを蜂蜜はちみつで練って付ける、これが宜しいが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
忠臣蔵に茶番の落を附けるのだから、お軽にも何か変つた長襦袢を著せたかつた。そこで所々しよ/\を問ひ合せて、とう/\緋縮緬の長襦袢の背中に大きな黄色いしみの出来たのを手に入れた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
起こした体をまた横にし、雨もりの跡やらかびの跡やら、斑紋しみだらけの古襖の裾に、これだけは艶かしく置いてある、緋の胴がけの三味線へ、冷たい視線を投げてやって、九十郎はいい放した。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あのつんとすまし、ぬけぬけと白膚を天にそびえ立たしている伯母の山が、これだけは拭えぬ心の染班しみのように雪消ゆきげの形に残す。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それを亭主の方で浮気のしみをつけたり、女房の方で嫉妬やきもちの焼け穴でも拵えたり何かすれば、これを離して外の裏と合せると再縁になるようのもので、合せものは離れものでございます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼の眼に映ツた豊艶ほうえんな花は少しづつ滲染しみが出て來るやうに思はれるのであツた。おふくろは迂散うさんらしい顏で、しげ/″\周三の顏をみつめてゐた。間も無くお房は銭の音をちやらつかせる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その師匠、顔に小さい肝斑しみが多くある人だった。永年黒御簾みす(はやし部屋)のうちにいると口も悪くなる。
噺家の着物 (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
本棚のしみを防ぐ樟脳しょうのうの目にしむ如きにおいは久しくこの座敷に来なかったわたしの怠慢を詰責きっせきするもののように思われた。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しみの巣のようになっていて、古いかび臭い香もしながら字は明瞭めいりょうに残って、今書かれたとも思われる文章のこまごまと確かな筋の通っているのを読んで
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それにさすがは文學ぶんがくくに支那しなあそびで、やく清一色チンイイソオとか、國士無雙コオシフウサンとか、海底撈月ハイチイラオイエとか、嶺上開花リンシヤンカイホウとか、四喜臨門スウシイリンメンとかいふやうな如何いかにも詩味しみのある字句じく使つかつてあるのも面白おもしろい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)