“汚穢”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おわい35.7%
けがれ16.1%
きたな10.7%
おあい5.4%
むさ5.4%
おえ3.6%
むさくる3.6%
むそ3.6%
をわい3.6%
おかい1.8%
(他:6)10.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
曙覧は汚穢おわいを嫌はざりし人、されど身のまはりは小奇麗こぎれいにありしかと思はる。元義は潔癖の人、されど何となくきたなき人にはあらざりしか。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
実に奇々妙々の風俗で、チベット国民が実に汚穢おわい極まるということも、こういう事によっても知り得ることが出来るのでありましょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
法利賽パリサイの徒と共に虚偽の生を営みて、醜辱汚穢おわいの沼に網うつ、名や財や、はた楽欲ぎようよくあさらむとすなり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
驕奢おごりねぐら巣作れるとり尻尾しりをなき猿、物言ふ蛇、露誠実まことなき狐の子、汚穢けがれを知らざるゐのこ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
父なる神の御声みこえ、天にます亡母はゝの幻あり/\と見えつ、聞えつ、何故などかる汚穢けがれむしろに座して
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
また神魂たまは骸と分かりては、なお清くきよかるいわれありとみえて、火の汚穢けがれをいみじくみ、その祭祠まつりをなすにも、けがれのありては
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「玄洋日報社」と筆太に書いた、真黒けな松板の看板を発見した吾輩はガッカリしてしまった。コンナ汚穢きたない新聞社に俺は這入はいるのかと思って……。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
雨戸あまどを引いて外の格子かうしをがらがらツと明けまして燈明あかり差出さしだして見ると、見る影もない汚穢きたな乞食こじき老爺おやぢ
アノ『基督教青年』を私が汚穢きたない用に用いるのは何であるかというに、実につまらぬ雑誌であるからです。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
雪之丞は、全身を汚穢おあいなへどろで塗りこくられでもするような、言い難い悪寒おかんをじっとえしのびながら、二人の言葉に耳をかたむけるふりをしていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
彼はこの屍室にはもっと汚穢おあいした空気が溜っていなければならぬのに、それほどではないのを不審に思った。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして彼は嫌忌けんきの念をもってみずから尋ねた、だが多くの者のうちにある汚さんとするこの欲求は——自分や他人のうちの純潔なものを汚さんとするこの欲求は、いったいなんであるのか?——表皮の全面にもはや一点の清い場所も残っていない時初めて幸福を感じ、汚穢おあいの中にころがって快楽を味わう、それらの豚のような魂は!……
こうのう、殿、そのそばへ参ろうじゃがの、そこに汚穢むさいものがあろうがや。早やそれが、汚穢うて汚穢うてならぬ。……退けてくされませ、殿、)と言うんだ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれいへかへつたのはおしなんだときでも、それから三年目ねんめぼんときでもいへ空洞からり清潔きれいつててそれほど汚穢むさかんじはあたへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
汚穢むさや、見た目に、汚穢や。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
か、汚穢おえにまみれ、いっこうにぱっとしない人生、き砕かれた心が、いま、この天井の低い部屋の中で眼をさます。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
かつテ山東洋ニ問フテ曰ク、我、君ニつかフルコト三年、技進マズ、其ノ故如何。洋子のたまはク、吾子ごしすべからク多ク古書ヲ読ミ、古人ト言語シテ以テ胸間ノ汚穢おえヲ蕩除スベシ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『爪垢を少しためて。——だが、汚穢むさくるしくなってはいけない。隔日位に、お湯に入って皮膚を清潔な健康色に磨くのがよろしいでしょう。』そんな注意もした。
しかもこんな汚穢むさくるしい町の小さな犬屋のオヤジにもかかわらず、私たちの運転手がいくら案内を請うても返事ばかりで、おそらく十五、六分ばかりも待たされたであろうか。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
妻はそのうっとりとうるみ、時にぎらぎらと熱情的にまた憎悪に激しく輝く抑揚に富んだ美しいひとみつぶらに見開いて、しきりにもの珍しそうにあたりに迫ってくる汚穢むさくるしい家々の景色に見惚れ切っていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
胡瓜きゅうりならば日野川の河童かっぱかじろう、もっての外な、汚穢むそうて汚穢うて、お腰元たちが掃除をするに手がかかって迷惑だ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「失礼、さあ、お上りなさいまし、取散らかしまして、汚穢むそうございますが、」ときまり悪げに四辺あたりみまわすのを、うしろの男に心を取られてするように悪推わるずいする、島野はますます憤って、口も利かず。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わが趣味より視れば、かの「シヤリア」宮なるシドオニイの畫の如きすら、その巧緻その汚穢をわいおほふに足らず。
かくの如き精気なく誠心なき汚穢をわいなる愚物は将来決ツして写すなか
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
彼は一切の汚穢おかいを捨てず、之を摂取し、之を利用する。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
汚穢きたない心を持つて、奇麗な衣服きものを着て居る人があるなら
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
基督も矢張り大工をなされたのです——く御聴きなさい、貧乏と云ふことはまで耻かしいことではありません、私も貴所方あなたがたみん汚穢きたない着物でせう、私も貴所方も皆な貧乏人です、けれど、貧乏や着物の汚穢のを気にしてはなりませんよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
人死にて神魂たま亡骸なきがらと二つにわかりたる上にては、なきがら汚穢きたなきものの限りとなり、さては夜見よみの国の物にことわりなれば、その骸に触れたる火にけがれのできるなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
せまいと汚穢きたなさとは我慢するとしても、ひとの寒さは猛烈もうれつに彼等に肉迫にくはくした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
汚穢きたならしいが、まアとにかくこっちへお上りなすって……」
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
婦女等おんなたちは船の動くととも船暈せんうんおこして、かつき、かつうめき、正体無く領伏ひれふしたる髪のみだれ汚穢けがれものまみらして、半死半生の間に苦悶せり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一、書策ハツツシンコレ汚穢オエ紛失フンシツスベカラズ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)