“かすい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
河水33.3%
歌吹16.7%
花穂8.3%
下垂8.3%
仮睡8.3%
佳水8.3%
夏水8.3%
果遂8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
吾人の蒐集品しゅうしゅうひん中にてその一例を求むれば、空に連なる薄暗き夜の山は濃き紫に、前方なる河水かすいは黒き藍色にいろどられたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
源氏車や菊寿きくじゅ提灯ちょうちんに火が入って、水色縮緬みずいろちりめん緋羅紗ひらしゃの帯が、いくつもおぼろ雪洞ぼんぼりにうつって、歌吹かすいの海に臙脂べにが流れて、おこんが泣けばみつぐも泣く頃には、右の間の山から、中の地蔵、寒風さむかぜの松並木
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
地下茎ちかけいからで立つ一本の長いくきいただきから一方は花穂かすいとなり、一方はこの葉となって出ていて長柄ちょうへいがあり、それが三へいに分かれ
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
すなわち Delphinium grandiflorum L. と呼ぶ陸生宿根草本りくせいしゅっこんそうほんで、藍色あいいろ美花びかを一花穂かすいに七、八花も開くものである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そういって、杜はわれとわが頭をにぎこぶしでもってゴツンゴツンとなぐった。その痛々しい響は、物云いたげな有坂の下垂かすい死体の前に、いつまでも続いていた。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてその不思議に混乱した心の状態もいわばたえきれぬほどのせつなさは持っていなかった。葉子はそんなにしてぼんやりと目をさましそうになったり、意識の仮睡かすいに陥ったりした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
くがには名山、佳水かすいがある。峻岳しゅんがく、大河がある。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
対岸の赤壁、北岸の烏林、西方の夏水かすいことごとく火の魔か敵の影ばかりである。そして、彼の擁していた大艦巨船小艇——はすべて影を没し、或いは今なお、猛烈に焼けただれている。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生と死との転換媒介が成立するためには、まず生の徹底果遂かすいが必要である。「死の哲学」は「生の哲学」の行詰まりにそれより遅れて現れる。
メメント モリ (新字新仮名) / 田辺元(著)