汚穢むさくる)” の例文
『爪垢を少しためて。——だが、汚穢むさくるしくなってはいけない。隔日位に、お湯に入って皮膚を清潔な健康色に磨くのがよろしいでしょう。』
しかもこんな汚穢むさくるしい町の小さな犬屋のオヤジにもかかわらず、私たちの運転手がいくら案内を請うても返事ばかりで、おそらく十五、六分ばかりも待たされたであろうか。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
妻はそのうっとりとうるみ、時にぎらぎらと熱情的にまた憎悪に激しく輝く抑揚に富んだ美しいひとみつぶらに見開いて、しきりにもの珍しそうにあたりに迫ってくる汚穢むさくるしい家々の景色に見惚れ切っていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)