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汚點
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しみ
ふりがな文庫
“
汚點
(
しみ
)” の例文
新字:
汚点
黒絹
(
くろぎぬ
)
の
上衣
(
うはぎ
)
は壁に掛けてあつた。泥の
汚點
(
しみ
)
は綺麗に落されてゐる、濡れて出來た皺も延ばしてある、すつかりきちんとしてゐたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
院長は
汚點
(
しみ
)
だらけの上つ
被
(
ぱ
)
りを着て、口の聞きやうからが、いら/\した、物に構はないやうな、氣の置けない醫者であつた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「それに、正面からあれだけの事をやつて、返り血を浴びない筈はない、——お濱の着物は殘らず見たが、
汚點
(
しみ
)
一つないよ」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
横手の壁に
汚點
(
しみ
)
のやうな長方形の薄い夕日がぼうと射してゐたが、何時の間にかそれも失くなつて、外は薄暗の力が端から端へと物を消していつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
三年
經
(
た
)
ち、五年と暮れる中には、太鼓樓から雨が漏つて、ギラ/\光る白い紙で貼つた天井には墨繪の山水か、化物の影法師のやうな
汚點
(
しみ
)
が
染
(
にじ
)
み出す。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
一々
手
(
て
)
でも
取
(
と
)
りたいほどに
氣遣
(
きづか
)
はれる
母心
(
はゝごゝろ
)
が、
忌
(
いま
)
はしい
汚點
(
しみ
)
の
回想
(
くわいさう
)
によつて、その
口
(
くち
)
を
縫
(
ぬ
)
はれてしまふのである。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
無造作に死體を被つた白衣の上には小さな黒い
汚點
(
しみ
)
のやうに蠅が三四匹とまつてゐた。枕許には型の如く小さなカードが置いてあつた。彼れは夫れを取上げて讀んだ。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
汚點
(
しみ
)
だらけな壁も、古風な小形の窓も、年代の
故
(
せゐ
)
で
歪
(
ゆが
)
んだ皮椅子も皆一種人生の倦怠を表はして居る職員室に這入ると、向つて凹字形に都合四脚の
卓子
(
テーブル
)
が置かれてある。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
煙りでうす暗くなつてゐるその中で、僕は僕のテイブルを煙草の灰や酒の
汚點
(
しみ
)
できたなくする。
不器用な天使
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
ズボンには夥しい蝋の
汚點
(
しみ
)
が附着してゐたほか何やら黒い奇妙な汚點が嚴密な檢査に遭つた以外に血痕はどこにもなかつた。が他の衣類は彼に不利な恐るべき證據を提供した。
無法な火葬
(旧字旧仮名)
/
小泉八雲
(著)
相當に古い・既に形の崩れた・所々に
汚點
(
しみ
)
の付いた・おまけに厭な匂のする・何の變哲も無いヘルメット帽である。しかし、私にはそれがアラディンのランプの如くに靈妙不可思議なものと思はれた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
時間が、その手紙を、感情の
汚點
(
しみ
)
で古くしてしまふ。
白紙
(旧字旧仮名)
/
立原道造
(著)
「あの人は物の
汚點
(
しみ
)
か
家守
(
やもり
)
見たいな人で、何處に居るかわかりやしません。鐵砲は撃てさうもないが、下手人の姿くらゐは見て居るでせうよ」
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ねえ、
汚點
(
しみ
)
も
汚
(
よご
)
れもない追憶といふものは
素晴
(
すば
)
らしい寶玉ですね——
汲
(
く
)
んでも盡きない清らかな元氣囘復の
源
(
みなもと
)
ですね。さうぢやありませんか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
不幸
(
ふかう
)
な
彼女
(
かのぢよ
)
は
拭
(
ぬぐ
)
ふことの
出來
(
でき
)
ない
汚點
(
しみ
)
をその
生涯
(
しやうがい
)
にとゞめた。さうしてその
汚點
(
しみ
)
に
對
(
たい
)
する
悔
(
くゐ
)
は、
彼女
(
かのぢよ
)
の
是
(
これ
)
までを、さうしてまた
此先
(
このさき
)
をも、かくて
彼女
(
かのぢよ
)
の一
生
(
しやう
)
をいろ/\に
綴
(
つゞ
)
つて
行
(
ゆ
)
くであらう。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
インキの
汚點
(
しみ
)
のついた机掛の上にちらばつた本だの……
続プルウスト雑記
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
それに此守袋の遺書は近頃書いたもので、一年半も十二三の丈夫な子供の守袋に入つて居たものではない。
脂
(
あぶら
)
の匂ひも汗の
汚點
(
しみ
)
もないのが何よりの證據だ。
銭形平次捕物控:169 櫛の文字
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白い顏と、兩腕が
暗闇
(
くらやみ
)
の
汚點
(
しみ
)
のやうで、一
切
(
さい
)
が靜まり返つてゐる中で、恐怖の眼を光り動かして、私を
凝視
(
ぎようし
)
してゐる、不思議な子供の姿が、本當の幽靈のやうに見えた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
手袋の上のペンキの
汚點
(
しみ
)
がある。
プルウスト雑記:神西清に
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
汚點
(
しみ
)
のやうな男——和助は長身を起しました。青い顏に血が上つて、この影のやうな男にも、若い情熱のあることを、平次は不思議な心持で見て居ります。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傍に介抱してゐるのは、一と
掴
(
つか
)
みほどしかない四十二三の
汚點
(
しみ
)
だらけな女、恐らく長い間の病氣が、この女から若さと健康と、夫の愛とを奪ひ去つたのでせう。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へツ、
鬼臍
(
おにへそ
)
は氣に入りませんかね、それぢや、あの
汚點
(
しみ
)
だらけの蟲つ喰ひのお内儀さんを助けるとして」
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
千兩箱を三つ積んであつたといふ床の間の
汚點
(
しみ
)
を見ると、平次は思はず聲を出しました。側には小さい小坊主が一人、何やら
口吟
(
くちずさ
)
みながら雜用をして居ります。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「三十がらみの
青瓢箪
(
あをべうたん
)
野郎で、大きな聲で物も言へない、物の
汚點
(
しみ
)
か、影のやうな野郎ですよ、——その和助が言ふんだ、お舟さんは昨夜一と足も外へ出ねえ——と」
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
汚點
(
しみ
)
のやうな男に、こんな情熱があらうとは、一緒に暮してゐるお舟も全く氣が付かなかつたのでせう。思ひもよらぬ生命の點ぜられた男の顏を見詰めるばかりです。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
庫裡
(
くり
)
の八疊の床の間には、濡れた千兩箱を三つ置いて、少し
汚點
(
しみ
)
になつた跡が今でも判りますが、押入にも、納戸にも、床下にも、天井裏にも、
須彌壇
(
しゆみだん
)
の下にも、
位牌堂
(
ゐはいだう
)
にも、
竈
(
へつゝひ
)
の下にも
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何處か致命的な病氣を持つて居るらしく、青白い
汚點
(
しみ
)
だらけの皮膚、細い手足、險しい頬など、見るから痛々しい老人ですが、その首筋左の方から一とゑぐり、
頸動脈
(
けいどうみやく
)
を切つて、見事な手際です。
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
番頭の市助は四十五六の物の
汚點
(
しみ
)
のやうな男でした。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汚
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
點
部首:⿊
17画
“汚”で始まる語句
汚
汚点
汚穢
汚染
汚名
汚辱
汚物
汚涜
汚濁
汚泥