“むさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
36.7%
24.4%
16.7%
汚穢5.6%
武佐3.3%
3.3%
武者3.3%
無作2.2%
身狭1.1%
武射1.1%
無砂1.1%
1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「お客、むさい夜具だが、ここならもあるし、夜半よなかのどかわけば、湯茶も沸いている。ゆっくりと、この蒲団ふとんへ手足をのばしたがいい」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世には有りもせぬ失恋を製造して、みずからいて煩悶はんもんして、愉快をむさぼるものがある。常人じょうにんはこれを評してだと云う、気違だと云う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自動車が飛田とびた附近あたりへ来ると、むさ豚小舎ぶたごやのやうなうちから、一人の若者が転がり出して、車の前に大の字なりになつた。
かれいへかへつたのはおしなんだときでも、それから三年目ねんめぼんときでもいへ空洞からり清潔きれいつててそれほど汚穢むさかんじはあたへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(往年朝妻舟の賛に床の山を詠ぜしは所ちかき故入れしなり。此に到て初てしる。)一里半高宮駅。二里愛智川えちかは駅なり。松原あり。片山といふ山を望む。二里半武佐むさ駅。仙台屋平六の家に宿す。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
両側に積み上げられたむさくるしい獣のおり……湿め湿めとした細長い土間……高い光も届かぬ天井……そして戸を
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「……そなた、武者むさの家の生活くらしはまだ知るまいがの」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荷沢大師かたくだいしの『顕宗記けんそうき』に云う、「無念を宗となし、無作むさを本となし、真空を体となす」
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
郎女の声、詞を聞かぬ日はない身狭むさ乳母おもではあつた。だが、つひしか此ほどに頭の髄まで沁み入るやうな、凜とした語を聞いたことのない乳母おもだつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
づうと這入つて来た身狭むさ乳母おもは、郎女の前に居たけを聳かして掩ひになつた。外光の直射を防ぐ為と、一つは、男たちの前殊には、庶民の目に貴人あてびとの姿をさらすまいとするのであらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
同六年六月二十六日、十二分に準備したる良兼は上総下総の兵を発して、上総の地で下総へ斗入とにふしてゐる武射むさ郡の径路から下総の香取郡の神崎かうざきへ押出した。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
老人の小屋は無砂むさ谷の水源の澤から黒澤へ乘越す樣な處にある。此處なら前の小屋程水に不自由する事は無いらしい。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
世事のいことむさいこと、すべてを忘れて、一ときでも半夜でも、綺麗事につつまれて、さらりと屈託を捨てて来るのがあの遊廓さとでござりまするがの。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)