“仄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほの77.5%
ほのか12.9%
ほのめ3.7%
ほん1.8%
ほんの1.5%
おぼめか0.3%
かす0.3%
そく0.3%
ひら0.3%
0.3%
ほのめか0.3%
ぽっ0.3%
ホノ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人が出入りするのを見かけたこともなく、いつのぞいても、店のなかはほのくらくしずまりかえっていて、チラとも人影が動かなかった。
かまちがすぐにえんで、取附とッつきがその位牌堂。これには天井てんじょうから大きな白の戸帳とばりれている。その色だけほのかに明くって、板敷いたじきは暗かった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その草もない薄闇うすやみの路に、銃身を並べた一隊の兵が、白襷しろだすきばかりほのめかせながら、静かにくつを鳴らして行くのは、悲壮な光景に違いなかった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
見ると、耳の根をほんのり紅くしてゐる。私は其儘室に入らうとすると、何時の間にか民子が來て立つてゐて
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこはまだ、ほんのあかるい、白っぽい番小屋の、あおつッと切って、根岸の宵の、蛍のような水々みずみずしたあかりの中へ消込きえこんだ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
行手の闇をおぼめかして灯火の光が見えて来た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「耳を、」肩を取って、口をつけ、二人はの下蔭にささやきを交え、手を組んで、短いのと、長いのと、四脚を揃えたのがかすかに見える。お雪は少し離れて立って、身を切裂かるる思いである。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それはひょうを踏みはずし、そくを踏み落して、住職や、有志家連をして、手に汗を握らしむる程度のものに相違ないから、その点の安心が、米友をして仮睡うたたねの夢に導いたと見らるべきです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
材木のいかだは、堀の中にも、水が見えないほど浮いていた。そこから二、三町先のはずれはもう海で、闇の中に、うしおの白いひらめきだけしか見えはしない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
シイカが橋を渡るまでけっして外したことのない仮面が、の明りの中で、薄気味悪い無表情を示して、ほんのりと浮び上っていた。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
持つくらいのことにふしぎはないが、奥方の悋気は尋常なものではない、おれは、つまりそこだ、おれは、ほのめかしたのだ、——いいから云え、保本、おれのやりかたが卑劣だということは自分でよく知っているのだ
その間召使が炉に松薪まつまきを投げ入れ、室内がぽっかり暖まってくると、法水は焔の舌を見やりながら、微かに嘆息した。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
天井の光りの輪が、元のまゝに、たゞホノかに、事もなく揺れて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)