“取附”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とっつき23.5%
とッつ20.6%
とッつき17.6%
とりつ11.8%
とっつ5.9%
とりつき5.9%
とりつく5.9%
とツつ2.9%
とっつけ2.9%
とつつ2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人仕事ひとしごといそがわしい家の、晩飯の支度は遅く、ちょう御膳ごぜん取附とっつきの障子をけると、洋燈ランプあかし朦朧もうろうとするばかり、食物たべものの湯気が立つ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かまちがすぐにえんで、取附とッつきがその位牌堂。これには天井てんじょうから大きな白の戸帳とばりれている。その色だけほのかに明くって、板敷いたじきは暗かった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここばかりではのうて、峠を越しました向うの坂、石動いするぎから取附とッつきのぼり口にも、ぴたりと封じ目の墨があるでござります。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実は身の置処おきどころがなくって饂飩屋になった又作だ、こゝで千円の資本もとでを借り、何か商法に取附とりつくのだ、君も又貸したって、よろしいじゃアねえか
小さな白髪の祖母おばあさんの起居たちいの様子もなしに、くわしく言えば誰が取次いだという形もなしに、土間から格子戸まで見通しのかまちの板敷、取附とっつきの縦四畳、框を仕切った二枚の障子が、すっと開いて
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村の取附とりつきにある観音堂で、霊験れいげん顕著あらたかというので信心を致しまする者があって種々いろ/\の物を納めまするが、堂守どうもりを置くと種々の悪い事をしていなくなり、村方のものも困って居る処で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
顔もうごかさなけりゃ、見向きもしないで、(遣ってみるです。)というッきりで、取附とりつく島も何にもないと。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「長ちやん、左様さう人に取附とツつくものぢやないの——いやよ——いやよ——御覧なさいナ、髪がこはれるぢや有りませんか。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何しろ、取附とっつけからすぐに坑夫なんだからね。坑夫なら楽なもんさ。たちまちのうちに金がうんとたまっちまって、好な事が出来らあね。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『早くけえつて寢るこつた。恁麽こんな時何處ウ徘徊うろつくだべえ。天理樣拜んで赤痢神が取附とつつかねえだら、ハア、何で醫者藥がるものかよ。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)