“仮睡”のいろいろな読み方と例文
旧字:假睡
読み方割合
うたたね44.8%
まどろ13.8%
いねむり10.3%
かりね6.9%
いねむ3.4%
うたゝね3.4%
かすい3.4%
そらねむり3.4%
たぬき3.4%
ひるね3.4%
まどろみ3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『出来るよ、君、』とユースタスは言って、これから仮睡うたたねでも始めようかとでもいったように、帽子のひさしを目の上までぐっと下した。
仮睡まどろんでいた月は静かに一廻りして皎々と照り出します。いつか出て来たお婆さんはその中で、楽しそうに美しい絹糸を巻き始めました。
ようか月の晩 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
こつねんと前刻さきにから一人で、一口ずつ飲んで、飲んでは仮睡いねむりをするらしかったが、ごッつり布子ぬのこで、この時である。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だがそのうちにいつとなく睡気を催し、うとうとと仮睡かりねにはいったのであった。
地球を狙う者 (新字新仮名) / 海野十三(著)
間調子まぢょうしに合わせて、その段の欄干を、軽く手を打ちて、機織の真似し、次第に聞惚ききほれ、うっとりとなり、おくれはらはらとうなだれつつ仮睡いねむる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
門野かどの寐惚ねぼまなここすりながら、雨戸あまどけにた時、代助ははつとして、此仮睡うたゝねからめた。世界の半面はもう赤いあらはれてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そしてその不思議に混乱した心の状態もいわばたえきれぬほどのせつなさは持っていなかった。葉子はそんなにしてぼんやりと目をさましそうになったり、意識の仮睡かすいに陥ったりした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
剛造の仮睡そらねむりして返答なきに、お加女かめ愈々いよ/\打ち腹立ち
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
我夫あなた仮睡たぬきなどキメ込んでる時ぢやありませんよ、一昨日をとゝひもネ、わたし、兄の所で松島さんにお目に掛かつてチヤンと御約束して来たんです、念の為と思つたから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
誠に目を驚かすばかりの殷賑はんじょう、昼は犬を連れて氷河のそばで five o'clock tea、ホテルの給仕バレエ小蒲団クッサンを持たせてブウシエの森でお仮睡ひるね
お末は抵抗もせずに眼をつぶつてぐつと飲みした。それから暫くの間昏々こん/\として苦しさうな仮睡まどろみに落ちた。助手は手を握つて脈を取りつゞけて居た。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)