“むさくる”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
穢苦36.8%
汚苦15.8%
15.8%
汚穢10.5%
悒鬱10.5%
陋苦10.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
楽声を聴いて心を悦ばせるには、上品でなくてはならないというのではないが、いかにも穢苦むさくるしい感じを与えられた。下卑げびていたこともいなまれなかった。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
主人のような汚苦むさくるしい男にこのくらいな影響を与えるなら吾輩にはもう少し利目ききめがあるに相違ない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
榕樹がぢまる、ビンギ、梯梧でいご福樹ふくぎなどの亜熱帯植物が亭々と聳え、鬱蒼と茂り合った蔭に群った一部落。家々の周囲には竹やレークの生籬が廻らしてある。その家が低い茅葺で、むさくるしい事は云ふ迄もない。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
しかもこんな汚穢むさくるしい町の小さな犬屋のオヤジにもかかわらず、私たちの運転手がいくら案内を請うても返事ばかりで、おそらく十五、六分ばかりも待たされたであろうか。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「サア、ここは悒鬱むさくるしくていけません。お作や、奥へお連れ申して……何はなくとも、春初めだから、お酒を一口……。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いかにも安易やすやすとして清げなさまで、昨日までの陋苦むさくるしい有様とはあまり違って、立勝たちまさって見ゆる紳士ぶりに、生きている方がよいか、死んだ者の方がよいかと妙な風な考えになって
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)