“ぎたな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
75.0%
25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四方の壁には昔から此処ここで飲んだ幾多の漫画家の奇怪千ばんな席がきが縦横に貼られ、傷だらけの薄ぎたな荒木あらきの卓の幾つと粗末な麦藁の台の椅子の二十ばかりとが土間に散らばつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
見るからすがすがしいような新しい蚊帳は萌黄もえぎの波を打たせて、うすぎたないこの部屋に不釣合いなのもかえって寂しかった。その蚊帳越しのあかりに照らされた二人の顔も蒼く見えた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
霍亂かくらんで死んだといふ、小僧の友吉も、毒害されたに違ひあるまいよ、鳥兜とりかぶとなどで殺されると、霍亂とよく似てゐる、多分小僧の友吉は誰かほかの人に盛つた毒を、意地ぎたなをして食ひ
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
そこの宿屋も前日のうすぎたない宿屋に似ていた。同じような海草のかすかなかおり、同じようなランプのほのあかりが、わずかに私たちの中に前夜の私たちをよみがえらせた。私たちはようやく打解けだした。
燃ゆる頬 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)